斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 教員給与の見直し始まる

<<   作成日時 : 2006/04/15 22:50   >>

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 教育は人なり、、、、そして、教員の資質・能力は重要な決め手ですが、よい人材を集めるに現実的問題として給与でしょうね。教員給与に上乗せされている教職調整額の廃止、高校と義務制の給与一本化など、行政改革がらみで出てくる最近の話題は、教員のモチベーションを下げるものばかりです。これも教員に対する批判が高まっているからでしょうが、批判するのはよいとして、その給与を下げろと言う一方で、よい教育をしろというのは、やはりおかしいでしょう。

 ということて、今回は公立学校教員給与の見直しの話です。
◎小・中教職員の勤務実態調査、給与制度見直しの材料に(日本教育新聞4月17日付け)

 この新聞は毎月曜日発行ですが、郵送で届くため私のところには17日付けがきたばかりです。で、文科省が教員給与制度の見直しの材料とするために、今年度中に全国数万規模で教員の勤務実態調査をすることになりました。記事を見ると、勤務時間や持ち授業時数だけでなく、教材研究時間、地域や保護者との対応、会議や研修、生徒指導など教員の仕事として想定できるすべての範囲の実態を調べるということです。

 このような調査は、教職員組合も全国レベルや都道府県レベルで実施していますが、正直なところいまひとつ精度と信頼性に欠けます。文科省が数万人規模で実施すれば、完全に公平なデータとはいえないまでも、ある程度信頼性の高いもので出てくるでしょう。

 文科省は、調査をもとに給与制度を見直し、関係法制改正の上で、早ければ平成20年度から実施する予定です。

 公立教員教員給与見直しのポイントは、次のようなものが考えられます。

●教職調整額の廃止など給与引き下げ。
 財務省などは強硬に教員給与の引き下げを求めており、具体的には給与に上乗せされている教職調整額(4%)の廃止が焦点となりそうです。文科省は教職調整額の廃止に反対しており、教員の勤務実態が一般公務員よりも多忙・過密であることを今度の勤務実態調査で明らかにし、教職調整額存続のためのデータとするつもりのようです。

●時間外勤務手当の支給。
 教員には時間外勤務手当が認められていませんので、いたずらに時間外勤務を教員にさせることを防止すめために、会議や学校行事、実習、災害時以外は時間外勤務を命じてはならないという「歯止め4項目」が法律で決められています(実際には形骸化してますが)。その代わりに教職調整額があります。
 しかし、行政改革や財政改革などを求める政府の姿勢が強くなれば、文科省は教職調整額の廃止に踏み切らなければならなくなるでしょう。

 ここで問題になるのが、時間外手当を支給するかどうかということです。教職調整額は、時間外勤務手当の支給を認めないことの前提となっているので、単純に考えると教職調整額の廃止は、時間外勤務手当の支給につながります。

 ただ、その場合、教員の勤務・職務の範囲はどこからどこまでかという、まさに教育学的な大問題を解決しなければなりません。これは、簡単ではないでしょう。

 一方、時間外勤務手当を支給すれば、財政負担が逆に増加するという可能性も少なくありません。おそらく、財務省と文科省の間で、教職調整額の廃止と時間外勤務手当の支給のどちらが得かということで折り合いがついていくのでしょう。

●給与への成果主義の導入。
 もともと、このために公務員制度改革が始まったのですから、これは教員についても導入されるでしょう。既に都道府県によっては教員への人事考課が始まっていますし。

●教員の中間管理職など新たな職の位置づけ。
 教員は校長、教頭の管理職以外はみな同じ教諭身分として平等であるという「なべぶた型」組織になっていますが、東京都の主幹のような新しい中間管理職が導入されるでしょう。これは確実ですね。また、主幹など管理職要員とは別に、スーパーティーチャーや授業力リーダーといった優秀な教員に管理職並みの給与を与える制度も導入されることになると思います。

 ベテランの優秀な教員は、管理職候補になるか、現場で指導的立場に立つプロフェショナルになるか、、、、、というふうにキャリアが体系化されるのではないでしょうか。



 今回のテーマは教員以外には少し分かりづらかったでしょうか。ポイントは、教員の給与引き下げはもしかしたら避けられないかもしれない。そのときに、ほかの職種と同様に時間外勤務手当を出すのか、出さないのか、、、、、さらに、教員という集団にピラミッド型組織の管理システムを導入することは確実だが、果たしてそれが正しいことなのか、、、、、という2つになると思います。

 いずれにしろ、文科省の勤務実態調査によって、どんな教員の姿が浮かび上がってくることになるのか。それが、教員というものの大変さを訴えることになるのか、あるいはこのご時勢に優遇されすぎているという批判を招くことになるのか、、、、興味あるところです。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
教員給与の見直し始まる
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★自己変革への道★
2006/05/28 11:22
超過勤務
 教員が優遇されているという誤解のひとつに、&nbsp;教職調整額を給与に上乗せする制度があります。 教職調整額というのが給与の4%ついているのですが、これは、1日19分の残業分に相当するだけで、19分ぐらい、ほとんどの職員が残業しています。 先日も書きましたが... ...続きを見る
学校通信DX
2006/11/13 00:26

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
文科省の勤務実態調査は楽しみです。良くも悪くも議論の叩き台になるハズであるし、今までなかったのが不思議なものかもしれません。そういったものが出てくれば、給与問題に関しては、その額の少々の上下がモチベーションに直結はしないと思います。
主幹制度は、私の身近に限っていえば、「やりたけりゃやればー。責任はそっちだよ。」というカンジ。同僚性の崩壊はすでに生まれています。
授業エキスパートの養成は教委主導の研修なので、学校の実践実態と剥離していくか、はたまたエキスパートの他の教諭の学級経営への介入ともなれば、それはそれでそんな組織が成り立つのか?という問題になるのではないかと想像してます。また、給与をぶら下げてもどうかと思います。教員養成機関などへの天下りでもぶら下げるのかな?
yo
2006/04/16 02:50
安い給料にハードな仕事。
おまけに評価はされなくても
批判はいっぱい。お役人は
「給料が安くても、やりがいのある
仕事だから、優秀な人材は
集まるはずだ」なんて言ってました。
これから、景気回復で企業も求人を
増やすでしょう。同じ給料なら
もっと楽な仕事をしたい人も…
最終的には、
行くところがなくってしょうがないから
教員をやるっていう人がたくさん増えるんじゃ
ないですかね。
bluetrain-twexp
2006/04/16 05:17
2002年の指導要領改訂より、普通に納得のいく仕事をすると信じられないくらい時間が足りない現実に直面するようになりました。部活指導もきちんとやって、それ以外のこともきちんとやって・・・という仕事に対しての姿勢で2002年以前は、年間4〜5日の徹夜をしました。しかし、2002年以後は、年間20日を越える午前様帰宅になってしまいました。当然すべての先生がそうであるわけではありませんが、納得のいく仕事をするとどうしても夜遅くなってしまいます。よって、きちんと残業手当をくださいと言いたいです。
harlock
2006/04/17 02:28
先生は口を開けば「忙しい、忙しい」とい言う。本当にそうなのでしょうか。会社帰りに学校のそばを通りますが、到底、そのようには思えません。
家に仕事を持ち帰っているというのなら、それはサラリーマンでも同じです。
それに、先生は、人事考課というのがない。仕事の出来具合で賃金・ボーナスが上下することもない。子どもの学力が下がったからといって、賃金が下がった先生がいるでしょうか。
世間並みの給与見直しが必要なのではないでしょうか。
硬派
2006/04/20 14:10
>カラさん
他の人のブログでなんなので、気に入らなかったら削除してください。
また、辛口ですいません。

>硬派さん
世間並みってなんでしょうか?
自分の価値規準で語っているようにしか聞こえません。
あなたが学校をのぞいた程度で、学校の仕事がわかるのならば、世間の学校に対する理解ははやいのではないでしょうか?
それに、このエントリに記されているように、これから実態調査が始まるということが大事で、私なんぞはそういった現状を放置しておいた方が問題では?と考えています。
私の身近でも、同僚が過労で亡くなったり、精神科に通ったりしている現状です。
硬派さんは、そんなことも世間並み以下だということで言っている意見なのでしょうが、私はお互いの過労自慢で潰し合うよりは、もっと子ども優先の施策を望んだり、そのための環境整備として教員をもっと適正に働かせて欲しいものだという議論に組したいです。
最後に、人事考課は進行中です。お間違えのないように。(そして、その中身を議論していただきたいものです)
yo
2006/04/20 21:49
硬派さんへ
コメントを読みましたが
何一つわかってないですね。
学力が下がるということ
ひとつとってもどの基準で
測るのか明確な基準を示せますか?
人事考課?どの基準でやるのですか?
数字に表れなければ評価できないと
思うのですが。
では子どもの表情が明るくなったことを
どうやって数字で表すのですか?

すみません。他人のブログで
別の人に言いたい放題言って…
bluetrain-twexp
2006/04/22 06:37
教員の忙しさは、なかなか世間に伝わらないものです。だからこそ教育関係者のブログが重要なのだと思います。

ある職業が他の職業と比べて、忙しいか、大変かは、難しい問題です。例えば出版業界は、忙しい編集者になると殺人的なスケジュールをこなしていますが、その半面、自分で自由に時間を管理できるので、精神的には楽な部分があります。

企業の社員も大変、教員も大変、その忙しさの内実を知らずに足の引っ張り合いをしても意味がないでしょう。

あと思うのですが、現在多くの会社員は将来の保証のないことに怯えています。公務員としての身分保障がある公立学校教員や公務員全体が批判されるのもここから来ています。公務員批判はいわばルサンチマンなのです。これを見落として、教員批判に対して不用意に再批判をすると泥仕合になるだけです。
カラ
2006/05/18 16:28

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