斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 教員給与と義務教国庫負担の行方

<<   作成日時 : 2005/11/05 03:13   >>

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 今回はニュース観察はお休みして、教員給与と義務教育費国庫負担金の廃止問題について取り上げます。年末予算編成のスケジュールから逆算すると11月末には結論を出さなければなりませんが、教育関係のブログでも給与に比べると国庫負担金の話はあまり盛り上がりません。やはり、生活と直接結びつけて考えづらいからでしょうか。そこで、一つシミュレーションをしてみます。
 想定は、国庫負担金が廃止され、教員給与関係はまだ結論が出ていないという状況です。

○現状
 第二次ベビーブーム世代が学齢期のころに大量採用された教員層が、教員の年齢構成を引き上げ、全体の給与水準を上げている。この層が大量退職期を迎えると、退職金支払いでさらに人件費が圧迫される一方で、その穴を埋めるための新規採用数を増やさなければならない。教員人件費の抑制は、大きな課題となっている。

○ステップ1(国庫負担金から交付税へ)
 義務教育費国庫負担金が廃止されたが、その分は総務省所管の地方交付税で措置されることになった。地方交付税は、地方自治体の裁量によって自由に使えるため地方の自由度か高まると一般社会では評価された。

○ステップ2(地方交付税の総額抑制へ)
 三位一体改革は、税源移譲、補助金、地方交付税の3つが見直し対象となるので、地方交付税の見直し、総額抑制は避けられない。最初のうちこそ必要な予算は確保されたが、総額抑制が続く中で教員人件費関係は当初ベースのまま据え置かれた。結果、年々、教員人件費は増加するのに、その財源となる地方交付税は伸びないという状況になった。加えて、都道府県財政は早急に好転せず、教員人件費の引き下げが避けて通れない緊急の課題となる。
 国立大学法人化により教育職国家公務員がいなくなり国庫公務員準拠という教員給与決定システムがなくなったため、地方公務員である公立学校教員給与は都道府県が独自に決めている。次第に、公立学校教員給与の都道府県格差が目立ち始める。義務制の教員給与問題は、当然、高校教員給与にも影響を及ぼす。

○ステップ3(教員定数改善の主導権が総務省へ)
 教員定数改善計画は学級定員などとも絡み依然として文部科学省が所管している。しかし、教員給与の財源である地方交付税は総務省の所管であるため、毎年度の教員定数増は文科省ではなく総務省が実質的決定権を握ることになる。これまでも地方交付税だった高校の定数は、義務制に準拠という形で連動していたが、その準拠はすべき義務制部分も総務省に移っているので、文科省は定数改善計画の円滑な推進を総務省と財務省に要望するだけしかできなくなる。

○ステップ4(教員の大量退職が始まる)
 教員の大量退職時期が到来し、退職金支払い、年金負担の増加が問題となる。加えて、新規採用数を増やさなければならないが、都道府県内では教員人件費のみに予算が消えていく教育委員会よりも、もっと投資的、政策的部門に地方交付税を使うべきだとする他の部署の声が高まる。いずれにしろ、退職金、年金の引き下げは不可避。
 依然として地方交付税は総額抑制のまま、交付税額の算定基礎となる教員給与の基準は何年間も据え置かれている。それによって、実際の教員人件費と地方交付税上の教員人件費のずれが大きくなっていく。財政力の高い自治体では、地方交付税上の教員人件費より実際に支払う教員人件費がはるかに高いという状況になる。つまり、財政力が高い都道府県の教員ならば安心かというと、必ずしもそうでもないということだ。また、このような中で高校教員給与は義務制の教員給与と一本化され、より削減される可能性が高い。

○ステップ5(公立学校教員の非常勤講師化が進む)
 地方自治体独自の少人数学級推進など首長の公約は果たさなければならない。教員給与の抑制・削減に踏み切っても、新採教員数は増加するので結局人件費は増え続ける。このため、一部の都道府県では、教員定数の増加を望まなくなる。また、教員定数を増やす自治体でも、そのうちの何割かを退職教員や教員志望者による非常勤講師に切り替えるところがが急増する。

○ステップ6(何が残ったのか、、、、、)
 気がつけば、安い給与で激務を果たし疲れ切った正規教員を、大勢の非常勤講師が囲んでいるというのが学校の実態となる。当然、優秀な人材は教員志望などしなくなっている。見かけ上は、少人数学級などは進んだが、教員の質の低下は著しい。経済力のある家庭の子供はとっくに私立に逃げている。

 まあ、こんなところが最悪のシナリオでしょうか。もちろん、地方が独自の力によって教育を立て直していくというシナリオもあるでしょうが、そんな自治体は全国の何割あるのかを考えると、はやり楽観的にはなれません。地方交付税の抑制・削減を上回る税源移譲が国から地方に行われれば、一応問題はないのですが、見込み薄でしょう。
 ということで、義務教育国庫負担の廃止問題というあまり身近に感じられない話題も、めぐりめぐって教員、学校、そして子どもたちを直撃していくことになるというお話でした。



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