斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 教員免許更新制の影響

<<   作成日時 : 2005/11/21 03:28   >>

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 教員免許の更新制についていろいろとコメントいただきありがとうございます。その中でいくつか疑問点が指摘されていましたので、それに答える形で新たなエントリーとします。
 コメントの中には、現職教員にとって更新制は実質的に意味がないのではないかという疑問がありました。

 はっきり言ってその通りです。中教審教員養成部会の議論をみると、更新制は大学の教職課程の充実、それといわゆる「ペーパー教員」対策を直接の狙いとしており、そこには問題教員や不適格教員への対応という視点はありません。

 まだ、中間報告が文科省のサイトにアップされていないようなので、その前段階の審議経過報告を見ますと、次のように書いてあります。

 「教員免許状はいわば『希望すれば容易に取得できる資格』とみなされ、社会的に評価が低下してきたことは否定できない。………免許状取得者が身に付けた資質能力を社会に対して明らかにし、保証していくことは、教員免許状に本来的に求められる役割である」

 「子どもの変化等に対応して、その時々求められる教員として最小限必要な資質能力が保持されるよう、定期的に必要な刷新(リニューアル)とその確認を行うことが必要であり、このための方策を講ずる」 

これを見れば分かるように、免許更新制は年々知識などが時代と合わなくなるペーパー教員を主な対象に想定しています。

つまり、10年ごとに年間20〜30時間の講習を受けて、知識をリニューアルして免許を更新するというのは、現職の教員には忙しさが増えるだけで実質的意味はないのです。一方、ペーパー教員にとっては、10年に1回とはいえ仕事をしながら年間20〜30時間の講習を大学に出かけて受けることは、非常な負担になるはずです。

 もともと免許更新制は中山前文科相が唐突に言い出したことで、文科省は当初消極的でした。既に問題教員対策としては他の職種への配転制度が創設されており、免許更新制を導入する必要はなかったからです。しかし、文科省は問題教員対策としての免許更新制が社会的に支持を集めつつあることを利用して、中教審の議論の中で問題教員対策から私立大学の教職課程再編、また教育実習などで学校現場に多大な負担を掛ける原因となっているペーパー教員へと論点をシフトさせていったのだと思います。

 これが、教員免許更新制に対する社会一般の受け止め方と、実際の中教審の報告の間に大きな隔たりがある原因です。

 ただ、中教審委員の間にも教員免許更新制をいまだに問題教員対策だと認識している委員がいることは確かで、前のエントリーでも述べた中間報告で、現在の教員免許保有者まで更新制の対象にするかしないかの結論が先送りされたことはその表れです。

 中教審の資料にある免許更新制の論理や実施方法などをみると、仮に現在の教員免許保有者が更新制の対象となったとしても、これに問題教員対策を盛り込むのはもう無理だと思います。

 問題教員対策で免許更新制という前文科相の勘違い、それを支持する社会一般の受け止め方をうまく利用して、大学の教職課程の再編と文科省の監督権強化、実習受け入れが学校現場の負担になっている大量のペーパー教員を削減しようという文科省の作戦勝ちといえるのではないでしょうか。


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>問題教員対策で免許更新制という前文科相の勘違い、それを支持する社会一般の受け止め方をうまく利用して、大学の教職課程の再編と文科省の監督権強化、実習受け入れが学校現場の負担になっている大量のペーパー教員を削減しようという文科省の作戦勝ちといえるのではないでしょうか。
なるほど。そういう読み方もあるのですね。
私は大学卒業後10年近くたってから小学校へ入ったので、はっきりいってペーパーもいいところでした。しかし、免許があったからこそ入れた職場です。いろいろ苦労をしましたが、なんとか人並みに仕事をまわせるようになってきました。だから、もし、更新制度が導入されていたらと思うと、ちょっとこわい気持ちになります。大学卒業即教職という人ばかりではないですからね。
yo
2005/11/26 10:22
うがった見方をすれば、
「合法的リストラ」
50代になって給料は高い、
あと5/6年で退職金も年金も高い
そんな教員の免許を
体力や健康で剥奪してしまえば
新規採用者の差額などで莫大な予算削減ができる?
では、免許のなくなった人はどうする?
市町村の地域センター等に入る人道的処置があればよいが、結果「県費」「国庫」は潤い、
個人と市町村が・・・。
当然市町村にそんなことができないので職を追われるのが確実。
世間ではリストラは、民間並に行われるべきだと言うが将来の不安がある人間がどう生徒にかかわるのか?ただでさえ成功の扱いは小さく、失敗は針小棒大に叫ばれる風潮である。
とはいえ、現場も若返りを訴えてきたのだから、われわれの課題も免許更新にともなう退職者の進路を県や市町村に約束させることになるだろう。
何が大きな弊害で、改革していくことに伴う弊害をどう乗り越えるかを、本音で話すことがとても重要な時期だ。
境屋北闘王
2006/05/27 11:24

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