アクセスカウンタ

テーマ「教育再生会議」の記事 help リーダーに追加 RSS

トップへ  |  テーマトップへ  |  テーマランキング一覧へ


教育再生会議の競争原理導入報道の裏側

2007/04/13 00:56
 教育再生会議が学校教育に競争原理を導入し、生徒の集まる学校には予算を多く配分し、集まらない学校は統廃合するという報道は、各方面でいろいろな波紋を呼んでいるようです。賛成、反対さまざまですが、、、、ここでその報道は真実だったのかということを検証したい。実は、私たちはある意図に載せられているのではないか。

 ことの発端は朝日新聞の4月8日付け記事です。
◎教員給与、査定で20%増減 再生会議提言へ
「政府の教育再生会議は、ほぼ一律だった公立学校教員の給与を査定によって80〜120%の幅で決められるようにし、あらたに「上級教職」をつくるなど、成果を反映させる新制度を提言する方針を固めた。予算を学校の児童・生徒数に応じて配分し、企業や個人が学校に直接寄付できる制度も提言する。道徳教育の強化と並んで、学校現場への競争原理導入という安倍首相の教育改革の二本柱が鮮明になった」

○朝日新聞は会合前日にその内容を報道していた。
 これは大きな騒ぎわ招きました。なぜなら、この件を審議する教育再生会議第一分科会の会合は9日に予定されていたからです。つまり、会合前日に朝日がスクープしたのです。

 新聞記者にとってなにがいやかというと、日曜日に他社にスクープ記事を掲載されることです。平日ならば夕刊で追いかけることもできますが、日曜日には夕刊もないし、取材しようにも役所、政治家、企業とも休み。つまり、丸1日、1社のスクープ状態を許すことになるわけです。それをやった朝日新聞は偉い、、、、しかし、翌日に開かれる会合の内容をどうして事前に知っていたのでしょうか。

 それは、委員の一人から翌日の会合の資料がリークされたからです。これは憶測ではありません。伊吹文科相がそういっています。
 「議論のためのペーパーを作るということで、一部の人がそれを出されたということのようです。会議の前に聞いたので会議の模様はよくわかりませんが、色々な意見があるようです。ある社が事前にこのことを報道しましたが、その社へリークをした人が、自分がリークしたと告白をしたりしたとか、色々なことがあるようです」(10日閣議後大臣会見

 つまり、審議のたたき台となる資料をある委員が朝日新聞に流して会合前日に報道させたのです。あるいは、会議終了まで報道しないという約束を朝日の記者が破ったか。


 ○実際の会合では競争原理導入はあまり審議されなかった。
 4月9日の教育再生会議第一分科会の議事概要をみると、冒頭で朝日の記事が問題になっており、これは決定事項ではないと念押しされています。

 そして、審議概要の限りでは、公立学校全部に学区自由化などによる競争原理を導入するというこは話し合われていません。
○記事概要(この議事概要は、正式な議事要旨ができると削除されるようなので、みるなら早い方がいいです)
○問題の会議資料(当然ですが内容は確かに報道どおりです)
○教育財政関係資料(これは便利です)

 にもかかわらず、各社とも競争原理導入、教員給与に80〜120%の差などと報道したのは、実際に会議のペーパーにそう書かれていたこと、そして朝日のスクープで各社ともその内容を流さなければならなかったからです。

 安倍首相がかかげる教育改革の目玉である教育バウチャーに関することですから、会合後の記者会見で、あれは決定事項ではありませんといわれて、その通りに記事を書いてもおそらくデスクは納得しないでしょう。だから、各社ともペーパーがあるのだから一応事実であるということで、競争原理導入を報道したのではないのでしょうか。

ようするに、リークした委員と朝日にしてやられたのです。


○なぜ資料はリークされたのか。
 さて、これからは全く根拠のない私の想像、あるいは邪推です。あまり信用しないでください。

 なぜ、公立学校への競争原理導入がリークされたのか。安倍首相がかかげる教育バウチャー制という目玉商品に関係することですから、はでに宣伝したかったと考えるのが普通です。たぶん、一番妥当でしょう。しかし、そう単純なことでしょうか。

 リーク先が読売や日経だったらわからないでもない。しかし、朝日ですよ。そう考えながら朝日の記事を読むと、競争原理導入で学校教育にも格差社会が持ち込まれるということを行間で訴えているように読める。つまり、安倍政権の本質は、愛国心や道徳の強制、そして競争原理導入による社会格差の拡大であるという批判ですね。

 で、私の邪推は、これをリークしたくだんの委員は、実は公立学校への全面的な競争原理導入、ひいては教育バウチャー制自体を潰したかったのではないか。

 首相の意に沿った競争原理導入の資料を事前にマスコミにスクープさせることで、関係者の批判を招き、結果的に「これは決定事項ではいない」という流れに持ち込んでいく高等戦術を使ったのではないか、、、、、、、、と邪推、妄想しております。

 まあ、単に競争原理導入を派手に宣伝したくて、得意になってマスコミに話したついでに、資料も渡してしまったということも十分に考えられますが。
記事へトラックバック 0 / コメント 1


道徳は教科化か新教科か

2007/04/11 23:09
 教育再生会議の第一分科会の動向で、道徳教育の改革があります。以前のエントリーでは少し触れましたが、第一分科会の資料が公開されたので見てみると、どうやら単なる保守的な道徳教育の充実ではないような気がします。


○マスコミ報道には偏見があったのではないか。
◎道徳、「教科」に格上げ案 教育再生会議分科会が提言へ(朝日新聞03月30日)
◎道徳教科化、「評価」は反対意見大勢 教育再生会議(朝日新聞04月09日)

 上の記事からは、明らかに従来の保守的立場の一部から出されていた道徳教育の充実、その一つとしての道徳の教科化というニュアンスが伝わってきます。

 しかし、引っかかったのは、道徳の教科化について質問を受けた伊吹文科相が、
「報道各社は、言葉を選んできちんと報道してもらいたいと思いますが、教育再生会議は『徳育』と言っているのではないですか。道徳とは言ってないと思います」(閣議後大臣会見
と答えたことです。
 確かに新聞報道でも「徳育(仮称)」という教科名はありますが、いずれも「道徳の教科格上げ」というニュアンスの中での情報でした。


○教科格上げと新教科はニュアンスが異なるのではないか
 で、サイトにアップされた教育再生会議の第一分科会の資料を見ると、次のようなものがあります。
 ◎たたき台(新教科「徳育」の設置)
 ◎学力と徳育関連資料

 この資料は、白石主査と小野副主査の共同提出となっていますが、虚心坦懐にこれを見ると、ここから読み取れるのは既存の道徳の教科格上げではなく、従来の道徳とは全く異なる新しい教科をつくろうということです。おそらく事務局もこれにかんでいるだろうと私は思います。

 実際に、議事概要を見ると、道徳の教科化で一致したと伝えられる会合の中身は、生きる力を身につけるためのスキルを学ぶ新教科を創設したらどうかという議論でした。

 「徳育」という科目名よりも「生き方科」という名称の方がふさわしいという発言もあります。議論の中でも言及されていますが、おそらく、白石主査と小野副主査の念頭には東京都杉並区立和田中学校の「よのなか科」があるのは、ほぼ間違いないだろうと思いました。

 ただ、ほかの委員の発言を見ると、道徳の教科化と提案された新教科の関係が全く理解できていない人、ともかく道徳を増やせと言うだけの人などがいて、議論があまり噛み合っていない印象を受けます。ここだけの話、教育再生会議の議事録は読んでいて、笑いどころ満載です。こんな訳の分かっていない人々が、噛み合わない議論をしていれば、マスコミに審議公開などできるわけがないというのはうなづけるところです。

 話を元に戻すと、一部主要委員は、道徳の教科格上げという形をとって、全く別の「生きる力」のための新教科を構想しているのではないか、というのが私の見方です。


 ○結局は、次の次の学習指導要領の話。
 だとすれば、現実問題としてどうなるか。教育再生会議が「徳育」や「生き方科」などの新教科創設を提案したとしても、その具体化を検討するのは中央教育審議会であり、議論はおそらく1年や2年はかかるでしょう。全くの新教科ですからね。

 となれば、今年度末ごろに予定されている次期学習指導要領の改訂などに間に合うはずもない。ということは、次の次の学習指導要領改訂の課題となるわけです。

 それにしても、道徳の教科化という保守的な人々にアピールするような新教科「徳育」という名称の裏で、実際のところは「生きる力」をより強化するような新教科「生き方科」を構想している一部委員(あるいは事務局も含む)がいるというところに、私としては非常に興味を感じました。世の中、表と裏があり、なかなか一筋縄ではいきませんね。
記事へトラックバック / コメント


道徳の教科化報道の狙いは

2007/04/03 14:15
 ごぶさたしました。年度末で仕事がかなりハードでした。その間に世の中はいろいろと動いているようです。教科書検定というメジャーな話はほかに任せるとして、ちょっと遅れましたが道徳教育の話を。


◎統一地方選前のアドバールーンではないか?
 ○道徳、「教科」に格上げ案 教育再生会議分科会が提言へ2007年03月30日
 ○道徳の教科化、文科相が慎重姿勢示す2007年03月30日

 教育再生会議の分科会が道徳を教科にすることで一致したというニュースは、各紙で大きく取り上げられました。安倍政権の性格を踏まえれば、やはりと思う人は多い。まあ、賛否は分かれるところですが。

 しかし、伊吹文科相も言っているように、ことはそう簡単ではありません。そもそも「道徳」なるものが、教科として成り立つのかといえば非常に疑問が多いのは教育関係者でなくても分かることです。

 私は、道徳の教科化は難しいことを承知の上でぶち上げたハッタリだと思います。統一地方選も間近ですからね。

 統一地方選前に道徳教育の充実ということで、一番インパクトがある教科化をぶちあげる。

 次に、参院選に向けた5月の教育再生会議第二次報告では、道徳教育の充実をメーンにして、その具体的方法として教科化を「今後の検討課題」として挙げておく。しかし、マスコミは教科化に再び飛び付くので、参院選向けのアピールには十分なる、、、という筋書きです。

 その根拠は、
 ○この件の記者会見をしたのが元文科事務次官の小野氏であること。山谷えり子じゃあるまいし、いくら何でもこの人が道徳の教科化が無理であることを知らないはずがない。それにこの人は、マスコミを利用して身内に揺さぶりをかけるということを時々やる人です。

 ○5月の第二次報告で、道徳を教科にすると明記すはれば、文科省が今年度中に予定してる学習指導要領の改訂は、確実に1年遅れます。いや、中教審での審議がもめることも考慮すると、2年は遅れるかもしれない。
 それでなくても、教育再生会議ができたために大幅に遅れている学習指導要領の改訂をこれ以上遅らすことはいくらなんでも限界でしょう。つまり、教育再生会議の第二次報告では学習指導要領の改訂作業を大幅に見直すことになるような問題は、出てこないというこです。


 ◎ただし、道徳教育の充実は確実に迫られる。
 教科化は別にしても、道徳教育の充実は確実に第二次報告に盛り込まれるでしょう。しかしこの程度は、文科省はとうに織り込み済みのはずです。

 「心のノート」の利用率のアップ、道徳の年間計画の策定と授業時間数の確実な確保などを小・中学校は迫られ、たぶんそのチェックもされることになりますね。

 最大の焦点となるのは高校です。現在、高校には道徳の時間がありません。これを何とかしたい。おそらく、道徳の教科化をぶち上げた本当の狙い、問題の本丸は高校への道徳教育の導入ではないでしょうか。


 既に茨城県では、高校で学校設定教科・科目(学校独自の教科・科目として設けられる時間)や総合的な学習の時間などを使って、道徳を実施することを必修化しています。東京都も同様に「奉仕」の必修化でボランティア体験などを導入しています。これと同様のことが全国の高校で行われることになると思われます。

 問題はその具体化のための方法ですが、学習指導要領に書き込むとやはり面倒ですし、改訂作業が遅れます。また、国が一律に基準を決めるのは何かと問題が起こる可能性が高い。となると、具体的な中身は都道府県教委や各高校に任せる(当然、文科省は参考となるガイドラインをつくる)として、学校教育法施行規則あたりの改正でしょうか。

 この手の問題は、これまでなら学校現場で[実態に応じて」いかよにうも対応できたのでしょうが、いかせん昨年末の「未履修問題」で高校現場は首根っこを押さえられてますから「形だけやっていることにする」のは難しい。

 こう考えると、昨年末の「未履修問題」は、本当にタイミングがよかったというか悪かったというか。

 道徳の教科化の報道は、反対陣営が騒げば安倍政権の姿勢を鮮明にできる、騒ぎが少なければ高校を含めて道徳教育の充実を学校現場に着実におろすこととができる。考えてみれば、なかなかの高等戦術なのかもしれません。



 それにしても、マスコミの報道は小さかったですが、大事なニュースがあります。
 ○教員給与の優遇「維持を」 中教審が答申
○教育関連2法案を閣議決定 今国会で3法の成立目指す

 教員給与の見直しをしていた中教審でいよいよ答申が出た。おおよその中身は分かりますが、やはり答申内容をきちんと読まないとなんても言えない。

 同様に、教育改革3法案が閣議決定され国会に提出されましたが、この中でも学校教育法改正案と地教行法改正案には、見た目では分からない「隠し球」が入っている可能性が高いです。

 でも、いずれもまだサイトにアップされていないのです。この2・3日、このせいでイライラしどおしです。


記事へトラックバック 0 / コメント 9


続・学習指導要領の改訂時期と内容

2007/03/18 03:34
 今回は学習指導要領の改訂について。


○小・中学校の新学習指導要領告示は来年度末ごろか

◎学習指導要領改訂「再生会議にとらわれず」 中教審部会(朝日新聞年03月16日)

 ちょっと前のエントリーで、学習指導要領の告示は今年の秋から年末くらいと予想を述べましたが、上の記事によると中教審では「夏ごろに中間まとめをし、年内の答申を目指す」とされています。

 前回の学習指導要領告示の例でいうと当時の教育課程審議会答申から学習指導要領の告示まで約5カ月ほどかかっています。朝日新聞の記事が正しいとすると、答申が秋から年末とすると学習指導要領の改訂時期は来年3月から5月ということになります。

 今回の学習指導要領は、中教審答申から前回ほど時間がかからないと予想されます。また、春以降にずれこむと教科書作成の関係で新学習指導要領の実施が1年遅れることにもなりかねません。しかし、既に学習指導要領の改訂は、文科省の当初の予定よりも遅れているため、これ以上遅らせることはできないと思います。

 となると、学習指導要領の告示は小・中学校が来年度末もしくは来年4月ごろ。半年ほど遅れて高校の学習指導要領の告示というのが常識的な線でしょう。

 そして、教科書作成、検定、採択という流れを経て、新学習指導要領の実施は、早くて小学校が2011年度、中学校が2012年度、続いて高校が学年進行で2013年度でしょう。




○一律の授業時間数増加は実は困難

◎春・夏休み短縮土曜に補習 ゆとり教育見直し(読売新聞3月15日)
◎教育再生会議:小中の1日7コマ授業など検討(毎日新聞3月15日)

 最初の朝日新聞の記事と合わせて、読売と毎日の教育再生会議の記事を読むとなかなか面白いです。というのは、結局のところ授業時間数の増加といいながら、中教審も教育再生会議もどうやって全体の授業時間数を増やすのか、実はまったく打つ手がないというのが本音であろうことがうかがえるのです。

 つまり、一律に学習指導要領の授業時間数を増やすことができないのです。

 なぜかというと、学校五日制のためです。現行でも小学校低学年あたりを除けば小・中・高校ともに年間授業時間数はほぼ限界に達しています。これが例えば国語、算数・数学、英語のみを増やすというのならば、ほかの教科の授業時間数を減らせば可能ですが、とても一律に年間授業時間数全体を増やすなど、実はもうできないのです。

 だから、中教審は授業時間数1割増などという教育再生会議の提言をそのまま飲むことはできないし、教育再生会議も一律に授業時間数を増やす方法を提言することはできないというのが実情でしょう。



○結局、授業時間数の増加は学校現場任せに?

 では、どうするのか。読売と毎日の記事によると、平日7時間授業、土曜日補習、夏休みなど長期休業期間の短縮などの例を挙げています。しかし、既に述べたようにこれらを一律に適用するのは困難です。となれば、学習指導要領が示す授業時間数は最低限のものであるとした上で、これにどういう方法で何時間上乗せするかは地方自治体や学校現場の裁量に任せるということになるのではないでしょうか。

 日本教育新聞3月12日付けのインタビュー記事でも教育再生会議の分科会長の一人が、どういう方法で授業時間数を増やすかは学校現場が判断すればよいと述べています。

 実はこのような考え方は、中教審の教育課程部会が昨年2月にだした審議経過報告の中で、既に示唆されています。こういう内容です。
○  また、授業時数の在り方については、その量的な側面だけでなく、各学校における教育活動の創意工夫により、効果的な学習指導ができるよう、その弾力的な運用等についても検討する必要がある。
○  現在、各学校では、例えば、朝の10分間などを活用して、学習習慣の確立といった観点から、読書活動、音読、計算のドリル学習などが行われている。こうした標準授業時数の枠を超えた学習活動について、国の基準上の取扱いについて検討する必要があるとの意見が示されている。
○  現在は標準として定められている授業時数の扱い、学年ごと教科ごとに示されている授業時数の示し方について、柔軟化することも検討する必要がある。


 結局のところ、学校五日制を廃止しない限り、授業以外の活動の一部を授業時間数に含めるよう読み替えていくしか方法がなく、それは地方自治体や学校現場の裁量に任すしかないということなのですね。

 しかし、教育内容は学力向上路線からいっても増えることは間違いない。

 つまり、最低基準である学習指導要領の教育内容を教えるために必要な時間数が、従来の枠に収まらない場合、学校は学習指導要領の内容をこなすためだけでも今以上の授業時間数を確保する工夫を迫られる可能性があります。そして、それがうまくいっているかどうかを全国学力テストによって、国が判定するということになるのでしょう。

 教育関係者以外には少し分かりづらい説明でしょうか。

 簡単に言えば、新学習指導要領では小・中学校でも市町村、各学校ごとに年間授業時間数が異なるということです。

 これを学力格差の拡大ととるか、学校や地方自治体の裁量の拡大ととるかは、また見方が分かれるところですが。


まとめれば、

 ○乱暴な言い方をすると、新学習指導要領はその内容を教えるのに、各学校が授業時間数を増やす工夫を任される。だから、学校ごとに年間授業時間数が異なってくる。

 ○最低基準である学習指導要領の内容をきちんと教えたかどうかは、全国学力テストで国が評価する。

 ○地域や子供の実情に応じて授業時間数をさらに増やさせる学校は、学習指導要領以上の内容を教えることができる一方、最低限しかできない学校も出てくる。
記事へトラックバック 1 / コメント 1


教育改革、当面はこうなる

2007/03/04 16:01
 教育再生会議の第一次報告を受けた教育改革3法案の中身がだいたい固まってきたようです。では、これで当面どう変わるのか。

○文科相、教委に是正勧告 緊急事態に限定(読売新聞3月4日)
○教育長人事への国の関与などは削除の見通し 中教審(朝日新聞03月03日)
○教育関連法案 副校長・免許更新了承(読売新聞2月26日)


 まあ、落ち着くところに落ち着いたというところなのでしょうか。では具体的にどうなるのか。法案ごとにみていきましょう。


 ◎教員免許の更新制は実質的に意味がない。
 ○教員免許法改正の方向
  まず、教員免許法改正ですが、免許更新を「教員の資質能力のリニューアル」と位置付けた文科省の中央教育審議会に対して、教育再生会議は「不適格教員の排除」の方策として見直しを迫ったわけですが、第一次報告で実質的に中教審答申以上の内容を盛り込めなかった時点で、この話は終わっていました。

 文科省にとっても、規定の路線どおりに法改正作業を進めるということで、一番議論がすくなかったのではないでしょうか。

 もともと教員免許更新制というペーパー教員も含む免許制度自体で、不適格教員排除などをしようというのが無理なりですよ。既に指導力不足教員の教壇からの排除制度は機能している現在、こんなことをしても予算と時間の無駄遣いです。

 一番の問題は、更新研修を誰がやるのか、その経費は誰が面倒をみるのか、研修カリキュラムと研修修了認定基準をどうするかのですが、こんな細かいことは文科省の省令などでやるので、法案には書き込まれません。

 具体的には法案が国会で成立してから決めることになり、周知期間や研修実施体制を整える時間も必要ですから、教員免許の更新制スタートは早くても2009年度以降になるのではないでしょうか。

 それにしても私学も含めて100万人以上教員はいますから、単純計算では毎年10万人の教員に講習を実施しなければならない。しかも、ペーパー教員が大量に講習参加を希望したら、いったいどうなるのか。現職教員の講習だけで手一杯の都道府県教委はやらないでしょうね。そうすると大学がやるしかないが、その経費は国が手当するのでしょうか。まさか、勝手に制度改正しておいて講習経費は全部自己責任ではすまないでしょう。

 それに現職教員に講習費を負担しろというのも無理ですね。自分の免許だから自前でやれといったら、勤務時間中に講習を受けさせることができなくなる。

 結局、国民の血税を無駄に使い、忙しい教員から子どもと触れ合う時間を奪い、残ったのは関係者全員の徒労だけ。

 米国などでは教員免許の更新制がありますが、それは満足な教員養成課程が大学にないからです。日本とは教員養成の在り方が全く違います。ぜひ国会で廃案にしてもらいたいものです。


 ◎学校教育法改正で大幅に遅れる学習指導要領改訂
 ○学校教育法改正の方向
 学校教育法改正もマスコミではさまざまに言われていますが、文科省にとってはほぼ全て織り込み済みの事案でこれも問題はなかったでしょう。

 改正点は、大きくいって教育基本法改正に合わせた各学校段階の教育目標などの関連事項の改正、そして副校長、主幹、指導教諭という新しい職の新設です。

 このうち副校長は、現行では東京都のように「教頭全員」を副校長としているところと、大阪府のように「教頭と校長の中間」に副校長を作っているところがありますが、マスコミ報道を見ると学校教育法改正では大阪府方式になるようですね。

 法案が成立すれば、大雑把に言えば2008年度から教員は、校長、副校長、教頭、主幹、指導教諭、一般教諭という6種類に分けられることになります。

 これに連動して、教職調整額の一律支給を廃止して、実績主義や能力主義により支給額にメリハリをつけるという給与制度改革も行われることになります。これによって学校現場がどうなるのかは、長くなるのでまた別の機会に。

 一方、マスコミでの指摘はありませんが、一番の問題点は学習指導要領の改訂が大幅に遅れるということです。だいぶ前の当ブログで、学習指導要領の改訂は今年3月と書きましたが、覚えているでしょうか。現在、そんな話はまったく聞かれないわけです。

 なぜかといえば、教育基本法改正により学校教育法も改正しなければならなくなったので、学習指導要領を改訂できないのです。学習指導要領の根拠法は学校教育法ですから、それが国会で審議されているのに学習指導要領だけ改訂すれば、国会軽視にという批判が与野党から出るでしょう。

 さらに、教育再生会議が審議中ですから、それをさしおいて学習指導要領を改訂するわけにもいなかいでしょう。

 教育再生会議は、今年末に最終報告の予定です。5月に予定されている第二次報告で、教育内容についてはもう審議しないから学習指導要領を改訂しなさいと教育再生会議自身が明言しない限り、文科省は動けません。

 ということで、学習指導要領の改訂は早くても年明けということになります。

 茶飲み話に終始している教育再生会議などで時間をつぶすよりは、早く学習指導要領を改訂した方が、よほど国民のためになるのですが。

 「ゆとり教育」を潰すと言っている人たちのために、学習指導要領の改訂が大幅に遅れているという状況は、まさに茶番です。


 ◎文科省の権限強化はでるのに、私学への指導体制強化案は簡単に潰れるのはなぜ。
 ○地方教育行政法改正の方向
 地方教育行政法の改正も都道府県教育長の任命承認権の復活まではいかず、ある意味で常識的な線に落ち着いたようです。

 文科省の勧告権などの復活は地方分権に逆行するのは確かで、勧告権などが廃止される前の2000年以前の状況にもどるわけです。

 しかし、だからといって1999年より前の都道府県教委は文科省に完全に支配され、それ以降は独立したかというと決してそんなことはないわけで。現実的にみれば、教育行政が大きく変わることはないのではないでしょうか。


 それよりも問題は私学です。というよりもそれに対する社会やマスコミの反応です。
○私学中の1割、72校で必修漏れ 文科省調査(朝日新聞02月27日)
○私学への教委関与前向き…文科相(読売新聞2月28日)

 未履修問題や履修漏れ問題が出たとき、マスコミは一斉に叩いた。そして、6年制一貫の私立中学校でも未履修問題があった。伊吹文科相は、私学に対する教委の指導権限を強めようとした。なぜなら、私学は知事部局の管轄で教委は実際に手が出せないからです。

 にもかかわらず、私立中学校を批判する記事も意見もほとんど出てこない。公立高校が学習指導要領をしているから教委と文科省の権限を強化せよ、いじめ自殺で教委は信用できないから文科省の権限を強化せすといっておきながら、私立中学校が学習指導要領違反をしているのに監督を強化せよという声はさっぱり聞こえない。先のニュースにもあるにように、中教審や自民党の検討でも早々に課題から除外されました。愚直にすじを通した伊吹文科祖がかわいそうに見えるほどです。

 私自身は、教委による私学への指導権限など強化する必要は全くないと考えています。

 にもかかわらず、あまりに簡単に私学への指導権強化が課題から外されるのは、違和感がぬぐえません。

 私立中学校受験は、記事や広告を含めてマスコミの一大収入源です。私学団体は自民党の有力な支持団体です。

 でも結局、私立中学校が学習指導要領どおりの教育をすれば、それは困ると思っている人が少なからず社会にいるからでしょう。学習指導要領違反はけしからん、国の権限をもっと強化すべきだと騒いだあげくの結末がこれだとは、、、、、

記事へトラックバック 3 / コメント 1


ちょっと気になるニュース

2007/02/17 15:48
 今回は、ちょっと気になるニュースをいくつか。

◎もしかしたら安倍首相は教育で薮蛇?
○教委見直し国関与案、はや暗雲 中教審から異論噴出(朝日新聞)

○教委への国の権限強化・自民特命委で一致(日本経済新聞)

 安倍首相が春の地方統一選、夏の参院選に向けて、教育改革を最も大きな選挙材料に使おうとているのは、ほぼ衆目の一致するところ。そして、いじめ自殺、高校の未履修問題が全国化したのを受け、強引に教委制度見直しを教育再生会議の報告の中に入れたのも、選挙向けであることは明白です。

 しかし、どうもそのおかげで首相の指導力への疑念が広がるという思いがけない結果になっているようです。教員免許更新制や奉仕や愛国心だけなら、教職員組合を敵にしておけばよいだけだったのですが、教委制度は省庁、都道府県、市町村、そして与党の文教族を批判勢力として巻き込んでしまったのかも。

 与党は何とか納まりそうですが、朝日の記事によるとまだまだ不満の火種は完全に消えてないようです。下手をすると、教委制度に手を出したおかげで、安倍首相の求心力の低下が加速するかもしれません。

○「教育再生会議をはじめとする総理大臣の私的諮問機関などがありますが、それらが何か言ったから行政を行うということではありません」(伊吹文科相記者会見)
 上の伊吹文科相の発言は、教育再生会議が何かいったから文科省が動くのではなく、安倍首相が言ったから文科省が動くのだと、教育再生会議をけん制していますが、見ようによっては老獪な伊吹文科相による安倍首相への値踏みとも取れます。

で、このようなことを意識したのが下の記事の安倍首相の発言でしょう。
○首相、教育委員会改革「最後は私が判断」(日本経済新聞)

 3月末の国会への法案提出期限までに、教委改革をどうまとめられるか。安倍首相にとっては、大きな山場の一つでしょう。




◎つまるところ、なぜ全国学力テストなのか共通認識がないことが問題
◎全国学力テスト 私立の参加は6割(産経新聞)
○全国学力調査、公立は犬山市を除き参加 私立は約6割(朝日新聞)
○全国学力調査、東京私立の参加率2割止まり(朝日新聞)

 全国学力テストが学力向上のために学校や子どもの問題点を把握するものならば、参加は学校や自治体の自由でいいわけです。全国に先駆けて市町村独自の少人数学級編制に取り組むなど独自の教育改革を展開している犬山市に対して学力低下を放置してると批判できる人はいないでしょう。ましてや、東京都の私立中高一貫校の生徒の学力が区立中学校の生徒よりも劣るなんて思う人もいないでしょう。

 しかし、全国学力テストが、公私立すべての学校で実施することにより、国が義務教育の質の保証をする、言い換えれば国が各学校に関与するというための手段であるならば、公然と不参加を表明する学校や自治体があっては困るわけです。

 ○全国学力テスト:不参加撤回を 犬山市議が市と市教委に申し入れ(毎日新聞)

 犬山市では独自の教育改革路線をとっていた市長が交替して、どうやら風向きが変わりつつあるようですが、全国学力テストの不参加自治体、不参加私立については、これからもいろいろな議論があるでしょう。しかし、そこで不参加がよいか悪いかではなく、なぜ全国学力テストが必要なのかという原点を議論する必要があると思います。

 どうも現在、安倍首相、自民党文教族、文科省、一般社会、保護者、自治体、学校とそれぞれの全国学力テストの実施理由に対する共通認識が出来ていないような気がしてなりません。やれば、子どもの学力が上がるかもしれない程度の認識で済まされたら、学校や子どもはいい迷惑でしょう。




◎シュタイー教育には批判意見もあるのをはっきり言うことも必要
○千葉でシュタイナー教育…紹介者・子安さん開校へ(読売新聞)

 これを言うはたぶん、ごうごうとした批判が来るのであまり触れたくないのですが、やはりはっきりと言うべきでしょう。

 日本では、シュタイナー教育は情操教育にポイントをおいた幼児からの一貫教育という程度に理解されていますが、シュタイー学校はそれだけではありません。日本でシュタイナー教育のいいとこばかりが宣伝され曖昧な理解が定着したのは、私は紹介者である子安氏の責任が大きいと思っています。

 創始者のシュタイナーは、選ばれた人間が「アカシックレコード」(宇宙の森羅万象の記録)を見ることができるととなえ、自らアカシックレコードの一部を読んで記録したとする世界の年代記を著しています。このため、シュタイナーを「オカルト」と批判する声も一部に根強くあります。

 また、シュタイナー学校の教員は、すべてシュタイナー教育のための独自の教員養成課程を受けていなければならないとされています。

 ここで、シュタイナー教育を批判するつもりはありませんが、シュタイナー教育を「洗脳」と批判し、そこから脱出するために大変な苦労をした保護者や子どもがいることも事実です。

 重ねてシュタイナー教育が悪いと言っているわけではありません。しかし、情操教育に力を入れたなんだか子どもにとってよい教育というような程度の認識ならば、もっと調べてからにしたらというのが私の忠告です。それにしても、もともとの原因は子安氏なのですけどね。

記事へトラックバック 1 / コメント 2


教委制度改革の論点

2007/02/15 17:30
 前のエントリーで内閣府の規制改革会議がいじめによる就学指定校の変更を認めない教委の実名を公開する方針というニュースについて、これは教育再生会議の教委改革を後押しする狙いがあるのではないかと書きました。ところが、今日は朝日新聞に内閣府の規制改革会議と教育再生会議が対立しているというニュースが載っています。いやはや、、、

○教育再生会議案に規制改革会議から異論 「分権に逆行」(朝日新聞02月15日)

 記事の内容は、教育再生会議の教委改革案は、文科省の権限強化につながり地方分権に逆行するという意見書をまとめたというもの。昨日の今日で、こうも私の見方をタイミングよく否定されると「誰かの陰謀だぁー」と言いたくもなりますが、要は私の見方が甘かったということです。どうも私は教育再生会議が好きではないので、そのへんの偏見が入ってしまったのでしょう。

 ただ、規制改革会議とは別筋のリークで、やはり教育再生会議を支援するために先の教委実名公開のニュースが流れたという疑念も完全には捨て切れませんが。

 で、規制改革会議の意見書の実物はこちら

 ここで現在の教委改革の論点を整理しながら、それぞれの役所などの考えを整理したいと思います。

○教委の必置規制の是非
 現在、教育委員会は地方自治体ごとに必ずおかなければならないことになっています。
 文科省=教育行政の独立性確保のために必置規制は必要。
 規制改革会議=教委の設置は各地方自体の判断に任せるべきだ。
 教育再生会議=必置規制の撤廃検討を挙げているが、いじめ自殺・未履修問題などを背景に教委権限の強化を打ち出していることから教委の存在を前提としていると思われる。
 全国知事会=教委設置を選択性に。


○国の監督権強化の是非
 現在の文科省には教委に対する監督権限はありません。
 文科省=市町村教委の権限強化と同時に国による義務教育の質の保証という緩やかなシステムを構想。ただし、現在の考え方は不明。
 規制改革会議=保護者・子どもの権利を守るために国に一定の担保措置は必要だが、文科省の行政裁量的な上意下達システムの弊害を助長することがあっては断じてならない。
 教育再生会議=国の監督権の強化を図る。報告書の文脈から文科省の権限強化と読み取れる。


○採用・人事異動などの教員人事権を都道府県から市町村に移譲する
 文科省=当面、中核市に限り移譲する。
 規制改革会議=早急に市町村に移譲する。
 教育再生会議=極力、市町村に移譲する。
 都道府県=市町村への移譲には反対。
 政令指定都市・中核市=市町村の移譲には賛成。
 市町村=財政力のある自治体に優秀な教員が偏るなどの懸念もある。財政力のある市町村は賛成、逆に財政力のない自治体は反対もしくは慎重論。


○教委の能力を向上させるため小規模市町村の教委を共同設置にして広域化する
 文科省=小規模教委の広域化を何度も中教審は答申。
 規制改革会議=言及なし。
 教育再生会議=5万人以下の市町村は教委を共同設置とする。


○教委に対する第三者評価の実施
 文科省=これまで検討したことはない。
 規制改革会議=都道府県教委が市町村教委の外部評価を行うのではなく、学習者サイドに立った「第三者評価」が必要。教育行政省庁から完全に独立した機関で実施すべきである。
 教育再生再生=都道府県教委に外部委員会を設置し、市町村教委や都道府県教委の外部評価を実施。また国または独立行政法人が都道府県教委の外部評価を実施。


 まあ、以上のように整理できるかと思います。で、また懲りずに当てにならない御託を並べると思われるでしょうが、こうしてみると規制改革会議というか内閣府の見解には、どうも衣の下に鎧が見える気がします。

○やはり内閣府は教委行政を取り込もうとしているのではないか。
 教委の必置規制撤廃など内閣府は文科省と対立しているわけですが、規制改革会議の意見書のはしばしに、教委制度の改革を認めると同時に文科省をけん制する部分が目に付きます。でも、国や独立行政法人による教委の監督や外部評価は、否定していない。

 となると、それはどの省庁がやるのか。教育行政省庁はいけないと内閣府の規制改革会議は言う。では、残る省庁は、、、、、内閣府?

 どうも思いつきだけで突っ走る教育再生会議を挟んで、文科省と内閣府がそれぞれの思惑で動いているというのが本当のところなのかもしれません。


このほか、教委制度改革についての関係団体の動向などでは次のような記事があります。
○教育再生会議:第1次報告案 府教育長「対症療法的内容目立つ」 /京都
○教育改革:教委設置は選択で 全国市長会が提言
○教育委員長協:教育再生会議の公開などを要望
○教育再生会議:県教育長が苦言「現場の意見聞いてない」 /神奈川
○教育改革:教育委制度の改正論議が本格的スタート
○教委改革の議論スタート=中教審分科会
○教育委員会改革、法改正難航必至




当ブログにリンクされている方は、アドレスをお知らせください。こちらからもリンクを貼らせていただきます。
記事へトラックバック 0 / コメント 3


悪質教委実名公開の裏の意図

2007/02/12 23:42
 教委制度見直しの掛け声で、教育委員会に対する風当たりも強くなっています。これもその一つのようです。
○いじめでの転校認める「学校選択制」、従わぬ教委公表へ(朝日新聞02月11日)
○市区教委、いじめで転校「拒否も」半数(読売新聞2月11日)


 要するに、「いじめ」は入学する学校の変更や転校の理由になると制度的に決まっているのに、それを住民に周知していない市町村教委が1割以上もある上に、「いじめ」を理由にし入学先の学校の変更や転校の申請が出されても認めない場合があると半数以上の教委が回答したというもので、それに我慢しきれなくなった内閣府規制改革推進室が、そんな悪質な教委の実名を公開すると言い出したというお話。
 ○元資料となった内閣の教委アンケート調査はこちら
 ○さらに手前味噌ですが、そのアンケート調査を記事にした私の原稿はこちら


 さて、ひどい話ですね、これだけ「いじめ」が社会問題になっているのに、住民をだましているような教委がたくさんある。これは絶対に現在の教委制度を改革しないといけないと思いますよね


◎なんで11月発表の調査結果がいまごろ問題になるのか

 でも、ちょっと冷静に考えてみましょう。もともとの資料は、内閣府が11月に公表したアンケート調査の結果です。しかも、そのアンケートを実施したのも、分析したのも内閣府です。
 つまり、内閣府は教委の実名を公開するといってますが、それは自分たちでやったアンケートだから、各市町村教委の回答内容を知っているのです。政策検討のために内閣府のアンケートに回答した市町村教委に対して、個別の回答内容を問題にして「悪質教委」として実名を公開するというのは、フェアではない。こんなことをしたら市町村教委は二度と内閣府のアンケート調査に協力しないでしょうね。これはいくらなんでも道義に反します。

 さらに、昨年11月に公表されている話が、なんで今ごろ教委の実名公開なんて話になって出てくるのか。まあ、そろそろ各家庭に入学指定校通知が送られる時期ですから、それに合わせてということか、あるいは規制改革会議でところであの件はと蒸し返されたのかでしょうが、現在は教育再生会議第一次報告の教委改革とそれに伴う地教行法改正が、下の記事でも指摘されいるように、道府県や与党文教族などの反対論にあってすったもんだしている最中です。そして、教育再生会議は内閣府の所管ですね、、、、
○教育委員会改革、法改正難航必至(読売新聞2月11日)



◎やはり教育再生会議の援護としかみえない。
 問題的があることを前提に洗い出しの調査をしたのではなく、単なる行政アンケートで、その内容を実名で、しかも「悪質教委」として公開する。役所としては無茶苦茶です。

 しかし、それを承知で内閣府の規制緩和推進室や規制改革会議は、あえてマスコミにリークしたのでしょう。正式発表でないことは、各紙とも「方針を固めた」という表現をしているところで分かります。これは明らかに意図的なリークです。

 こんな役所の道義に反することをしても、「いじめ」というキーワードで国民には支持される。さらに、市町村教委の中にはこんな住民を騙すようなことをしているところがあるとアピールでき、だから国や都道府県が市町村教委を監督できるよう教育再生会議の報告どおりに地教行法を改正しないといけないというムードを盛り上げることができる。

 さらにうがった見方をすれば、教委の監督は文科省ではなく、内閣府でやるという意図も見え隠れします。教委の外部評価機関は、文科省ではなく内閣府に置くという案も教育再生会議ではとりざたされましたからね。

 おそらく、当たらずとも遠からずで、こんな図式でしょう。



◎でも、やはり市町村教委の体質にも問題はある。
 しかし、市町村教委にも問題はあります。

 一般に公立小・中学校は、入学先の学校が教委から保護者に通知されます。これを就学指定といいます。物理的に通学困難な事情があるなどの場合、保護者は就学先の学校の変更を申し入れることができます。これが就学指定の変更です。

 就学指定された学校で「いじめ」を受ける可能性がある場合も就学指定変更の理由になり、この制度を市町村教委は住民に周知することが学校教育法施行規則で義務付けられています。だから、これを住民に周知する活動をしなかった市町村教委は、法令違反と指摘されても仕方ないでしょう。

 ただ、市町村教委の気持ちも分からないではない。入学者数が変更になると、学級数も増減する可能性があり、教員人事がものすごく大変になるのです。しかも、それが新学期直前だと非常に困るのですね。しかし、やはりこれは住民に周知しないという教委が悪い。

 あと、「いじめ」を理由にした就学指定の変更、転校の申請について、半数以上が拒否する場合もあるというのは、ひどい話に聞こえますが、実は当然なのです。

 つまり、本当に「いじめ」が理由なのかどうか調べないといけないからです。比較的富裕層が多く学力も高いという学校がとなりにあれば、そこに子どもを入れるために教委が指定した入学先では「いじめ」があると言い出す保護者もなきにしもあらずだからです。

 逆に、「いじめ」だと言えば、入学先の学校の変更も現在通っている学校からの転校もすべてフリーバスとなったら、これは学校現場が混乱するだけでしょう。

 要するに、「いじめ」を理由に就学指定変更や転校ができるという制度を住民に周知しないことはいけないことですが、その申請があったらケースバイケースで判断し、なかには認めないケースもあるというのは、よく考えればごく常識的な対応だといえるでしょう。
記事へトラックバック 3 / コメント 0


スピードある教育改革と選挙対策は別ものだ

2007/02/11 01:56
 最近、教育改革をめぐる話では、「スピード感を持って」という言葉がよく使われるようです。確かに、教育に関する政策は経済政策などと比べて格段にスピードが遅い。変えようといってから実際に変わるのに数年かかることも珍しくないです。しかし、早ければよいというものではないのが教育というテーマの難しいところです。

◎教育改革3法案の今国会提出に固執する安倍首相
○再生会議1次報告、脱ゆとり教育を提言 首相、3法案提出指示(読売新聞1月25日)
○教育3法改正案、国会に 再生会議報告受けて首相表明(朝日新聞1月25日)
○教育改革法案は期限までに提出を 首相、あらためて指示 (産経新聞2月5日)

 教育再生会議の第一次報告を受けて、安倍首相は今の通常国会に関連3法案の提出を明言しました。しかし、記事にもあるようにこれは大変難しい。文科省が当初から予定していた教員免許更新制のための教育免許法改正案、教育基本法改正に伴う学校教育法改正案などは想定範囲内でしたが、これに教育制度見直しの地教行法改正案も加わると、もうほぼ不可能としかみえません。下の二つの記事でも分るように、そもそも都道府県が反対しているほか、与党内でも意見が割れているのですから。
○教育改革:「ゆとり見直し」に異論 国の「勧告権限」にも慎重−−自民教育委(毎日新聞2月7日)
○「ゆとり見直し」先行 第4期中教審(朝日新聞2月5日)



◎伊吹文科相は同意するが収まらぬ異論
○中教審、3月答申目指す 伊吹文科相が集中審議要求(朝日新聞2月6日)
 それでも首相がやれと言っている以上、伊吹文科相もやらざるを得ないところまできているのでしょう。しかし、教育再生会議と違い、思いつきの羅列ですますことができないのが中央教育審議会の答申です。中教審としては、複雑な心境でしょう。そのへんを物語っているのが下の産経の記事です。
○教育関連法案、短期間でも中身のある議論を 官房長官(産経新聞2月7日)


 間に合わせるには、細かいことは法律が出来てから政省令で規定するという時間稼ぎをしないといけない。しかし、重ねて言いますが中教審の審議とてしは、それは無責任です。中教審の山崎会長の「間に合うかどうか、やってみないと分からない。今国会に出すなら抽象的に書かざるをえない。慌てずにやれることをやっていく」という産経新聞にあるコメントは、そのへんの機微というか悩みがよくにじみ出てます。



◎中教審と教育再生会議の関係が悪化?
 そんな中教審に反発したのが、教育再生会議の室長でもある山谷えり子首相補佐官で、中教審改革を教育再生会議でやるとぶち上げた。しかし、さすがにこれには安倍首相も抑えに回るしかなかったようです。
○中教審見直し、首相が否定 山谷補佐官の発言、即否定(朝日新聞02月09日)
○山谷補佐官の中教審批判に、伊吹文科相が反論(朝日新聞02月09日)

 それにしても、教育再生会議の議論がすべて非公開なことを棚にあげて、「(議論を)オープンにしないと、何の役割も果たしていないんじゃないか」(朝日新聞記事)と中教審を批判した山谷補佐官は、どういう神経をしているのでしょうか。もっとも、あまり深く考えないというのは、この人の特徴のようですが。


 そして、教育再生会議と中教審の関係を解説したのが下の読売の記事です。
○教育改革ギクシャク…再生会議と中教審(読売新聞2月10日)



◎選挙目当ての教育改革は拙速にすぎない
 いずれにしても、今の通常国会に関係法案を提出するということに安倍首相がこだわっていることが、すべての原因です。そして、その理由は、4月の地方統一選挙と夏の参院選挙への対策であることは明白です。

 閣僚などの不祥事や問題発言が続き、経済、雇用、年金などの分野で国民の支持を得られない安倍首相にとって、目に見える形で示すことができる国会への法案提出は、絶対に必要なことです。

 裏を返せば、法案を提出して選挙にアピールできればそれでいい。法案審議がどうなろうと、その法案でどれだけ学校教育や教育行政が混乱しても関係ないということでしょうか。

 ○教育改革3法案、全ての成立こだわらず 下村副長官(朝日新聞01月28日)
 記事が出た後、発言は撤回されましたが、「法案が成立しなくてもよい」と発言した教育改革担当の下村博文官房副長官の発言は、首相周辺の本音というか気分を的確に示していると思います。


 地方統一選と参院選に自民党というよりも、安倍政権が勝ちたい。そんな思惑で、学校教育や教育行政の根幹にかかわる問題が、まともな議論もなく無理やり処理されていく。こういうことを「スピード感のある改革」とは絶対に言えません。
記事へトラックバック 1 / コメント 0


これは教育行政の後退だ

2007/02/06 21:25
 安倍首相は、教員免許法、学校教育法、地教行法の3改正案を今の通常国会に提出すると言ってますが、どうみても教員免許法、そして学校教育法の教育基本法関係部分以外の改正は時間的に無理です。無理を承知でやる、しかもほとんど具体的議論なしで。これを無茶苦茶といわずになんというのでしょうか。

 まあ、一般には関心が薄いかもしれませんが、この中で特に問題なのが地教行法改正です。

○不適正教委に是正勧告 再生会議学校分科会が改革具体案(朝日新聞)
○文科相が教委に是正勧告 いじめ不対応などの場合(読売新聞)
○教育再生会議:教委評価の第三者機関、月内に具体案提示(毎日新聞)

 各紙ともに扱いは小さいようですが、内容的には今後の日本の教育行政の在り方を左右する問題です。

 そもそも教育再生会議では教委制度の在り方は当初、課題に挙がっていませんでした。それが、いじめ自殺問題、高校の未履修問題が大きくマスコミで取り上げられたことで、急遽、課題に上りましたが、実質的には思いつきの羅列以外の審議は行われていません。その思いつきを議論として深め、国民に問うこともなく拙速に法改正に盛り込もうというのは、重ねて言いますが無茶苦茶です。

 学校や教委に対する国民の不信は深く、それを是正して駄目な教委を指導することに何の問題があるのかと思う方は多いでしょう。

 しかし、教育再生会議が押し進めようとしているのことが具体化すれば、国、都道府県、町村、学校という公教育のピラミッド型行政に時代が逆戻りしてしまいます。

 これは、規制緩和と地方分権により地方自治体と地域住民が教育行政に責任を持つという現在の教育行政改革の流れに逆行するものです。



 現在、文科省が進めている教育行政の改革は、地方分権と規制緩和を背景にして、公立小・中学校に対する教育行政の権限を都道府県から市町村に下し、国は学校評価と全国学力テストによって教育の国家的保証をするというものです。

 その基になっているのが1998年の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」です。ここには、旧来の中央集権的なピラミッド型教育行政の弊害とその反省が示されています。


 これに対して教育再生会議に教委制度見直し論は、都道府県「教育委員会外部評価委員会」を設置して市町村教委の第三者評価を行うなど、明らかに旧来のピラミッド型教育行政への回帰を狙った内容となっています。


 市町村の実態に詳しい人ならば分かるかもしれませんが、市町村にとって国はあまり関係ないのです。それよりも都道府県です。その都道府県教委が市町村教委の評価権限まで持つとなれば、もはや市町村教委は自由に独自の教育行政などできなくなります。

 さらに、行政の出す命令はピラミッドの下にいくほど硬直していきます。ピラミッド型行政は、画一化、硬直化、そして当事者意識の欠如による無責任化を招くのです。

 これは実話ですが、ある市が独自の教育改革をしようとしたら、都道府県教委から待ったかがかかりました。県教委としては認められないというのです。しかし、ある会合でそこの市長が文科省官僚に取り組みの内容を話したら、「それはよい。どんどんやってください」と応援されたそうです。まさに、行政組織の思惑が下にいくほど雪だるま式に重なっていくという見本でしょう。

 いじめや体罰などのニュースも大事ですが、ほんの少しだけ教委制度のニュースにも注目してください。もし、学校や市町村教委に至らない点、間違った点があるならば、それを正す第一義的責任は住民にあるはずです。

 それを市町村が悪ければ都道府県、都道府県が悪ければ国と、上へ上へと監督を求めていけば、とどのつまり国がすべてであり、都道府県、市町村はその代行機関にすぎないという大昔の教育行政に戻ってしまいます。


 現在の市町村教委が有効に機能していないとすれば、その原因は都道府県教委がほとんどの実権と財源を握っているからです。

 例えば、教員の人事権を市町村に移しても、教員給与の財源がなければ機能しないのは明白です。教委改革とは、市町村教委が自らの責任を十分に発揮できるよう財源と権限を与えることであり、都道府県や国の監督権を強化することではないと私は思います。
記事へトラックバック 0 / コメント 2


タイトル 日 時
日々雑感・教員免許更新制をめぐる認識
 まだハードな締め切りに追われています。ということで、今回はほぼ雑談というか引用です。 ...続きを見る

トラックバック 1 / コメント 1

2007/01/26 02:17
教育再生会議第一次報告の雑感
 ただいま、締め切りに追われています。正直、ブログ更新しているなど担当に知られたら、怒られるでしょう。ということで、取り急ぎ、教育再生会議第一次報告の感想を。 ...続きを見る

トラックバック 1 / コメント 5

2007/01/24 21:29
いずれ問題になりそうなニュース
 甥っ子がフリーター宣言をしてしまいました。もの書きを目指すのだということで、親戚中では、内心、私に対する風当たりが強いようで。いや、私は一応、卒業も就職もしました。それにしても、もの書きとは「書きたいものがある」からなるもので、「もの書きになりたい」からなるものではありません。と説教しても聞くはずもなく、、、、私の甥ですからね、、、、、  で、今回は気になるニュースをいくつか。いずれもそう大きなニュースではありませんが、これは将来に禍根を残すのではないか、、、という懸念があります。 ...続きを見る

トラックバック 3 / コメント 0

2007/01/24 00:48
教育再生会議が報告案
 さて、教育再生会議の報告案がまとまったようです。正式には24日の総会で第一次報告となるようです。まだ報告内容も見てないので、教育再生会議は報告が出てからきちんと解説するということで、今回は、報告案の記事のほかにいくつかに気なったニュースを取り上げます。 ...続きを見る

トラックバック 1 / コメント 2

2007/01/20 17:40
密室で迷走する教育再生会議報道
 ごぶさたしています。年末のため多忙、、、というわけでもないのですが、昨今の教育に関する話題について、何か言いたいという気力がわかないのです。もう、どうぞご自由にという気分になりかかっています。まあ、これではいけないと気を取り直してニュースを見ていると、教育再生会議の報道が迷走気味ですね。おそらく、この原因は密室審議によるものです。 ...続きを見る

トラックバック 0 / コメント 2

2006/12/10 13:31
日々雑感・安倍教育改革は成功する
 ただいま年末進行という出版界恒例の行事の中で、忙殺されています。教育基本法、教員給与の見直し、学校評価など書きたいことはあるのですが、時間がとれません。で、今回も雑談です。テーマは、安倍首相による教育改革は成功する、、、、です。 ...続きを見る

トラックバック 4 / コメント 8

2006/11/30 22:01
安倍教育改革の着地点
 締め切り間際で忙しいのにブログを書いている。こういうのを心理学的には逃避行動というのでしょう。ところで、相次ぐいじめ自殺、泥沼化しつつある高校の履修不足・必修逃れで、教育委員会の改革が課題になってきました。なんだか、安倍首相の教育改革の着地点の一つが見えてきたような気がします。それは、市町村教委の強化と、国による市町村教委と小・中学校の直接監督ではないでしょうか。 ...続きを見る

トラックバック 2 / コメント 0

2006/11/08 14:21
教育再生会議の狙い
 寒くなりましたね、大慌てで冬物を出しました。今回は、教育再生会議、というか安倍政権の教育改革の狙いは何かというお話。現在の教育改革のキーパーソンの一人は、下村博文官房副長官ではないかということは、組閣人事の際にも指摘しました。 ...続きを見る

トラックバック 2 / コメント 4

2006/10/24 21:43
日々雑感・安倍首相と教育改革
 夕飯を食べながらテレビを見ていたら、コメンテーターみたいな人物が教育再生会議の話題で、「再生というのは、前提として死んでいるということ。戦後教育は死んでいるんですよ」みたいなことを言ってました。 ...続きを見る

トラックバック 4 / コメント 0

2006/10/16 01:14
教育再生会議の成り行き
前回に続いて教育再生会議について。さて、教育再生会議、、、これからどうなるのでしょうか。 ...続きを見る

トラックバック / コメント

2006/10/14 16:29
どうなる教育再生会議
 さて、雑談のエントリーのあとは、本論。教育再生会議ですね。ふうむ、、、、どうなんでしょうか。正直、国民をなめているとしか私には思えません。 ...続きを見る

トラックバック 5 / コメント 0

2006/10/11 15:15

トップへ  |  テーマトップへ  |  テーマランキング一覧へ