斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 教育改革、当面はこうなる

<<   作成日時 : 2007/03/04 16:01   >>

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 教育再生会議の第一次報告を受けた教育改革3法案の中身がだいたい固まってきたようです。では、これで当面どう変わるのか。

○文科相、教委に是正勧告 緊急事態に限定(読売新聞3月4日)
○教育長人事への国の関与などは削除の見通し 中教審(朝日新聞03月03日)
○教育関連法案 副校長・免許更新了承(読売新聞2月26日)


 まあ、落ち着くところに落ち着いたというところなのでしょうか。では具体的にどうなるのか。法案ごとにみていきましょう。


 ◎教員免許の更新制は実質的に意味がない。
 ○教員免許法改正の方向
  まず、教員免許法改正ですが、免許更新を「教員の資質能力のリニューアル」と位置付けた文科省の中央教育審議会に対して、教育再生会議は「不適格教員の排除」の方策として見直しを迫ったわけですが、第一次報告で実質的に中教審答申以上の内容を盛り込めなかった時点で、この話は終わっていました。

 文科省にとっても、規定の路線どおりに法改正作業を進めるということで、一番議論がすくなかったのではないでしょうか。

 もともと教員免許更新制というペーパー教員も含む免許制度自体で、不適格教員排除などをしようというのが無理なりですよ。既に指導力不足教員の教壇からの排除制度は機能している現在、こんなことをしても予算と時間の無駄遣いです。

 一番の問題は、更新研修を誰がやるのか、その経費は誰が面倒をみるのか、研修カリキュラムと研修修了認定基準をどうするかのですが、こんな細かいことは文科省の省令などでやるので、法案には書き込まれません。

 具体的には法案が国会で成立してから決めることになり、周知期間や研修実施体制を整える時間も必要ですから、教員免許の更新制スタートは早くても2009年度以降になるのではないでしょうか。

 それにしても私学も含めて100万人以上教員はいますから、単純計算では毎年10万人の教員に講習を実施しなければならない。しかも、ペーパー教員が大量に講習参加を希望したら、いったいどうなるのか。現職教員の講習だけで手一杯の都道府県教委はやらないでしょうね。そうすると大学がやるしかないが、その経費は国が手当するのでしょうか。まさか、勝手に制度改正しておいて講習経費は全部自己責任ではすまないでしょう。

 それに現職教員に講習費を負担しろというのも無理ですね。自分の免許だから自前でやれといったら、勤務時間中に講習を受けさせることができなくなる。

 結局、国民の血税を無駄に使い、忙しい教員から子どもと触れ合う時間を奪い、残ったのは関係者全員の徒労だけ。

 米国などでは教員免許の更新制がありますが、それは満足な教員養成課程が大学にないからです。日本とは教員養成の在り方が全く違います。ぜひ国会で廃案にしてもらいたいものです。


 ◎学校教育法改正で大幅に遅れる学習指導要領改訂
 ○学校教育法改正の方向
 学校教育法改正もマスコミではさまざまに言われていますが、文科省にとってはほぼ全て織り込み済みの事案でこれも問題はなかったでしょう。

 改正点は、大きくいって教育基本法改正に合わせた各学校段階の教育目標などの関連事項の改正、そして副校長、主幹、指導教諭という新しい職の新設です。

 このうち副校長は、現行では東京都のように「教頭全員」を副校長としているところと、大阪府のように「教頭と校長の中間」に副校長を作っているところがありますが、マスコミ報道を見ると学校教育法改正では大阪府方式になるようですね。

 法案が成立すれば、大雑把に言えば2008年度から教員は、校長、副校長、教頭、主幹、指導教諭、一般教諭という6種類に分けられることになります。

 これに連動して、教職調整額の一律支給を廃止して、実績主義や能力主義により支給額にメリハリをつけるという給与制度改革も行われることになります。これによって学校現場がどうなるのかは、長くなるのでまた別の機会に。

 一方、マスコミでの指摘はありませんが、一番の問題点は学習指導要領の改訂が大幅に遅れるということです。だいぶ前の当ブログで、学習指導要領の改訂は今年3月と書きましたが、覚えているでしょうか。現在、そんな話はまったく聞かれないわけです。

 なぜかといえば、教育基本法改正により学校教育法も改正しなければならなくなったので、学習指導要領を改訂できないのです。学習指導要領の根拠法は学校教育法ですから、それが国会で審議されているのに学習指導要領だけ改訂すれば、国会軽視にという批判が与野党から出るでしょう。

 さらに、教育再生会議が審議中ですから、それをさしおいて学習指導要領を改訂するわけにもいなかいでしょう。

 教育再生会議は、今年末に最終報告の予定です。5月に予定されている第二次報告で、教育内容についてはもう審議しないから学習指導要領を改訂しなさいと教育再生会議自身が明言しない限り、文科省は動けません。

 ということで、学習指導要領の改訂は早くても年明けということになります。

 茶飲み話に終始している教育再生会議などで時間をつぶすよりは、早く学習指導要領を改訂した方が、よほど国民のためになるのですが。

 「ゆとり教育」を潰すと言っている人たちのために、学習指導要領の改訂が大幅に遅れているという状況は、まさに茶番です。


 ◎文科省の権限強化はでるのに、私学への指導体制強化案は簡単に潰れるのはなぜ。
 ○地方教育行政法改正の方向
 地方教育行政法の改正も都道府県教育長の任命承認権の復活まではいかず、ある意味で常識的な線に落ち着いたようです。

 文科省の勧告権などの復活は地方分権に逆行するのは確かで、勧告権などが廃止される前の2000年以前の状況にもどるわけです。

 しかし、だからといって1999年より前の都道府県教委は文科省に完全に支配され、それ以降は独立したかというと決してそんなことはないわけで。現実的にみれば、教育行政が大きく変わることはないのではないでしょうか。


 それよりも問題は私学です。というよりもそれに対する社会やマスコミの反応です。
○私学中の1割、72校で必修漏れ 文科省調査(朝日新聞02月27日)
○私学への教委関与前向き…文科相(読売新聞2月28日)

 未履修問題や履修漏れ問題が出たとき、マスコミは一斉に叩いた。そして、6年制一貫の私立中学校でも未履修問題があった。伊吹文科相は、私学に対する教委の指導権限を強めようとした。なぜなら、私学は知事部局の管轄で教委は実際に手が出せないからです。

 にもかかわらず、私立中学校を批判する記事も意見もほとんど出てこない。公立高校が学習指導要領をしているから教委と文科省の権限を強化せよ、いじめ自殺で教委は信用できないから文科省の権限を強化せすといっておきながら、私立中学校が学習指導要領違反をしているのに監督を強化せよという声はさっぱり聞こえない。先のニュースにもあるにように、中教審や自民党の検討でも早々に課題から除外されました。愚直にすじを通した伊吹文科祖がかわいそうに見えるほどです。

 私自身は、教委による私学への指導権限など強化する必要は全くないと考えています。

 にもかかわらず、あまりに簡単に私学への指導権強化が課題から外されるのは、違和感がぬぐえません。

 私立中学校受験は、記事や広告を含めてマスコミの一大収入源です。私学団体は自民党の有力な支持団体です。

 でも結局、私立中学校が学習指導要領どおりの教育をすれば、それは困ると思っている人が少なからず社会にいるからでしょう。学習指導要領違反はけしからん、国の権限をもっと強化すべきだと騒いだあげくの結末がこれだとは、、、、、

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
いつもながらすぱっと切れる文章を書かれますね。よく分かりました。
昨日NHKのいじめ番組を見ていて本当に日本国民はマスコミに誘導されやすいなと感じました。意見の言葉一つ一つマスコミで流れた言葉をそのまま言っているだけで、結局マスコミの使った言葉を強調しているだけでした。
更に、その言葉に流される教育再生会議の話にはがっかりさせられるばかりです。
so
2007/03/04 22:05

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