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中教審の高大接続テストって何?

2008/01/27 00:33
 今回は当ブログでは珍しく大学入試関連の話題。

○推薦・AO入試に学力検査導入案 中教審部会が提言へ(朝日新聞1月23日)
○大学入試:AO枠に学力テスト−−中教審提言(毎日新聞)

 大学全入時代を迎えて、大学生の学力保証のために推薦入試、AO入試にも学力検査を実施するなどを盛り込んだ報告を中教審学士課程教育小委員会のワーキンググループがまとめたというニュースです。ネットにはまだ公開されていないので、つてを頼って手に入れました。なんだ、推薦やAOでも学力テストをするのね、、、、、という話ではすまないようです。


○高等教育の質の保証は、高校教育から
 まず、この報告をまとめたワーキンググループの名前が「高等学校と大学との接続に関するワーキンググループ」なのです。

 しかも報告書の中のキャッチフレーズがすごい。私だったら記事の見出しにこれを使いますね。それは『「選抜」から『相互選択』へ」というタイトルです。私立大学の少なくない部分が、学生を入試でえらぶどころか、入試を受けてもらうために必死になっています。いやま、多くの大学は学生から選ばれる立場にあります。要するに報告は、大学入試という「入口」が、もはや学生の質を保証するものとはなり得ないという現状を踏まえて、書かれているのです。

 報告はこう指摘しています。
「高校教育の質の保証・大学の入口管理を(大学)入試機能に依存し続けると、高校教育・大学教育の双方に大きな影響を及ぼす懸念がある」

 そして、報告は大学教育の質を保証するためには、高校教育の質を上げることだという認識を示しています。


○大学入試は昨春ターニングポイントを超えた
 このような議論が中教審で起きるのは、大学入試が昨年春に大きな曲がり角を迎えたからです。詳しい数字は省略しますが、昨年春に現役生の大学・短大進学率が史上初めて50%を超えました。ある学説にしたがえば、日本の高等教育はマス化からグローバル化(普遍化)の時代に突入したことになります。

 さらに日本私学振興・共済事業団の調査によると、昨年春の私立大学入学者のうち推薦とAOで入学した者の比率が、50%を超えました。つまり、私立大学新入生全体のうち半数以上が学力検査なしで大学に入学したのです。


○高大接続テストは「推薦・AO版統一学力試験」のことだった 
 で、報告はとりあえず現行では学力検査をしてはならないとされている推薦とAO入試に学力検査を導入することもできるようにしようと提言しています。

 しかし、マスコミ各紙が書いている「高大接続テスト(仮称)」の意味がよく分かりません。私は、新聞報道を読んでいてこれは何だろうと思っていました。

 で、報告を読むと、、、、、、、、、『「学力担保」措置として、高校・大学が協力してAO入試や高校の指導改善に活用できる新しい学力検査」と説明されています。

 要するに、一般入試用である大学入試センター試験とは別に、推薦入試・AO入試を受ける受験生用の統一学力テストをつくるということでしょう。

 おそらく、各大学は「高大接続テスト」何点以上などの志願ラインを設定する。高校は、こんな成績では推薦・AO入試に出願できないぞと生徒を指導する、、、、、そんな感じでしょう。

 もちろん、これが実現するかどうかは分かりません。しかし、全国高等学校長協会ははやばやと賛成を表明しました。

 推薦・AO入試で大学に入るから勉強しなくてもよい、、、、とはならない時代がくるかもしれません。しかし、現在の大学、高校にとって、これは諸刃の剣でもありましょう。

 いずれにしても、大学教育の質の確保という中教審の論議は、実は大学や大学入試だけの話ではなく、高校教育をも巻き込んだものなのです。今度の大学改革は、高校改革につながっていくでしょう。
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中教審が教員免許更新制で報告

2008/01/22 15:04
 教員免許の更新制の制度設計を審議しているのは中央教育審議会の教員養成部会ですが、ここの報告がまとまったようです。ようですというのは、文科省のホームページではまだ案という形で掲載されているからです。

 ただ、当日の会合を取材した人間に聞いたところ、報告として了承され「報告(案)」の案の文字が取れたということです。つまり、報告を上の分科会なりに手渡すセレモニーが残っているが、部会レベルでは実質的に了承されたということでしょうか。

 部会報告はこちらです→部会配布資料

 内容はこれまで当ブログで説明してきたことと大きく変わりませんが、細かい点、これで説明していない点などがありました。

 ○ペーパー教員でも教職経験があれば更新講習の受講が可能に
 これは都道府県教委や私学団体からの要請を受けたものです。中教審は当初、ペーパー教員については、教員採用内定者、非常勤講師候補者リスト掲載者のみを受講対象としていました。しかし、それでは急場のときに非常勤を採用できない恐れがあるということで、非常勤講師を含む教職経験がある者はすべて更新講習を受講できるようにしたものです。


 ○更新年齢の現職教員でも更新対象にならない場合もある。
 免許更新は、改正教員免許法前に免許を取得している現職教員については、年齢に応じて35歳、45歳、55歳になる年度の3月31日が更新期限になりますが、その年齢でも更新対象にならない場合がある。細かいことですが、一度民間に就職してから教員免許を取得して教員になった者など、免許取得から10年を経過してない者は、この年齢がきても更新講習をうけずに、取得後10年目で更新することを選択することができるということのようです。

 ○教委の教育センターによる講習はあまで補助的役割。
 更新講習の主体は、大学であることを強調する文章が追加され、教委の教育センターは地理的に大学で講習を受けるのが難しい教員がいる場合など補助的位置づけで開設することが明示されています。
 どうせ、いつものセンター研修だろうとたかを括っていると痛い目に遭うかもしれません。

 ○大学の更新講習開設に細分化防止の歯止め
 これは受講者にはあまり関係ない事項ですが、講習を開設するにあたって最低でも必修部分が12時間以上、選択部分が8時間以上のいずれかでないと講習開設を認めないという歯止め規定のようなものが追加されています。
 これは、経費も人手もかかるので、アリバイ的に1、2時間程度を形式的に開設してすまそうという私立大学を牽制したものでしょう。
 教育行政的に見ると、文科省による大学への露骨な圧力ということで、これが最大の問題となりそうなのですが、、、、、、、


(余談)
 それにしても学習指導要領の中教審答申は、昨年の「審議のまとめ」と内容に大きな変化がなかったため、新聞などマスコミの扱いが小さかったこと、、、、
 でも、道徳の教科化は文科相に下駄を預けたという書き方には笑ってしまいました。

 なぜか、、、、、だってもう学習指導要領はできているんですよ。

 中教審答申からパブリックコメント用に学習指導要領原案を公表する2月末までの1か月あまりで、学習指導要領作成が一から始まるなどと思っている人がいたら、その人はあまりに人が良い。

 学習指導要領が1カ月でつくれるわけがないでしょう。実際のことを言えば、各教科の学習指導要領は大枠は一昨年中にできているのです。遅くても昨年秋には各教科ともほぼ完成していると見てよいでしょう。

 現行の学習指導要領までは、中教審答申→教育課程審議会答申→各教科の学習指導要領作成会議→学習指導要領告示という流れで、ほぽ5、6年をかけていました。それが行政改革で教育課程審議会が中教審に統合された上に、常時、学習指導要領の改善については審議するという形になり、実際の学習指導要領作成過程が見えなくなりました。

 以前は、教育課程審議会答申が出てから学習指導要領作成会議が設置されたので、マスコミは関係委員などから独自で取材したものです。ところが、今回の学習指導要領は答申審議とは別に中教審内部の各教科の委員会が日常的に活動していたため、マスコミはほとんどこちらをチッェクすることをしなかったようです。

 これでもよい言えばよいのですが、肝心要の学習指導要領の作成過程を監視してチェックするというマスコミの機能が次期学習指導要領では働かないわけです。

 いつのまにか出来上がっていた各教科の学習指導要領が、中教審答申から間をおかずに告示される、、、、、このような方法は行政的には当たり前ですが、こと学習指導要領という問題に限れば、正しいことなのか。私は疑問が残ると思います。

 なぜならば、中教審が学習指導要領の改訂を審議しているのに、各教科ではもう既に学習指導要領作成の作業をしているとはいえません。ただ、現在社会が教育行政に求めるスピードを考えれば、中教審答申と同時並行で学習指導要領作成の実務作業を進めるしかありません。

 よって、以前ならば学習指導要領の作成と同時に、広く教科関係団体などが侃侃諤諤の論議を始めたものですが、現在では実質的に関係者のみしか論争に加われないからです。

 ちなみに、現行学習指導要領も含めてこれまでは答申から告示までに、通常2年、短くても1年は期間がありました。
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大学の質の保証が招くのは後期中等教育の複線化か?

2008/01/15 00:43
今回取り上げるのは地味なニュース。でも、この影響はもしかしたらかなり大きいかもしれないと私は思います。

○大学評価で統一基準を研究(読売新聞1/13)
 OECDの非公式教育相会議が東京で行われ、「高等教育の成果の評価」について国際的統一基準をつくり大学評価を行うための研究をすることで合意したというニュースです。

 地味です。ほー、そうですか、、、、で普通なら終わりです。でも、、、、、もし、これが実現すると一番影響というか被害を受けるのは「日本の大学」だと私は実は思っています。施設や設備などの教育条件の評価ではなく、学生の教育成果という基準で見た場合、世界レベルの高等教育水準に達する学生を送り出していると胸を張れる大学が、いったい日本に何割あるでしょうか。

○大学教育の質の保証をあせる文科省 
 確かこの問題は、アラブの王族など金持ちの子女に学位を乱発する大学が西欧で増加していることが発端だったと記憶しています。しかし、一般的には、西欧などの各国では大学進学率自体が低いのでさほど問題ないでしょう。大学進学率が高い米国では入るのは簡単だが出るのは難しいという『厳格な成績管理』が一般的に導入されており、教養教育、研究者養成、専門家育成など大学の機能分化も進んでいるので大丈夫でしょう。しかし、日本の大学はどうでしょうか、、、、、、。

 文部科学省の中央教育審議会は昨年、「学士力」などの言葉がマスコミで話題になった学士課程教育の質の保証に関する報告をまとめています。この背景には、現役大学等進学率が昨年春に初めて50%を超えたという大学教育のグローバル化という問題がありますが、国際的な大学評価の動きも念頭にあったはずです。このままいけば、日本の大学教育に対する世界的な信頼が失われかねないという、、、、、、。


○大学に巻き込まれる高校教育
 しかし、ことは大学教育の質の向上というだけにとどまりません。中教審の大学分科会では「高校教育の質の保証」も検討テーマの一つになっています。また、一般には報道されていませんが、同じ中教審の教育課程部会でも「高校教育の質の保証」がテーマとして議論されています。ようするに、日本の大学教育の質を向上させるには、大学だけではなく高校教育にまで手を入れないといけいなという認識が中教審、つまり文科省にはあるのです。

 では、高校教育の質を上げるにはどうするか。ずばり、大学を受験するために資格制度を導入することです。結局は批判が多くて第三次報告には盛り込まれませんでしたが、昨年末に教育再生会議で議論された「高卒テスト」ですね。

 ひねくれた私は、「高卒テスト」の議論は、世論の反応を見るためにわざと文科省の事務方が教育再生会議に持ち込んだのではないかという全く根拠のない妄想までしてしまいます。


○行き着く先は後期中等教育の複線化か
 中学校卒が入る5年一貫の高等専門学校(高専)があるものの、日本の後期中等教育は高校という制度にほぼ一本化されています。実際は、学力、進路などにより同じ学校として議論できないほど高校は多様化しているのですが、高校を卒業すれば大学受験ができるということに変わりはありません。

 現在の大学が仮に何割かが経営的理由で淘汰されたとしても、現役高校卒の50%が大学等に進学する現在の状況が続く限り、大学教育の質を向上させることは難しいでしょう。米国のような「厳格な成績評価」は日本の風土に合いません。

 となると、大学受験者を絞らなければならない。しかし、同じ高校教育を受けながら、大学を受験できる者とできない者が分かれる大学受験資格試験のようなものも、はやり日本の風土に合わないことは昨年末の教育再生会議の議論やそれに対する世論の反発で明らかです。

 では、どうするか、、、、、、後期中等教育を複線化し、大学進学を前提とする高校、専門的な技能者養成の職業学校に再編していくことではないでしょうか。

 いますぐというわけではありません。しかし、あまり遠くない将来、後期中等教育の複線化という課題が出てくると私は思います。その発端が、もしかしたら今回の国際的な大学評価の話ではないかというのが私の考えです。

 そのように考えると、

○工業高や商業高、5年制職業校に再編…政府・自民が検討(読売1/8)

 職業高校を統合して5年制の職業学校をつくろうという上の記事のについても、単なる職業教育の活性化などというのとは違った読み方ができると思います。


 大学の国際的な質の保証という世界的な要請を前にして、日本の教育は
@18歳で一斉に大学進学することをやめて、多様性な年齢層を相手に機能分化した大学・大学院が厳格な教育を行う米国型
A進学か職業かという階級制度のなごりを残した複線化された後期中等教育を持つ西欧型

 のいずれかを選択するか、あるいは日本独自の方法を新たに見つけ出すことを迫られているというのが現状なのではないでしょうか。
 
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更新制で一般人の教員免許はどうなるの?

2008/01/11 02:19
だいぶ長い間放置状態が続いておりました。今年は何とか更新を続けたいと思っています。

で、再開第一弾ですがニュースを扱う暇がまだありません。すみません。というわけで、このブログに来る方たちの中で「免許更新制」で検索する人がけっこう多いこともあり、それについて少し説明しておこうかと思います。現職教員向けには過去のエントリーがあるので、一般の方、つまりペーパーティーチャーの扱いについて説明しようかと思います。

教員免許を持っている一般人向けとして文部科学省もページをつくっているのですが、さすが役所のするあることで、、、、、、、一般人が読んでもたぶんさっぱり意味が分かりません。

◎現在の教員免許保有者と免許更新期限の関係は。
 改正教員免許法(以下「新法」)では、改正前の教員免許法(以下「旧法」)による免許取得者の扱いは、省令で定めるとなっています。これは今年三月までに文科省から出される予定ですが、主な内容は既に中教審から報告されています。

 で、結論を言えば、35歳、45歳、55歳になった年度の年度末(3月31日)までが、旧法免許取得者の免許有効期間です。

 2009年度から新法が施行されますが、免許更新講習は2年間かけて受講できることになっているので、実質的には34歳、44歳、54歳の免許保有者から更新対象に組み込まれることになります。

 つまり、2009年4月1日から2010年3月31日までの間に34歳、44歳、54歳になる者が最初の免許更新制の対象者となるわけです。そしてこの人たちは、2010年3月31日までに免許更新講習の修了確認がもらえないと、教員免許が失効します。以下、毎年度、このサイクルが続き、10年たつとすべての旧法免許保有者が修了確認を受けて免許が更新するか、失効するという仕組みです。

 一度、免許が更新されれば、免許はさらに10年後の年度末まで有効となります。

 なお、2009年度からの新法施行後に教員免許を取得した場合は、有効期間はすべて取得日から10年間となります。

◎ペーパーティーチャーの免許のほとんどが2010年度末から順次失効していく。
 中教審の報告によると、免許更新講習の受講は、現職教員、教員採用内定者、非常勤講師候補者リスト掲載者、教員勤務経験者に限られています。

 よって、旧法で教員免許を取得している現行の免許保有者のうち、非常勤講師を含む教員経験がないペーパーティーチャー、非常勤講師の候補者としてリストにないペーパーティーチャーは、2010年度以降、35歳、45歳、55歳のいずれかの年齢になった年度の3月31日で、保有する教員免許が自動的に失効することになります。

 
 教員免許の保有者は現在、膨大な数に上っていますが、免許更新制によってペーパーティーチャーが消滅していくことで、その数は大幅に減っていくことになるでしょう。


◎ただし、必要ならば免許復活は可能。
 免許更新講習の受講に制限があることから、一度免許が失効した者についても免許更新講習と同じ復活講習を受ければ、教員免許が復活することになっています。

 ただし、教員採用内定、非常勤講師候補者リストなどへの掲載が受講の前提条件となります。




 このようにペーパーティーチャーの免許は、順次失効していくことになるわけですが、おそらく教委から「あなたの免許は失効しました」というようなお知らせはこないでしょう。

 ということは、知らない間に失効しているという事態も起こるわけです。35歳、45歳、55歳になった時には気をつけたほうがよいでしょう。
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斎藤剛史の教育ニュース観察日記 2008年1月のブログ記事/BIGLOBEウェブリブログ
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