斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 必修科目が多すぎるというのは本当か

<<   作成日時 : 2006/11/12 20:50   >>

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高校の履修不足・必修逃れ問題では、学習指導要領に違反した高校を批判する声と同時に、大学受験のために必修科目をごまかさなければならないほど、今の必修科目の縛りはきつ過ぎるという声が多くあります。

本当でしょうか?

高校教科・科目の必修単位数の経緯をみると、これまで一番多かったのは、昭和35年告示の学習指導要領で、68単位ありました。これは突出しています。このときの卒業必要単位数が85単位でしたから、3年間で15単位しか選択教科・科目がない計算です。

さすがに、昭和47年告示の学習指導要領では必修単位は47単位にまで引き下げられました。さらに平成元年度告示の前回学習指導要領では38単位、そして現行学習指導要領は最低で31単位しかありません。これは学習指導要領の歴史の中で、最低の数字です。必修の新教科として負担増の元凶の一つとして名指しされている「情報」(2単位)を加えても、現行学習指導要領の必修は最低31単位しかないのです。

でも、必修の総合的な学習の時間が加わったではないかという疑問もあるでしょう。

高校の学習指導要領をみると、総合的な学習の時間は3年間で、105〜210時間となっています。1単位35時間ですから、これを単位換算すると3〜6単位です。つまり総合的な学習の時間を加えても高校の必修は、最低で34単位にすぎないのです。学校五日制で土曜日の授業4時間分(年間4単位分)が減ったことは事実ですが、学習指導要領はそれにあわせて単位数も減っているのです。


思い出してください。現行学習指導要領が始まったときの学力低下批判で、現行の高校学習指導要領も激しく批判されました。その理由は、必修単位数が少なすぎるというものでした。科学史のようなものしかやらなくても理科の必修が終わる、二次方程式を学ばなくても数学の必修が済む、、、、いろいろありました。

思い出されたでしょうか。

つい数年前、一般社会は、高校の必修単位が少なすぎる、簡単すぎると批判していたのです。

私は、現行学習指導要領がよいとは思っていません。欠点は多々あります。

しかし、多くある欠点のうちにも、必修科目の縛りがきつ過ぎるとい批判は、絶対に当てはまらないと思います。


ところで、上の説明で必修の教科科目は最低31単位と書きました。カリキュラムの専門的な話で、説明すると長くなるのですが、必修科目には例えば世界史ならば、近現代史中心の世界史A(2単位)と通史の世界史B(4単位)があり、どちらでも構わないことになっています。

で、すべて必修教科科目を「2単位もの」で組めば、31単位で済むということです。すべて「4単位もの」で組むと必修教科科目の単位数は約10単位ほど増えます。

高校現場では、「2単位もの」は低学力の生徒向けという受け止め方が多く、関係教科の教員は「4単位もの」を選びたがります。

世界史を生徒の大学受験のために、まったくやっていなかった高校でも、おそらくほとんどが届出カリキュラムは世界史Bの4単位もので組んであるはずです。それで、カリキュラムが窮屈だから、世界史をまったくやらなかったというのは、、、、、私はどう考えてもおかしな話だと思います。

百歩譲って、難関校を目指す進学校にとっては、きつい縛りだったかもしれません。ですが、だからといって高校教育全体にとって「縛りがきつい」という議論にはならないでしょう。

文科省の調査では学習指導要領違反は、全国の高校の約1割。

難関大学を目指す生徒たちを抱えるその1割の高校の問題で、残り9割の高校まで議論してよいのでしょうか。


繰り返しになりますが、私は現行の高校学習指導要領がよいとは思っていません。しかし、数年前の学力低下批判の際に、マスコミを含めて一斉に「簡単すぎる」と叩いておきながら、手のひらを返したように「縛りがきつ過ぎる」とまたまた一斉に批判するのは、どう考えてもおかしなことではないでしょうか。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
地歴科のA科目は、センター試験で実質上、使えません。A教科書の内容に対して、センター試験Aは高度すぎるのです。A教科書の内容を逸脱しています。Aをとりたくないのではなく、Bしかとれないのです。
一般
2006/11/12 23:58
前回「教育の崩壊」の名で投稿しましたので、それに統一します。上のコメントについてです。失礼しました。
教育の崩壊
2006/11/13 00:34
センター試験のA科目とB科目の差は、大きいですね。世界史など、不平等ともいえる。

でも、あえて私は言いたいと思います。国公立大学入試が大きなウエートを占める生徒は高校生全体の何割なのだろうかと。

国立大学入試やセンター試験、私立難関校の受験が大事ではないとは言いません。でも、そんなことに関係しない高校や高校生の方がはるかに多いのです。

でも、やはり高校教育、、少なくとも高校教育改革を論議する者にとって、高校教育は大学受験のためにあるのでしょうね。それが現実であることは認めざるを得ません。

それでも私は思うのです。センター試験は大事だけれど、それに高校教育、高校生すべてを巻き込むことはやめてほしいと。
カラ
2006/11/13 00:54
必修科目が多すぎるなどとは世迷いごとを言うなと言いたいですね。私の高校時代(昭和50年代)は文系理系を問わず、数学3(文系入試に不要)、古典2(理系入試に不要)などが必修でした。理系だった私は理科は物理・化学・生物が必修、社会は地理A、日本史、世界史、政治経済・倫理社会などを学びました。「高校は幅広い分野の基礎学力を養う場であり、予備校のように受験科目のみにフォーカスして学ぶ場ではない」という学校方針の下、文部省ガイドラインを超えた学校独自の必修科目がありました(同学区の他校もそうでした)。正直受験生だった当時は、「余計な勉強をさせるな」、「入試を前にそんな余裕はない」という心境でしたが、社会人となった今、学校の方針自体間違っていたとは思えません。と言うより、方針は至極真っ当なものであり、これを忠実に実行している限り、高校が大学入試のことまで気にする必要はないと思います。
現在の必修科目など当時に比べれば負担など限りなくゼロに近いのですが、進学実績だけにとらわれると頓珍漢な不平も出てくるのでしょうね。
CFO
2006/11/25 14:38
過去のことが出たついでにいえば、
私の場合、確かに日本史と世界史を受けましたが、受験も文系は社会2科目必要でしたよね。そういう意味では、教育課程と大学入試科目がそれほど乖離していなかったのです。
それでも窮屈であることに変わりはなく、日本史などは、ペリーが来るか来ないかで終わってしまい、近現代史などはほとんど習っていません。
そういう問題はいつの時代にもあったのです。
日本史、世界史の近現代を習っていないという人は我々の世代には多いはずです。
そういったところから今回のことは発生した問題であり、
昔はこうだった式の比較は、昔を美化する誘惑に陥ってしまうことに注意するべきです。

教育の崩壊
2006/11/26 13:41
「教育の崩壊」殿、
歴史の近現代を習っていないとは、あなたの高校は余程レベルの低い学区内最低ランクの私学だったのではないですか?(それほど進学校ではない)私の母校、及びそれよりランクの低い高校でも少なくとも公立では教科書を完結させていました。一部の落ちこぼれ高校のロジックを普遍的であるかのように言うべきではないですね。
CFO
2006/11/27 14:25
CFO殿、
何というご立派な方でしょう。
おっしゃってること、語るに落ちたとは思われませんか。
教育の崩壊
2006/11/27 19:10
まあ、お二人とも熱くならないでください。
高校進学率98%という現在、高校はほとんどの子どもが入学する国民的教育機関です。だから、義務教育と同じように誰しも同じように教育すべきという意見は昔からありますが、高校間の差というのは現実問題として否定しようがありません。ほとんどの生徒が国立、私大難関校を受ける高校もあれば、掛け算ができない生徒を抱える高校もあります。高校教育とひとくくりにするから、さまざまな不毛な論争が起きるのです。
私は、それぞれの高校の違いに応じた丁寧な議論が必要だと思います。
カラ
2006/11/30 20:57

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