斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 続・学習指導要領の改訂時期と内容

<<   作成日時 : 2007/03/18 03:34   >>

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 今回は学習指導要領の改訂について。


○小・中学校の新学習指導要領告示は来年度末ごろか

◎学習指導要領改訂「再生会議にとらわれず」 中教審部会(朝日新聞年03月16日)

 ちょっと前のエントリーで、学習指導要領の告示は今年の秋から年末くらいと予想を述べましたが、上の記事によると中教審では「夏ごろに中間まとめをし、年内の答申を目指す」とされています。

 前回の学習指導要領告示の例でいうと当時の教育課程審議会答申から学習指導要領の告示まで約5カ月ほどかかっています。朝日新聞の記事が正しいとすると、答申が秋から年末とすると学習指導要領の改訂時期は来年3月から5月ということになります。

 今回の学習指導要領は、中教審答申から前回ほど時間がかからないと予想されます。また、春以降にずれこむと教科書作成の関係で新学習指導要領の実施が1年遅れることにもなりかねません。しかし、既に学習指導要領の改訂は、文科省の当初の予定よりも遅れているため、これ以上遅らせることはできないと思います。

 となると、学習指導要領の告示は小・中学校が来年度末もしくは来年4月ごろ。半年ほど遅れて高校の学習指導要領の告示というのが常識的な線でしょう。

 そして、教科書作成、検定、採択という流れを経て、新学習指導要領の実施は、早くて小学校が2011年度、中学校が2012年度、続いて高校が学年進行で2013年度でしょう。




○一律の授業時間数増加は実は困難

◎春・夏休み短縮土曜に補習 ゆとり教育見直し(読売新聞3月15日)
◎教育再生会議:小中の1日7コマ授業など検討(毎日新聞3月15日)

 最初の朝日新聞の記事と合わせて、読売と毎日の教育再生会議の記事を読むとなかなか面白いです。というのは、結局のところ授業時間数の増加といいながら、中教審も教育再生会議もどうやって全体の授業時間数を増やすのか、実はまったく打つ手がないというのが本音であろうことがうかがえるのです。

 つまり、一律に学習指導要領の授業時間数を増やすことができないのです。

 なぜかというと、学校五日制のためです。現行でも小学校低学年あたりを除けば小・中・高校ともに年間授業時間数はほぼ限界に達しています。これが例えば国語、算数・数学、英語のみを増やすというのならば、ほかの教科の授業時間数を減らせば可能ですが、とても一律に年間授業時間数全体を増やすなど、実はもうできないのです。

 だから、中教審は授業時間数1割増などという教育再生会議の提言をそのまま飲むことはできないし、教育再生会議も一律に授業時間数を増やす方法を提言することはできないというのが実情でしょう。



○結局、授業時間数の増加は学校現場任せに?

 では、どうするのか。読売と毎日の記事によると、平日7時間授業、土曜日補習、夏休みなど長期休業期間の短縮などの例を挙げています。しかし、既に述べたようにこれらを一律に適用するのは困難です。となれば、学習指導要領が示す授業時間数は最低限のものであるとした上で、これにどういう方法で何時間上乗せするかは地方自治体や学校現場の裁量に任せるということになるのではないでしょうか。

 日本教育新聞3月12日付けのインタビュー記事でも教育再生会議の分科会長の一人が、どういう方法で授業時間数を増やすかは学校現場が判断すればよいと述べています。

 実はこのような考え方は、中教審の教育課程部会が昨年2月にだした審議経過報告の中で、既に示唆されています。こういう内容です。
○  また、授業時数の在り方については、その量的な側面だけでなく、各学校における教育活動の創意工夫により、効果的な学習指導ができるよう、その弾力的な運用等についても検討する必要がある。
○  現在、各学校では、例えば、朝の10分間などを活用して、学習習慣の確立といった観点から、読書活動、音読、計算のドリル学習などが行われている。こうした標準授業時数の枠を超えた学習活動について、国の基準上の取扱いについて検討する必要があるとの意見が示されている。
○  現在は標準として定められている授業時数の扱い、学年ごと教科ごとに示されている授業時数の示し方について、柔軟化することも検討する必要がある。


 結局のところ、学校五日制を廃止しない限り、授業以外の活動の一部を授業時間数に含めるよう読み替えていくしか方法がなく、それは地方自治体や学校現場の裁量に任すしかないということなのですね。

 しかし、教育内容は学力向上路線からいっても増えることは間違いない。

 つまり、最低基準である学習指導要領の教育内容を教えるために必要な時間数が、従来の枠に収まらない場合、学校は学習指導要領の内容をこなすためだけでも今以上の授業時間数を確保する工夫を迫られる可能性があります。そして、それがうまくいっているかどうかを全国学力テストによって、国が判定するということになるのでしょう。

 教育関係者以外には少し分かりづらい説明でしょうか。

 簡単に言えば、新学習指導要領では小・中学校でも市町村、各学校ごとに年間授業時間数が異なるということです。

 これを学力格差の拡大ととるか、学校や地方自治体の裁量の拡大ととるかは、また見方が分かれるところですが。


まとめれば、

 ○乱暴な言い方をすると、新学習指導要領はその内容を教えるのに、各学校が授業時間数を増やす工夫を任される。だから、学校ごとに年間授業時間数が異なってくる。

 ○最低基準である学習指導要領の内容をきちんと教えたかどうかは、全国学力テストで国が評価する。

 ○地域や子供の実情に応じて授業時間数をさらに増やさせる学校は、学習指導要領以上の内容を教えることができる一方、最低限しかできない学校も出てくる。

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
いつもわかりやすい解説ありがとうございます。読んでいて感じたことは、今回の指導要録改正は学習時間と学力そしてそれに伴う子供たちの学習への意欲の変化を試すためのものだなと思いました。過渡期の第3幕目が上がるんだなと感じました。直感的には益々学習者の意欲をそぐ方向に、2極化を助長する方向に、(力弱き)教師を保護者を子供たちを追い込む弱肉強食の教育環境になっていく気がします。後何年続くのか。もうそろそろ理詰めの教育論は止めるべき時に来ていることに国民全員が気がつくべきだと感じました。
日教組の幻想(すべての子供はやればできる。=同じ結果を出せる)が蔓延してきた感じがします。

力弱き人たちがみんな病気(LD、ADHD、アスペルがーETC)扱いされ差別されだしてしまう。
教師になって自分を省みると語学系のLDと人見知りのアスペルがーが少し入っているなと感じます。
so
2007/03/18 16:52

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