斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 教科書の特殊指定解除って何?

<<   作成日時 : 2006/03/21 13:18   >>

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 今日はお彼岸の中日、いえ教科書の話題です。公正取引委員会が、教科書の「特殊指定」を廃止する手続きに入ったというニュースがありましたが、正直あまりピンときませんね。でも、これから大きな問題になるかも、、、。

教科書では指定廃止手続き…「選択に影響」出版社反対


 一般の人には関係ない話だし、ニュースを読んでも、何がなんだか分からないでしょう。ポイントは、現在は教科書会社は採択にかかわる接待などの営業が原則としてできない、さらに他者の教科書と比べて自社の教科書が優れているといういわゆるネガティブキャンペーンができないことになっていますが、この法的根拠が公取委の「特殊指定」だということです。こんな規制は、教科書についてはもう必要ないだろうというのが公取委の考え方のようです。まあ、贈収賄は特殊指定がなくても犯罪ですから、企業の倫理と市場原理にまかせればよいということなのでしょう。ある意味正論です。

 では、特殊指定商品だから不当な行為がいままでなかったかというとそうではありません。教科書は一般商品と違って、作っても採択されなければ販売数ゼロです。つまり、商品とすれば、非常にリスキーなものなのです。少し年齢のいった教員なら知っているでしょうが、教科書会社と教科書採択に影響力を持つような教員は非常に深いつながりがあり、10数年前くらいまでは、教科書会社の営業では「飲ませる、抱かせる」などは当たり前でした。贈収賄事件も相次ぎ、旧文部省が是正に乗り出し、過激が営業活動が影を潜めたのは、そんなに古い話でもないのです。

 あまり、大きな声では言えませんが、各教科の研究団体には現在でも教科書会社からさまざまな便宜が提供されています。また、教科書会社の営業が学校にもたらす各種教材・教具や情報などは、学校にとって大変便利なものとなっていすま。

 古い教育関係者ほど、このような歴史を知っているので、接待などの営業を解禁することに反対しているわけです。

 では、もし公取委の方針通り「特殊指定」が廃止されたらどうなるのでしょうか。

接待などの営業活動が復活し、教育関係者の腐敗につながる可能性も。
 しかし、これは一般社会全体の商取引と同様なわけで、つまるところ当事者の倫理観の問題でしょう。するひとは禁止されていてもするわけですから、あまり騒ぐほどのことはないと思います。
 ただ、次の学習指導要領改訂では、学習指導要領がミニマムスタンダードだという構造になるため、教科書会社は各社とも発展的記述の違いなどで勝負をかけてくるはずです。営業活動は熾烈になることは確かでしょう。

教科書の寡占化が起きる。
 教科書会社、特に大手でないところが一番懸念しているのがこれです。実は、現在でも小・中学校の教科書は、国語は光村、理科なら東京書籍というよう特定の会社がシェアの4割程度を占めています。営業活動解禁になれば、営業力のある会社が強いのは当然ですから、特定の会社がその教科をほぼ独占する自体にもなりかねず、学校教育全体からみれば教科書の多様性がなくなるわけです。

ネガティブキャンペーンにより混乱する。
 この前の中学校教科書採択では、「新しい教科書をつくる会」がほかの教科書と比較する形で、「新しい歴史教科書」などの宣伝をしましたが、これは「特殊指定」で禁止された他社への妨害活動に当たるとして、文科省から警告を受けました。
 特殊指定がなくなると、他の教科書との比較によるネガティブキャンペーンができるので、もともと営業力などに期待していない「新しい教科書をつくる会」などは有利になるかもしれません。

教員に教科書研究の余裕が生まれるかも。
 現在の仕組みでは、教科書は採択前に行われる見本本展示以外では、公開してはいけないことになっています。要するに一般の教員は、採択された教科書が実際に使われる新学期直前まで自分が使う教科書の内容を見ることが事実上できないのです。
 これが、教科書研究や教材研究といった努力を教員がしなくなっている原因の一つだという意見もあります。もし、営業活動が認められれば、商品を見せないで営業することはできないわけですから、現在の採択システムも変更を迫られることになるでしょう。そうなると、採択前の見本本の段階から教員は教科書を見れるようになるので、熱心な教員にとってはよいことかもしれません。

でも本当の問題はほかにあるのでは?
 少子化による採択部数の減少で、教科書会社はどこも経営状態が苦しいです。では、どうやって儲けているのか。まず、教科書の指導書いわゆる教師用赤本です。これは、ここでどういう狙いの発問をするか、どんな留意点が必要かなど授業の仕方が詳しく書いてあるもので、一冊何万円もします。教員にとって指導書は必要なものなので、必ず学校が買います。さらに、教科書準拠の副読本、教材などがあり、これらによってようやく教科書会社は利益を出しているのです。
 逆に言えば、教材研究などを自分でししなくてもよいように、教科書、指導書、副読本、教材にいたるまで教科書会社や教材会社に依存する体質が学校には出来上がっているわけです。もちろん、独自に研鑚している教員も多くいますが。このような学校や教員の体質を改善することが教科書の最大の問題である、、、、と思うのですが、これはまた別のお話。

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