斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 義務教育の地域格差

<<   作成日時 : 2005/10/05 14:42   >>

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昨日の市町村独自の少人数学級の話で誤りがありました。お詫びしてて訂正します。まあ、こんな細かいことを気にする人も少ないでしょうが、やはり間違いは間違いですから。そこで問題提起を含めて、新たなエントリーとします。

まずは訂正から。
@前日のエントリーでは、少人数学級を実施するために市町村が非常勤講師を採用していると述べましたが、これは誤りでした。非常勤講師は、担任を持つことができないのです。ただ、独自に習熟度別指導やチームティーチングなどを導入している市町村では、非常勤講師を採用していますので、この質が問題となっていることは事実です。
A市町村に正規教員の採用権を与えることは現在、構造改革特区の指定を受けた市町村独自の少人数学級の試みの中で既に実施されています。文科省の中央教育審議会は、これを全国化する方向で検討しており、早ければ来年度にも制度化される予定です。
Bしたがって、前日のエントリーの通り、市町村に学級編制権が与えられれば、独自に正規教員を採用する権限が全国化されたことに伴い、全国どこの市町村でも少人数学級を実施することが可能になります。
Cただし、国が教員給与の半分を負担する義務教育費国庫負担制度は、都道府県教委のみが対象となっています。現在、中教審ではこれを政令指定都市、中核都市にまで広げる方向で検討しています。前のエントリーの教員採用権を中核市まで拡大するというのは間違いでした。

で、ここからが今日の本論です。
 市町村に正規教員の採用権が与えられ、さらに学級編成権が都道府県から市町村に移されるとどうなるのでしょうか。簡単に言えば、全国どこの市町村でも公立小・中学校の教員を独自に採用して少人数学級を実施することができるようになるということす。

 大変よいことです。しかし、独自採用の教員人件費はまるまる市町村の負担になります。いったん採用した教員は基本的に定年まで雇用することになります。退職金を含めて教員一人を採用する人件費総額を想像してみてください。市町村にとっては時間給の非常勤講師を採用するのとは桁違いの人件費負担です。
 そうなると、お金のある市町村は少人数学級を独自に行い、お金のないところはやりたくてもできないということになり、自治体の財政力によって今まで以上に公立小・中学校の教育環境に格差が生まれることになります。地方分権とは、地方自治体の裁量によって行政を行うことであり、そこに地域ごとの違いが生まれるのは当然です。その中に義務教育が含まれるのか、そうでないのか、、、、例えば、あなたの住んでいる自治体は40人学級で、すぐとなりの自治体は30人学級となったときに、地方分権による違いだから仕方ないと本当に済ませることができますか。

 また、公立小・中学校の中に、通常の都道府県教委採用の教員と市町村採用の教員が混在することになります。通常の教員は、都道府県全体の中で人事異動をしますが、市町村採用教員はその自治体の中の学校だけです。また、給与・手当は通常の教員は都道府県が決定しますが、市町村採用教員は採用した自治体が決めます。人事異動大系や給与体系の違う教員が一つの学校の中に混在することになりますが、これが教員組織にどのような影響を及ぼすかは大きな問題でしょう。

 このほか、市町村採用教員の質がどう保証するのかという問題があります。市町村役場職員の縁故採用などはいまだによく聞く話ですね。そこまでいかないにしても、教員採用試験はいまや倍率が低くなり、志願者確保に都道府県教委はやっきになっています。第二次ベビーブーム時に大量採用した教員層の一斉退職が始まれば、この傾向に拍車がかかりますが、その時に都道府県と市町村の教員の取り合いなどの事態が起こるかもしれません。結局、市町村採用教員は、都道府県の採用試験落選者や退職教員再雇用となる可能性もなくはないのです。
 また、少人数学級は一目で違いが分かります。隣の自治体が少人数をやったので、こちらも無理して実施したが財政赤字が膨らんでしまったということも起こり得ます。地方分権か地域格差か、これから市町村は大いにこの問題で悩むことになるでしょう。


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