斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 悪質教委実名公開の裏の意図

<<   作成日時 : 2007/02/12 23:42   >>

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 教委制度見直しの掛け声で、教育委員会に対する風当たりも強くなっています。これもその一つのようです。
○いじめでの転校認める「学校選択制」、従わぬ教委公表へ(朝日新聞02月11日)
○市区教委、いじめで転校「拒否も」半数(読売新聞2月11日)


 要するに、「いじめ」は入学する学校の変更や転校の理由になると制度的に決まっているのに、それを住民に周知していない市町村教委が1割以上もある上に、「いじめ」を理由にし入学先の学校の変更や転校の申請が出されても認めない場合があると半数以上の教委が回答したというもので、それに我慢しきれなくなった内閣府規制改革推進室が、そんな悪質な教委の実名を公開すると言い出したというお話。
 ○元資料となった内閣の教委アンケート調査はこちら
 ○さらに手前味噌ですが、そのアンケート調査を記事にした私の原稿はこちら


 さて、ひどい話ですね、これだけ「いじめ」が社会問題になっているのに、住民をだましているような教委がたくさんある。これは絶対に現在の教委制度を改革しないといけないと思いますよね


◎なんで11月発表の調査結果がいまごろ問題になるのか

 でも、ちょっと冷静に考えてみましょう。もともとの資料は、内閣府が11月に公表したアンケート調査の結果です。しかも、そのアンケートを実施したのも、分析したのも内閣府です。
 つまり、内閣府は教委の実名を公開するといってますが、それは自分たちでやったアンケートだから、各市町村教委の回答内容を知っているのです。政策検討のために内閣府のアンケートに回答した市町村教委に対して、個別の回答内容を問題にして「悪質教委」として実名を公開するというのは、フェアではない。こんなことをしたら市町村教委は二度と内閣府のアンケート調査に協力しないでしょうね。これはいくらなんでも道義に反します。

 さらに、昨年11月に公表されている話が、なんで今ごろ教委の実名公開なんて話になって出てくるのか。まあ、そろそろ各家庭に入学指定校通知が送られる時期ですから、それに合わせてということか、あるいは規制改革会議でところであの件はと蒸し返されたのかでしょうが、現在は教育再生会議第一次報告の教委改革とそれに伴う地教行法改正が、下の記事でも指摘されいるように、道府県や与党文教族などの反対論にあってすったもんだしている最中です。そして、教育再生会議は内閣府の所管ですね、、、、
○教育委員会改革、法改正難航必至(読売新聞2月11日)



◎やはり教育再生会議の援護としかみえない。
 問題的があることを前提に洗い出しの調査をしたのではなく、単なる行政アンケートで、その内容を実名で、しかも「悪質教委」として公開する。役所としては無茶苦茶です。

 しかし、それを承知で内閣府の規制緩和推進室や規制改革会議は、あえてマスコミにリークしたのでしょう。正式発表でないことは、各紙とも「方針を固めた」という表現をしているところで分かります。これは明らかに意図的なリークです。

 こんな役所の道義に反することをしても、「いじめ」というキーワードで国民には支持される。さらに、市町村教委の中にはこんな住民を騙すようなことをしているところがあるとアピールでき、だから国や都道府県が市町村教委を監督できるよう教育再生会議の報告どおりに地教行法を改正しないといけないというムードを盛り上げることができる。

 さらにうがった見方をすれば、教委の監督は文科省ではなく、内閣府でやるという意図も見え隠れします。教委の外部評価機関は、文科省ではなく内閣府に置くという案も教育再生会議ではとりざたされましたからね。

 おそらく、当たらずとも遠からずで、こんな図式でしょう。



◎でも、やはり市町村教委の体質にも問題はある。
 しかし、市町村教委にも問題はあります。

 一般に公立小・中学校は、入学先の学校が教委から保護者に通知されます。これを就学指定といいます。物理的に通学困難な事情があるなどの場合、保護者は就学先の学校の変更を申し入れることができます。これが就学指定の変更です。

 就学指定された学校で「いじめ」を受ける可能性がある場合も就学指定変更の理由になり、この制度を市町村教委は住民に周知することが学校教育法施行規則で義務付けられています。だから、これを住民に周知する活動をしなかった市町村教委は、法令違反と指摘されても仕方ないでしょう。

 ただ、市町村教委の気持ちも分からないではない。入学者数が変更になると、学級数も増減する可能性があり、教員人事がものすごく大変になるのです。しかも、それが新学期直前だと非常に困るのですね。しかし、やはりこれは住民に周知しないという教委が悪い。

 あと、「いじめ」を理由にした就学指定の変更、転校の申請について、半数以上が拒否する場合もあるというのは、ひどい話に聞こえますが、実は当然なのです。

 つまり、本当に「いじめ」が理由なのかどうか調べないといけないからです。比較的富裕層が多く学力も高いという学校がとなりにあれば、そこに子どもを入れるために教委が指定した入学先では「いじめ」があると言い出す保護者もなきにしもあらずだからです。

 逆に、「いじめ」だと言えば、入学先の学校の変更も現在通っている学校からの転校もすべてフリーバスとなったら、これは学校現場が混乱するだけでしょう。

 要するに、「いじめ」を理由に就学指定変更や転校ができるという制度を住民に周知しないことはいけないことですが、その申請があったらケースバイケースで判断し、なかには認めないケースもあるというのは、よく考えればごく常識的な対応だといえるでしょう。

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