斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 学力テストの結果で予算配分?

<<   作成日時 : 2006/11/06 01:34   >>

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最近の教育改革の流れの一つに学校間への競争原理、市場主義の導入があります。安倍首相が掲げている教育バウチャー制などは、その最もたするものです。で、今回は次のニュースを取り上げます。

◎学力テストで予算に差 足立区教委、小中学校4ランクに(朝日新聞)
 内容は、東京都の足立区が実施している学力テストの結果に応じて、学校に配分する予算をランク付けしようという話です。確かに、競争原理ですね。がんばって良い結果を出した学校には、多く予算をつけようということで、結構、賛成する人も多いのではないでしょうか。「民間企業なら当たり前だ」という声も聞こえそうです。

 この記事は、まだ方針という段階の報道ですし、予算配分の仕方がいまひとつよくわかりません。教委だってそんなに乱暴なことはしないと思うのですが、ここは新聞の見出しに沿って、テスト結果がよい学校にはより多くの予算がいくという前提でお話ししたいと思います。

 ○困難校の予算を削るのは、学校統廃合目的でしかない。
 まず、足立区は学校選択制を実施しています。また、都と区が実施している学力テストの学校ごとの成績を公開しています。

 で、学力テストの成績が悪い学校の予算を削り、よい学校の予算を増やすとどうなるか。学力テストの成績の悪い、いわゆる困難校の類は、もう絶対に浮かび上がることができません。結果、そのまま生徒が減少し、最終的には統廃合の対象になるしかない。

 例えば、民間企業の場合でも、予算もなく、人員もない、売る商品の質も悪い、、、、それで営業成績を上げろといわれながら、さらに予算削減されたらどうしますか。まず、お手上げですね。

 学校はもっと難しい事情があります。ありていに言えば、学校周辺の住宅環境によって子どもの学力は左右されるのです。例えば、高級住宅地で保護者も教育熱心という学区ならば、放っておいても学校全体の成績は高い。逆に、低所得者層の多い地域などは、学校全体の成績が低下しがちです。そして、、、、学校の努力で周辺の住宅事情、地域事情を変えることはできません。



 ○困難校の予算を削るのは学校選択制の趣旨に反する。
 東京都の品川区が全国で初めて本格的な学校選択制を小・中学校に導入したときに、若月教育長に質問したことがあります。「人気のない学校は、そのまま浮かび上がれないのではないか」と、、、、

 若月教育長の答えは、つぎのようなものでした。

「教員が最大限努力するのが第一。それでも、困難な事情を抱えて向上が難しい学校があれば、人や予算をその学校にてこ入れする。それが学校選択制における行政の役割だ」

 人気のある学校は、ある意味、放っておいてもそのままいける。しかし、学校の努力では何ともできないことで浮かび上がれないならば、その学校を助けるのが教委の役割であり、平等な競争とはそういうものだ、、、、、という趣旨でした。

 実際に品川区が本当にそうやっているのかは別にして(定員割れ校を最新設備の小中一貫校にしたりしていますので、ある程度はやっていると思いますが)、、、、

 学校選択制の下では、不人気校や困難校にこそ教委の援助が必要だというその理屈には、なるとほどと納得したものです。

 詳細は分かりませんが、もし足立区の方針が、単純に学力テストの結果が悪い学校の予算を削る、あるいは増やさないというものだったら、これは学校選択制の趣旨にさえも反していると言えるのではないでしょうか。


 ○テスト成績は否定しないが、教育の成果ってそれだけか。
 重ねて言いますが、まだ足立区のシステムを詳細にしらないので、このエントリーは一般論として述べています。

 学校が努力した成果を予算に反映させることはよいことであるという意見は、現在の社会には多いと思う。否定はしない、というより私も賛成します。

 だが、努力を測る尺度が、なぜ学力テストの成績なのだろうか。客観的な尺度として学力テストの成績が有効であることは否定しませんが、それはあくまで評価の一部分ではないか。

 早い話、テストの平均点を上げるのは、わりと簡単です。まず、出そうなところを集中して勉強させる、足を引っ張る子どもには当日病気になって休んでもらう、これだけでずいぶん平均点が上がります。

 学校の努力を評価するとうのは、確かに難しい。しかし、それを的確に行えるよう工夫するのが行政の仕事でしょう。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
足立区、学力テストで予算配分!!
東京都足立区の住民ではないけれど、小学生を持つ親として「足立区の学力テストで学校 ...続きを見る
Groovy
2006/11/07 20:35
世界の住宅事情他 世界地図による分布図
静岡とあんまり関係ないインドのおもちゃをなぜか検索していて、こんなものを見つけた。世界の住宅価格分布図分布が多いところは太っちょになってます。世界エイズ分布図 15歳〜49際アフリカが爆発しそう。インドも結構肥大してたり・・・。... ...続きを見る
静岡 不動産R
2007/04/03 00:44
障害児の学力テスト成績を集計から除外 足立区立小
「競争」「経営」といったことがキーワードか? ...続きを見る
医師の一分
2007/07/09 22:00

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
 足立区が行おうとしているランク付けによる予算配分制を行った場合、各学校はランクを下げない様にするため弱者の受け入れを拒否することになると思う。大半が成績よくても1名でも成績が極端に悪ければ、平均点は大きく下がることを考えれば、当然そうなると思う。
 若月教育長とかいう人物の発言は、裕福な家庭に育った現場を知らない傲慢なエリートの発言としか思えない。学校は生徒を選べないし、保護者も選べない、いやむしろ選んではいけないと思う。
 「・・人や予算を・・」ということと足立区の方針が結びつくと、金を持ったエリート官僚が自分たちに有利になるように都合の悪い部分を切り捨て様とする構図が浮き上がってくる。阿部氏の発言も同じに感じます。
 履修不足にしても、エリート官僚が決めた週5日制で、現場は、時間をとることができず、生徒の成績を考えて(受験等で必要な)主要5科目以外を省く以外無くなっているのではないでしょうか。
 
akinoshin
2006/11/06 02:29
こんにちは。
テストの結果に応じて予算配分・・・いいんだろうか??とかなり違和感を感じてしまいました。今後の動向が見逃せませんね。

さて、ブログに紹介記事を書きましたのでお時間あるときにでも覗いてくださると嬉しいです。
http://crnstaff.cocolog-nifty.com/diary/
CRN
2006/11/06 14:03
akinoshinさん、コメントありがとうございます。ただ、品川区の若月教育長は元校長で、学校現場のことをよく知っている方です。学校選択制の実態は、いろいろな問題もありますが、それに踏み出したときの若月氏の見解は、きわめて説得力のあるものでした。
カラ
2006/11/06 22:59
初めまして。この事件、多数の抗議によってA〜Dランク分けは撤回するようですが、各校別の成績評価で予算配分するのならば、更に闇は広がりそうですね。菓子折りが乱舞したりして?

個人的には上乗せされた学校予算が何処に行くのかが気になります。成績上位校は設備・人員とも充実していると思うので、単純に余るんじゃないかと思うのですが。
mal
2006/11/08 11:53
実は学校予算とは、項目ごとに使い道がほとんど決まっていて、学校が独自の裁量で使えるお金というのは、ものすごく少ないのです。規模にもよりますが、年間で1、2億円の予算があるとしたら、自由に使えるのはおそらく数百万程度でしょう。各学校はこの範囲でやりくりしているのです。
だから、この自由に使える部分の予算を学校の努力や熱意に応じて配分するというのは、必ずしも間違った考え方ではありません。問題は、その評価基準に学力テストの結果を置いたことだと思います。
カラ
2006/11/08 14:43

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