斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 教育再生会議が報告案

<<   作成日時 : 2007/01/20 17:40   >>

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 さて、教育再生会議の報告案がまとまったようです。正式には24日の総会で第一次報告となるようです。まだ報告内容も見てないので、教育再生会議は報告が出てからきちんと解説するということで、今回は、報告案の記事のほかにいくつかに気なったニュースを取り上げます。

◎教育再生会議関係
○教育再生会議 授業時間10%増を一次報告に盛り込み(産経新聞1月20日)
 各紙報道してますが、案外、産経の記事が一番内容のポイントが分かりやすい。まあ、各紙似たようなものですが。

 で、はっきり言って今日の報道ではまだ分からないことだらけです。例えば、問題教員排除のために教員免許の更新制を導入し、今度の通常国会に提出するということですが、具体的な制度設計が報道では分からない。もちろん、文科省は法案作成準備を進めていますが、内容は去年の中教審答申を受けた「資質能力のリニューアル」というものです。

 教員免許の更新制を導入するにしても、それを問題教員の排除として機能させるためには、免許更新講習の内容、受講修了認定などどうするのかが一番の問題なのです。これについて報告はどこまで触れているのか。そこを見ないとなんとも言えないですね。

 また、「ゆとり教育の見直し」を明言したからといって、ではどうするの、、、、というもの問題です。見直して、ではどうするまで言わないといけないが報道ではまだ分かりません。そもそも「ゆとり教育」という言葉自体、文科省は正式には使ったことがないわけで、いまさらこなことを議論していてどうするのか、、、というのが正直な感想なのですが。

 例えば、「授業時間の10%増」ということを提言しても、ではどうしてそれを確保するのか。これがないと、学校現場はよけい混乱するだけです。「1日7時間授業」ということを書いていた新聞もありますが、1日7時間なんて一部の高校を除いてできるはずがない。小・中学校の子どもを相手に7時間授業なんて成り立つのかどうか、考えれば分かることです。

 で、気になるのが最近、学校五日制見直しの記事がちらほら出始めていること。
○学校週5日見直し、再生会議報告案(読売新聞1月19日)

 ただ、今日の朝刊ではまったく学校五日制に触れた記事がなかったのが気にかかる。報告では、どうなるのでしょうか。

 総合的な学習の時間を削ったとしても、主要教科の授業時間数を増やすには限界があります。他の教科を減らせば良いのですが、では音楽、体育、美術・図工などはどんどん削れという意見が出たら、とたんに世論は反対するでしょう。

 夏休みなど長期休業期間を短くするという方法もありますが、これもどうか。逆に年間授業時間数の地域格差を招きかねない。

 結局のところ、学校五日制の見直ししかない。

 私自身は五日制見直しには反対ですが、見直しを提言すればある意味、教育再生会議の役割は一応あったという評価をすることもできるのではないでしょうか。

 それにしても教育再生会議の議論はずさんすぎる。これではどうしょうもないとも思うのですが、そんな雰囲気を閣議決定という制度面からついた記事が下の毎日のもの。制度オタクである私は、こういうものの見方が好きです。
○教育再生会議:1次中間報告、閣議決定行わず(毎日新聞1月18日)

 ちなみに教育再生会議は、安倍首相の私的諮問機関ですが、その設置は閣議決定で行なわれるという異例のスタイルをとっています。
 




 ほかに気なるニュースとしては、教員給与関係の記事がありました。
○「主幹」「指導教諭」の創設を提言 中教審作業部会(朝日新聞1月19日)
 教員給与見直しについてはいずれきちんと書くつもりですが、この記事のポイントを説明しておきます。

 一般教員は、助教諭、教諭、教頭、校長の4種類しかなく、給与表も4つしかありません。実際には助教諭というのもごく少数なので、実質3種類とも言えます。つまり、先生はベテランも新米も教諭として同格なのです。ここが民間企業や他の行政職公務員と違うところです。

 記事の内容を噛み砕いて言うと、中堅やベテランの教員に対して管理職候補となる「主幹」、力量あるプロフェショナルとして教壇に残る「指導教諭」という2つの道をつくり、どちらも平の教諭よりも給与を高くしようという内容です。それが記事の中にあるキャリアの複線化です。

 ただ、教諭は皆同格という現在の組織は、教員という特殊な職業にとって必要だという意見も学校現場では多くあります。民間企業の感覚で、キャリアの複線化をよいことだと言い切れないところが、また学校教育の問題なのです。



○LD児ら対応の財源手当て=全小中学校に支援員配置へ(時事通信配信1月20日)
「総務省は19日、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの児童・生徒に対応する「特別支援教育支援員」を、約3万ある全小中学校に配置するため、2007年度から必要経費を地方交付税で財源手当てする方針を固めた。08年度までに1校当たり支援員1人を配置できるようにする。昨年の通常国会で成立した改正学校教育法では従来の盲・ろう・養護学校を、障害種別を超えた「特別支援学校」に一本化。また、LDなどの児童・生徒に適切な教育を行うことが新たに規定された」

 来年度から従来の特殊教育が「特別支援教育」に変わります。最も大きなポイントは、一般の学校の児童・生徒の中でも約6%存在するといわれるADHD、学習障害などの軽度発達障害の子どもに対応することが法律で規定されたことです。

 そのため、教員とは別に支援員を小中学校に配置するための財源を地方交付税措置するというのが記事の内容です。「方針を固めた」とありますが、地方交付税は2月の地方財政計画で正式決定するので、ニュース的には「決まった」とは書けないという事情があります。

 いずれにしろ支援員3万人配置は、政府の既定事項です。ただ、注意が必要なのは、地方交付税は地方自治体がどう使ってもよい財源なので、計算上、支援員3万人の予算があっても地方自体がそれに使わなければ、支援員は学校に配置されません。

 喜ぶ前に、きちんと地方自治体が指導員を予算化するよう見守る必要があります。現在でも教育支援員を独自に配置している地方自治体がありますが、きちんと地方行政を監視していかないと特別支援教育の地域格差が拡大する恐れがあります。




○手話教育をろう学校で=全国初、特区申請へ−石原都知事(時事通信配信1月19日)
「東京都の石原慎太郎知事は19日の定例記者会見で、ろう学校で現行の学習指導要領にはない教科「手話」を中心とした教育ができる教育特区を申請すると明らかにした。手話を第一言語とし、読み書きを第二言語にする「バイリンガルろう教育」に取り組む予定で、全国初の試みという。石原知事は「北欧や米国ではすでに行われ効果が実証されている。将来的に全国に波及し、日本のろう教育が一層充実していくことを期待している」と述べた」 

 これを見て、あれ、と思った人はかなり制度に詳しいか、するどい人でしょう。手話は、いまではNHKのテレビ講座もあるほどですが、実は日本のろう学校は手話によるコミュニケーショを正式な手段としては認めていないのです。中心は口話と指文字です。

 専門的にはやや違うのですが、簡単に言えば、耳の聞こえない人も自分の声で発声し、相手の話は唇を読んで理解する、というのがろう学校教育の中心なのです。いまでこそ手話に対する認知は広がりましたが、手話は健常者とのコミュニケーションをとれなくし、聴覚障害者の社会的自立を阻害すると非難するろう教育関係者も結構いました。

 そんな意味で、東京都の取り組みは、関係者の間でも賛否両論があるのではないでしょうか。




 このほか、今日の朝刊を賑わせた「いじめ実態調査見直し」についてはスルー。私には役所や政治家のアリバイ作りにしかみえません。



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教育再生会議の第1次報告を実効性のあるものに出来るか?
政府の教育再生会議は、19日に首相官邸で開いた合同分科会において、「ゆとり教育の見直し」や「体罰」の基準見直しなどを盛り込んだ、第1次報告の最終案を大筋で了承しました。 24日の総会で安倍総理に報告した後、通常国会で「教員免許法改正案」「地方教育行政法改正案.... ...続きを見る
教育アナリスト@能和一美通信
2007/01/21 15:58

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 私も同感です。教育再生会議にはそれほど期待はしていませんでしたが、あまりにもひどすぎる内容だと思います。基本的に野球と教育は誰もが評論家になりやすい分野だと思いますが、その多くは的はずれなものが多い気がします。
 英語教員の研修などでも、内容的には寂しいものがありました。誰かを教育したり、評価するというのはかなりの力量が必要とされますが、現状ではそれを期待できる人材が少ないように思います。さらに、10%増加させるという案ですが、学校運営によくあることですが、総体が変わらないのに増やすと言うことはどこかにひずみを残すことになります。今必要なのは、選択と集中です。今までぶくぶくと肥大化してきた教育活動を明確なビジョンの元いかに再構築していくかだと思います。
 何か偉そうなことをつらつら書きましたが、お許しください。私も現役教師としてブログを書いておりますので(ほとんど愚痴ですが・・・)、もしお時間がありましたが、お読み頂いて広い見識を持って助言をいただければと思っております。アドレスはhttp://blogs.yahoo.co.jp/rodo_montadeです
rodo_montade
2007/01/22 10:01
rodo_montadeさん、コメントありがとうございます。広い見識も助言できる力量も持っていませんが、そちらのブログに訪問させていただきます。
カラ
2007/01/25 01:07

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