斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 教員免許更新制の狙い

<<   作成日時 : 2005/10/17 00:06   >>

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 忙しくてなかなか更新できませんでした。どうもすみません。ということで、今回取り上げるニュースは、教員免許の更新制です。問題教員、指導力不足教員への対策として社会的に大きな関心を集めている話題ですが、議論をみているとどうやら論点がずれはじめているようです。文科省には意外な狙いがあるのではないでしょうか。
教員免許:更新前に講習義務付け 中教審WG 
 「教員の資質向上のため、教員免許更新制などの仕組みを議論してきた中央教育審議会教員養成部会のワーキンググループは14日、更新時期の1〜2年前に20〜30時間の講習を受けさせるほか、教職課程に必修科目として模擬授業などを行う「教職実践演習(仮称)」の新設などを含む審議経過報告案をまとめた。報告案によるとこのほか、教職課程の履修者に、学校現場へのインターンシップなどで子供や現職教員と交流する機会を持たせ、学生自身に教職への適性を考えさせるなどの指導を行う」(毎日新聞10月15日)

 記事を読んで気がついた方もいるでしょうが、これは問題教員の対策にはなりません。現在の教員が制度の対象になるかどうかは議論のあるところですが、仮にこれから採用された教員のみが対象になるとしましょう。20〜30時間の講習を受ければ免許更新ということは、自動車免許の更新に比べればはるかに面倒でありますが、それだけです。何の意味もありません。免許更新制は、問題教員対策として提起されたものですが、中央教育審議会で議論されているうちに、問題教員対策から教員の専門性確保へと論点がずれていきました。これはおそらく、意図的になされたものでしょう。

 結論を言えば、これは教員向けの対策ではなく、私立大学の教職課程を狙い撃ちした文科省の教員政策です。なぜなら、教員免許更新制にはいわゆるペーパー教員も対象に入るからです。もし、あなたが一般人で、現職教員も更新制の対象にしなければならないと思っているとします。そして、たまたまあなたは大学で教員免許をとっていました。現職教員が更新制の対象になれば、実はあなたの教員免許も更新制の対象となるのです。講習を受けなければ無効になります。こう考えると、教員免許を持っていれば得だという程度で大学の教職課程を取る学生が、免許取得後5年か10年で20〜30時間の講習を受けないと免許が無効になると言われたとき、どの程度の学生が本気で教職課程を履修しようと思うでしょうか。おそらく一般学部の学生の教職課程履修者は激減するでしょう。

 国立大学の教員養成学部や教職課程は文科省の締め付けもあって、学校現場経験者を指導者として大量に採用するなど実践的内容になりつつあります。これに対して私立大学の教職課程は、実際には内容などで大きな問題を抱えています。ペーパー教員にも更新制を適用して、教職課程履修者を減らすと同時に、教職実践演習など手間のかかる授業を必修にして私立大学の教職課程のレベルを上げる、もっと簡単に言えば淘汰する。これが文科省が教員免許更新制の裏に隠した本当の狙いだと思います。

 いわゆる指導力不足教員対策としては、現在既に教員以外の職種への配転制度が整っています。多くの手間をかけて更新制などする必要は実際にはないのです。指導力不足にひっかからないような普通の教員にも更新制でプレッシャーかける、更新制の面倒さで安易な教職課程履修者を減らす、さらに更新制導入に伴うカリキュラム改正で授業内容などの条件を厳しくして私立大学の教職課程を淘汰していく。文科省は当初、免許更新制の議論をお荷物扱いしていましたが、なかなかうまい落としどころをみつけたものだと感心します。しかし、こんな知恵がなぜ普通の教育改革では出てこないのでしょうか。


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ニュースクリップ[-10/16] 「教員免許:更新前に講習義務付け 中教審WG」ほか
中央教育審議会、教員養成部会のワーキンググループによる途中報告。 教職課程の履修者が学校現場へのインターンシップで子供や現職教員と交流するっていうのは、とてもいいと思います。 これまでは、4年生の教育実習くらいしかそうした機会がありませんでしたから、インタ... ...続きを見る
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2008/04/03 21:01

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは、ワタナベです。教員免許更新制にこんな裏があったとは。マスメディアもここまで情報を把握した上で取り上げていあだきたいですね。一般国民はいまだに、教員免許更新性で問題教師が淘汰されると信じ込んでいますから。
>なかなかうまい落としどころをみつけたものだと感心します。
>しかし、こんな知恵がなぜ普通の教育改革では出てこないのでしょうか。
まったく、その通りですね。

THE義務教育
2005/10/17 00:28
こんにちは、コメントありがとうございます。更新制は教員にとって講習を受ける時間だけ負担が増えるだけです。学校現場に限って言えば、メリットは全くありません。長い目でみれば、教員養成の底上げとなるのでしょう。でも私、デモシカ教員がいる方が子供のためにいいと思っています。熱意あふれる教員志望一本槍の人材ばかりが学校にあふれたら、、、、いやだなぁ。
カラ
2005/10/17 01:56
こんにちは、
「俺の職場は大学キャンパス」
http://blog.livedoor.jp/shiki01/
の管理人、マイスターです。
TB、ありがとうございました。

教職を受ける学生が減り、「ペーパー教員」がいなくなるというのは、教育に関する関心や知識を強く持った社会人が減るということですから、私もどうかと思います。
マイスター
2005/10/17 09:12
マイスターさん、訪問ありがとうございます。免許更新制で一番影響を受けるのは、学校現場ではなく大学だと思います。文科省は教員の専門性を高めるなどの理由で、戦後の教員養成の開放制原則を崩そうとしているのではないかと感じます。
カラ
2005/10/18 00:17
お世話様です。昨日、特色GPフォーラムの横浜会場に行ってきたのですが、関西大学の学校インターンシップ、沖縄国際大学の教職課程体系化など、私大でも目を引く取り組みがありました。もっとも上越教育大の事例のように、今まで以上に教育委員会や校長会と連携を深める国立大が有利な状況に変わりはないでしょう。開放性原則は引き続き掲げながらも、大学改革競争を通して自然淘汰していく、という流れになるのでしょうか。
同業者ア
2005/10/18 11:38
教職課程がそれなりに充実していて売りになっている大学はありますから。でも、実践演習を必修にされたらたいがいの私立大は困るでしょう。現状では、教育実習だってほとんど丸投げなのに、どうするんでしょうね。
カラ
2005/10/18 15:04

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