斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 授業時間数10%増は数字のマジック

<<   作成日時 : 2007/09/16 14:22   >>

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 学習指導要領改訂のニュースが日刊紙でもどんどん流れるようになりました。ネタもとは中教審の教育課程部会の会合を各社とも傍聴取材しているので、取り上げる事項のウエートの違いはあれ大筋はどれも同じです。
 また、中教審の議事録もどんどん最新のものがアップされるようになりました。これをマスコミ的に解釈すると、「ゴールが近い」ということです。議論が微妙な論点を含んでいる時、役所は議事録をアップしません。更新が遅れているという体裁をとって、中身を公表しないのです。でも、大筋が決まってゴールが見えてくると、怒とうのごとく議事録の更新が行われるようになります。

 まあ、各教科の中身の話はさておいて、今回の改訂の目玉は「授業時数の10%アップ」でしょう。しかし、、、、、これって本当は数字のマジックではないでしょうか。もう気がついている方もいるでしょうが、電卓を叩くと帳尻は合うものの、では具体的に可能なのかというと疑問だらけなのです。

 例えば、小学校の場合、6年間で350時間の授業時間数の増加となっています。具体的には、国語、算数、社会、理科、体育の時間数を増やします。
 で、どうするか。中教審の教育課程部会の資料は次のように説明しています。

 (4)総授業時数
○ 現在の各学年の総授業時間数は、児童の発達段階等を踏まえ、第1学年は782単位時間(週23コマ相当)、第2学年は840単位時間(週24コマ相当)、第3学年は910単位時間(週26コマ相当)、第4学年から第6学年までは945単位時間(週27コマ相当)となってる。
○ 今回の改訂では、上記(3)のとおり、総合的な学習の時間を、中学年及び高学年で各学年35単位時間(週1コマ相当)程度縮減することにより、4年間で140単位時間(週4コマ相当)程度が縮減されることになる。一方、高学年において、英語活動を総合的な学習の時間とは別に週1コマ程度行うこととすると、2年間で70単位時間(週2コマ相当)程度が英語活動に充てられることになる。
このため、国語、社会、算数、理科及び体育に関して、これらの各科目を通じて6年間で350単位時間(週10コマ相当)程度増加させるためには、6年間で280単位時間(週8コマ相当)程度増加させる必要があることになる。
○ さらに、これらの各教科等の授業時間外に、児童会活動やクラブ活動が行われていることや、学校が組織的な教育力を発揮する上で必要な職員会議等の時間を確保する必要があることを踏まえる必要がある。
○ このように、児童の発達段階や、授業時間外の諸活動の必要性等を踏まえつつ、6年間で280単位時間(週8コマ相当)程度増加させるとすれば、小学校の各学年の総授業時数は、低学年で年70単位時間(週2コマ相当)、中・高学年で年35単位時間(週1コマ相当)程度増加させることが適当と考えられる。


 ここで主要教科プラス体育の6年間350時間増という一般的なイメージが間違いであることが分かります。

 @ まず、実質的には280時間が授業時間数の純増分です。

 A具体的には、3年生以上の総合的な学習の時間を週1時間削減します。5・6年生ではこの削減分が「英語」に回るので、最終的には1・2年生は週2時間、3年生以上は週1時間の授業時間数増をします。これで、6年間で350時間、つまり現行よりも主要教科時間数が1割アップとなる計算です。


 つまるところ、授業時間数10%増とマスコミなどは大騒ぎしていますが、低学年で週2時間、中・高学年で週1時間増えるだけなのですね。

 でも、ちょっと待ってください。学校週5日制はそのままです。現在でも各学校は、授業時間数の確保に四苦八苦しています。学習負担の増加という問題を考えなければ、授業の組み方に余裕がある低学年はなんとかなるでしょう。しかし、中・高学年でどうやって週1時間の純増を生み出すのでしょうか。

 その答えは、先に引用した資料の注釈の部分にあります。これです。

※ 現在、公立小学校(第5学年)では、9割以上の学校において標準授業時数を上回って教育課程を編成。このうち、年35単位時間(週1コマ相当)程度上回っている学校は6割程度。
※ 始業前などに全校一斉のドリル学習や読書活動に取り組んでいる学校は9割程度。


 要するに、現行でも小学校の6割は、学習指導要領より週1時間程度多い授業時間を組んでいるから、週1時間増はできる、、、、、、、ということなのです。

 そして、それでも間に合わなければ、次の手を使います。

○ 国として示す標準授業時数を増加するにあたって、増加した授業時数をどのように確保するかについては、教育委員会や各学校の裁量でそれぞれの学校や児童の実態等を踏まえ、多様な取組により増加させることが考えられる。
○ 例えば、
・週当たりの授業時数の増加のほか、
・教科教育の一環として朝の10分間を活用した読書活動、ドリル学習の活用
・1単位時間を変更したモジュール学習の活用
・長期休業日の短縮
などの方法が考えられる。また、同様の取り組みにより、各学校の裁量で標準授業時数を上回る授業を実施することも可能であることを明示することも考えられる。

 早い話が、現行でも9割の学校が朝の読書やドリルをやっているから、これを授業時間数にカウントすれば、大半の学校は授業時間数の1割増が可能だということです。


 なるほど、、、、とうなずきます。そして、疑問がわきます。

 6割の学校が週1時間多く組んでいる、9割の学校が課外活動で教科関連学習をしている。それを授業時間数に組み込めばよい、、、、、、、これって純増なのですか?

 私の頭で考えると、現在余分に設定してある授業時間と課外活動の時間を学習指導要領の標準授業時間数にカウントしても、実際の授業時間数が増えることにはならない、、、、という結論になるのですが、、、、私の頭が悪いせいでしょうか。

 中学校もほぼ小学校と同じ理屈で授業時間数の増加が図られています。
 ○小学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)
○中学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)


 結局のところ授業時間数の10%アップというのは、学校現場にしてみると「数字のマジック」以外の何ものでもないのではないでしょうか。

 最後に誤解のないようように言っておきますが、私は授業時間数をもって増やせと言いたいのではありません。

 授業時間数が週1時間増えれば、学力が上がるのか、、、、そんな疑問を放置したまま、学習指導要領の標準授業時数をクリアするにも各学校が四苦八苦の工夫をして、課外活動まで授業時間数にカウントしなければならないようなものが、本当に最低限の基準であるはずの学習指導要領といえるのか、、、、、、ということです。


これがそのまま学校に適用されれば、問題のある地域や子どもが多い学校では、学習指導要領の標準授業時数をこなすことさえ不可能になるでしょう。逆に恵まれた環境の学校は、さらに標準授業時間数以上の授業をこなすようになるでしょう。


 ちなみに、実質的に必履修科目と卒業必要単位数しか学校を縛るものがない状況になっている高校については、授業時間数の増加などは全く議論されていません。ようするに各高校で勝手にやれということです。これはこれで高校としては当然かと思います。しかし、そのような考えた方を小・中学校にまで導入する必要があるのか、、、、、、私は疑問を感じます。

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内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
「逃げないほうが楽なんだよ」というブログを書いています。
現職の高校教員です。
偶然、貴ブログをみつけ、大変面白く拝見いたしました。
拙ブログのお気に入りにリンクさせていただきました。
よかったら、拙ブログにもお越し下さい。
よろしくお願いいたします。
TOM
2007/10/29 22:49
更新がとどこおっていますが、訪問ありがとうございます。こちらも訪問させていただきます。
カラ
2007/10/30 19:44

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