斎藤剛史の教育ニュース観察日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 教委による教師養成塾

<<   作成日時 : 2005/11/25 02:35   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

 今回は教員採用関係のニュースを取り上げます。本当はこれはやりたくなかった。なぜなら、養成・採用関係はブログのアクセス数が少ないから(笑。なかなか現職教員も含めて一般的には感心が薄いニュースのようです。しかし、採用は将来の教員問題に大きな影響を与えます。というこことで、これです。
京都市教委が「京都教師塾」を設置へ(京都)
 2007年以降に「団塊の世代」の教員が大量退職するのに備え、質のいい教員を確保するため、京都市教委の門川大作教育長は21日、市議会本会議で、大学生や社会人を対象に、教育現場の現状を伝える「京都教師塾」を来年9月ごろに設置すると発表した。(2005年11月23日 読売新聞)

 要するに教員採用試験志望者を前もって集めて、教育委員会が独自に教育してから採用しようというものです。これを最初に始めたのは東京都で「東京都教師養成塾」というのか2004年度からスタートしています。また、区市町村レベルでは、東京都杉並区が「杉並師範塾」という同様の取り組みを2006年度からスタートさせるために、既に塾生選考試験を始めています。

 教員は、大学の教職課程で養成されますが、大学の授業では学校現場で必要な実践的な知識や技能が身につかないという指摘は多くあります。このため、採用する側である教育委員会が独自に、学校現場で必要な知識や技能など実践的内容を教えようというのが教師塾の狙いです。

 ただ、この背景には教員志願者の確保というもう一つの大きな狙いがあります。

 教員採用試験は、採用人数の増加などで年々倍率が下がっており、各都道府県教委は志願者の確保にやっきになっています。第二次ベビーブーム時に大量採用された教員層の一斉退職が始まれば、教員不足に拍車がかかり各教委はさらに志願者確保に苦労することになります。このため、教員になるための実践的講習会という名目で事前に志願者を編めっておくことで優秀な人材を青田買いしておこうというのが教師塾の本当の狙いです。

 採用する側もされる側にも都合のよい制度です。こんなことは、バブル崩壊以前の民間企業もやっていました。しかし、問題はあります。

 一つ目は、教員採用試験の公平性を崩しかねないこと。 

二つ目は、採用する側である教育委員会に都合のよい人材が優遇されること。

 東京都の教員養成塾は、学長推薦受けた大学4年生を対象にしており、入塾者は採用試験に特別枠が用意されています。また、杉並区は市町村独自に教員採用ができるよう文科省が法律改正することを見越して、師範塾の塾生を教員に採用することにしています。つまり、教師養成塾や師範塾の入塾選考試験が実質的な教員採用試験となるわけです。民間企業がどのように人材を採用しようと、それは企業の勝手です。それに対して公務員である公立学校教員の採用試験は公平、公正でなければなりません。教師養成塾や師範塾は、この点で非常に疑問が残ります。

 もう一つの問題は、実践的指導力を身につけるという理由で、長期にわたる実習や講義を受けるわけですが、この中で教育行政にとって都合のよい指導が行われる可能性がないとは言い切れません。いや、はっきり言いましょう。そうなるはずです。教育行政のすることに疑問を持たない、批判しない教員づくりを採用側である教育委員会自身がすることになるでしょう。東京都も杉並区も、指導主事による講義などや奉仕体験、修養体験などを重視しているようです。

 京都市が同様の構想を打ち出したように、これらの施策は今後、教員志願者の確保がより深刻化すれば増えていくことでしょう。

 特に、区市町村レベルでの独自の教員採用が可能になれば、都道府県に優秀な人材を取られる前に確保しておこうということで、杉並区や京都市のような自治体は急増する可能性が高いと思います。

 教員志望者に学校現場に即した実践的訓練の場を与えるということは、よいことです。これは否定しません。しかし、それは養成側である大学が主体となってすることべきものであり、採用側の教育行政はそれに協力する立場にとどまるべきです。


よろしければ、クリックしてください。ブログ順位が上がると励みになります。
       ↓ ↓
にほんブログ村 教育ブログ
人気blogランキングへ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
東京都の教師養成塾の実際はたいへんな現場負担と大学への負担を強いることになりました。
(卒論、卒ゼミに、実質上、参加できない学生が増えたそうです。)
こういった青田買いに関しては憤りを感じます。
しかも、初年度は初任者研修を他の人と同じように受けることになり、二度手間になっている点も施策(金)の無駄を感じます。
研修自体は私も肯定する立場ですが、こういう利用のされ方は百害あって一利もないです。
ちなみに、都養成塾の活動に関して、学生側は実費負担が基本です。これもバカにした話だと思います。
yo
2005/11/26 10:35
TBさせて頂きました。
また寄らせて頂きます。
sola
2006/01/31 04:16

コメントする help

ニックネーム
本 文
教委による教師養成塾 斎藤剛史の教育ニュース観察日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる