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みんなの「学習指導要領」ブログ


高校の新学習指導要領は年内に公表

2008/12/01 00:43
 完全に年末体制にのみ込まれ身動きできない状況です。しかし、12月からきちんと更新するといった手前、12月初日から何もしないわけには、、、、

 ということで、高校の学習指導要領の話題。えっ、、、、誰も高校の新学習指導要領が出ていないことを気付いていなかった?

 まあ、小・中学校に比べると、関心が薄いですね。

 文科省幹部によると、高校の新学習指導要領は年内に公表。それからパブコメを経て、今年度内に告示というスケジュールです。本当は11月中にも公表という話もあったのですが、、、、誰も急いでないようですね。

 というのも、小・中のようなマスコミが騒ぐ大幅な改正点がないからです。世界史は今回も必修。卒業最低単位は74単位のまま。新教科の創設もなし。

 ただ、各教科の科目は英語などを中心にずいぶん変わりますね。

 理科は「理科基礎」や「総合理科」が廃止され、代わりに「科学と人間生活」という科目が必修となります。ただし、理科の各分野のうち3分野の基礎科目を履修すれば、「科学と人間生活」は履修しなくてもよいとなります。

 などなど、中教審答申の内容とほんど変わらない見通しです。

 だから、注目されるのは、小・中学校の時と同じように、パブリックコメントを反映したという形で、
どれだけ与党の意見が新しく入ってくるか
ということですね。

 高校の新科目がどうなるのかは、この中教審答申を見てください。一番最後のページに新旧の科目対照表があります。


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中教審が教員免許更新制で報告

2008/01/22 15:04
 教員免許の更新制の制度設計を審議しているのは中央教育審議会の教員養成部会ですが、ここの報告がまとまったようです。ようですというのは、文科省のホームページではまだ案という形で掲載されているからです。

 ただ、当日の会合を取材した人間に聞いたところ、報告として了承され「報告(案)」の案の文字が取れたということです。つまり、報告を上の分科会なりに手渡すセレモニーが残っているが、部会レベルでは実質的に了承されたということでしょうか。

 部会報告はこちらです→部会配布資料

 内容はこれまで当ブログで説明してきたことと大きく変わりませんが、細かい点、これで説明していない点などがありました。

 ○ペーパー教員でも教職経験があれば更新講習の受講が可能に
 これは都道府県教委や私学団体からの要請を受けたものです。中教審は当初、ペーパー教員については、教員採用内定者、非常勤講師候補者リスト掲載者のみを受講対象としていました。しかし、それでは急場のときに非常勤を採用できない恐れがあるということで、非常勤講師を含む教職経験がある者はすべて更新講習を受講できるようにしたものです。


 ○更新年齢の現職教員でも更新対象にならない場合もある。
 免許更新は、改正教員免許法前に免許を取得している現職教員については、年齢に応じて35歳、45歳、55歳になる年度の3月31日が更新期限になりますが、その年齢でも更新対象にならない場合がある。細かいことですが、一度民間に就職してから教員免許を取得して教員になった者など、免許取得から10年を経過してない者は、この年齢がきても更新講習をうけずに、取得後10年目で更新することを選択することができるということのようです。

 ○教委の教育センターによる講習はあまで補助的役割。
 更新講習の主体は、大学であることを強調する文章が追加され、教委の教育センターは地理的に大学で講習を受けるのが難しい教員がいる場合など補助的位置づけで開設することが明示されています。
 どうせ、いつものセンター研修だろうとたかを括っていると痛い目に遭うかもしれません。

 ○大学の更新講習開設に細分化防止の歯止め
 これは受講者にはあまり関係ない事項ですが、講習を開設するにあたって最低でも必修部分が12時間以上、選択部分が8時間以上のいずれかでないと講習開設を認めないという歯止め規定のようなものが追加されています。
 これは、経費も人手もかかるので、アリバイ的に1、2時間程度を形式的に開設してすまそうという私立大学を牽制したものでしょう。
 教育行政的に見ると、文科省による大学への露骨な圧力ということで、これが最大の問題となりそうなのですが、、、、、、、


(余談)
 それにしても学習指導要領の中教審答申は、昨年の「審議のまとめ」と内容に大きな変化がなかったため、新聞などマスコミの扱いが小さかったこと、、、、
 でも、道徳の教科化は文科相に下駄を預けたという書き方には笑ってしまいました。

 なぜか、、、、、だってもう学習指導要領はできているんですよ。

 中教審答申からパブリックコメント用に学習指導要領原案を公表する2月末までの1か月あまりで、学習指導要領作成が一から始まるなどと思っている人がいたら、その人はあまりに人が良い。

 学習指導要領が1カ月でつくれるわけがないでしょう。実際のことを言えば、各教科の学習指導要領は大枠は一昨年中にできているのです。遅くても昨年秋には各教科ともほぼ完成していると見てよいでしょう。

 現行の学習指導要領までは、中教審答申→教育課程審議会答申→各教科の学習指導要領作成会議→学習指導要領告示という流れで、ほぽ5、6年をかけていました。それが行政改革で教育課程審議会が中教審に統合された上に、常時、学習指導要領の改善については審議するという形になり、実際の学習指導要領作成過程が見えなくなりました。

 以前は、教育課程審議会答申が出てから学習指導要領作成会議が設置されたので、マスコミは関係委員などから独自で取材したものです。ところが、今回の学習指導要領は答申審議とは別に中教審内部の各教科の委員会が日常的に活動していたため、マスコミはほとんどこちらをチッェクすることをしなかったようです。

 これでもよい言えばよいのですが、肝心要の学習指導要領の作成過程を監視してチェックするというマスコミの機能が次期学習指導要領では働かないわけです。

 いつのまにか出来上がっていた各教科の学習指導要領が、中教審答申から間をおかずに告示される、、、、、このような方法は行政的には当たり前ですが、こと学習指導要領という問題に限れば、正しいことなのか。私は疑問が残ると思います。

 なぜならば、中教審が学習指導要領の改訂を審議しているのに、各教科ではもう既に学習指導要領作成の作業をしているとはいえません。ただ、現在社会が教育行政に求めるスピードを考えれば、中教審答申と同時並行で学習指導要領作成の実務作業を進めるしかありません。

 よって、以前ならば学習指導要領の作成と同時に、広く教科関係団体などが侃侃諤諤の論議を始めたものですが、現在では実質的に関係者のみしか論争に加われないからです。

 ちなみに、現行学習指導要領も含めてこれまでは答申から告示までに、通常2年、短くても1年は期間がありました。
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授業時間数10%増は数字のマジック

2007/09/16 14:22
 学習指導要領改訂のニュースが日刊紙でもどんどん流れるようになりました。ネタもとは中教審の教育課程部会の会合を各社とも傍聴取材しているので、取り上げる事項のウエートの違いはあれ大筋はどれも同じです。
 また、中教審の議事録もどんどん最新のものがアップされるようになりました。これをマスコミ的に解釈すると、「ゴールが近い」ということです。議論が微妙な論点を含んでいる時、役所は議事録をアップしません。更新が遅れているという体裁をとって、中身を公表しないのです。でも、大筋が決まってゴールが見えてくると、怒とうのごとく議事録の更新が行われるようになります。

 まあ、各教科の中身の話はさておいて、今回の改訂の目玉は「授業時数の10%アップ」でしょう。しかし、、、、、これって本当は数字のマジックではないでしょうか。もう気がついている方もいるでしょうが、電卓を叩くと帳尻は合うものの、では具体的に可能なのかというと疑問だらけなのです。

 例えば、小学校の場合、6年間で350時間の授業時間数の増加となっています。具体的には、国語、算数、社会、理科、体育の時間数を増やします。
 で、どうするか。中教審の教育課程部会の資料は次のように説明しています。

 (4)総授業時数
○ 現在の各学年の総授業時間数は、児童の発達段階等を踏まえ、第1学年は782単位時間(週23コマ相当)、第2学年は840単位時間(週24コマ相当)、第3学年は910単位時間(週26コマ相当)、第4学年から第6学年までは945単位時間(週27コマ相当)となってる。
○ 今回の改訂では、上記(3)のとおり、総合的な学習の時間を、中学年及び高学年で各学年35単位時間(週1コマ相当)程度縮減することにより、4年間で140単位時間(週4コマ相当)程度が縮減されることになる。一方、高学年において、英語活動を総合的な学習の時間とは別に週1コマ程度行うこととすると、2年間で70単位時間(週2コマ相当)程度が英語活動に充てられることになる。
このため、国語、社会、算数、理科及び体育に関して、これらの各科目を通じて6年間で350単位時間(週10コマ相当)程度増加させるためには、6年間で280単位時間(週8コマ相当)程度増加させる必要があることになる。
○ さらに、これらの各教科等の授業時間外に、児童会活動やクラブ活動が行われていることや、学校が組織的な教育力を発揮する上で必要な職員会議等の時間を確保する必要があることを踏まえる必要がある。
○ このように、児童の発達段階や、授業時間外の諸活動の必要性等を踏まえつつ、6年間で280単位時間(週8コマ相当)程度増加させるとすれば、小学校の各学年の総授業時数は、低学年で年70単位時間(週2コマ相当)、中・高学年で年35単位時間(週1コマ相当)程度増加させることが適当と考えられる。


 ここで主要教科プラス体育の6年間350時間増という一般的なイメージが間違いであることが分かります。

 @ まず、実質的には280時間が授業時間数の純増分です。

 A具体的には、3年生以上の総合的な学習の時間を週1時間削減します。5・6年生ではこの削減分が「英語」に回るので、最終的には1・2年生は週2時間、3年生以上は週1時間の授業時間数増をします。これで、6年間で350時間、つまり現行よりも主要教科時間数が1割アップとなる計算です。


 つまるところ、授業時間数10%増とマスコミなどは大騒ぎしていますが、低学年で週2時間、中・高学年で週1時間増えるだけなのですね。

 でも、ちょっと待ってください。学校週5日制はそのままです。現在でも各学校は、授業時間数の確保に四苦八苦しています。学習負担の増加という問題を考えなければ、授業の組み方に余裕がある低学年はなんとかなるでしょう。しかし、中・高学年でどうやって週1時間の純増を生み出すのでしょうか。

 その答えは、先に引用した資料の注釈の部分にあります。これです。

※ 現在、公立小学校(第5学年)では、9割以上の学校において標準授業時数を上回って教育課程を編成。このうち、年35単位時間(週1コマ相当)程度上回っている学校は6割程度。
※ 始業前などに全校一斉のドリル学習や読書活動に取り組んでいる学校は9割程度。


 要するに、現行でも小学校の6割は、学習指導要領より週1時間程度多い授業時間を組んでいるから、週1時間増はできる、、、、、、、ということなのです。

 そして、それでも間に合わなければ、次の手を使います。

○ 国として示す標準授業時数を増加するにあたって、増加した授業時数をどのように確保するかについては、教育委員会や各学校の裁量でそれぞれの学校や児童の実態等を踏まえ、多様な取組により増加させることが考えられる。
○ 例えば、
・週当たりの授業時数の増加のほか、
・教科教育の一環として朝の10分間を活用した読書活動、ドリル学習の活用
・1単位時間を変更したモジュール学習の活用
・長期休業日の短縮
などの方法が考えられる。また、同様の取り組みにより、各学校の裁量で標準授業時数を上回る授業を実施することも可能であることを明示することも考えられる。

 早い話が、現行でも9割の学校が朝の読書やドリルをやっているから、これを授業時間数にカウントすれば、大半の学校は授業時間数の1割増が可能だということです。


 なるほど、、、、とうなずきます。そして、疑問がわきます。

 6割の学校が週1時間多く組んでいる、9割の学校が課外活動で教科関連学習をしている。それを授業時間数に組み込めばよい、、、、、、、これって純増なのですか?

 私の頭で考えると、現在余分に設定してある授業時間と課外活動の時間を学習指導要領の標準授業時間数にカウントしても、実際の授業時間数が増えることにはならない、、、、という結論になるのですが、、、、私の頭が悪いせいでしょうか。

 中学校もほぼ小学校と同じ理屈で授業時間数の増加が図られています。
 ○小学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)
○中学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)


 結局のところ授業時間数の10%アップというのは、学校現場にしてみると「数字のマジック」以外の何ものでもないのではないでしょうか。

 最後に誤解のないようように言っておきますが、私は授業時間数をもって増やせと言いたいのではありません。

 授業時間数が週1時間増えれば、学力が上がるのか、、、、そんな疑問を放置したまま、学習指導要領の標準授業時数をクリアするにも各学校が四苦八苦の工夫をして、課外活動まで授業時間数にカウントしなければならないようなものが、本当に最低限の基準であるはずの学習指導要領といえるのか、、、、、、ということです。


これがそのまま学校に適用されれば、問題のある地域や子どもが多い学校では、学習指導要領の標準授業時数をこなすことさえ不可能になるでしょう。逆に恵まれた環境の学校は、さらに標準授業時間数以上の授業をこなすようになるでしょう。


 ちなみに、実質的に必履修科目と卒業必要単位数しか学校を縛るものがない状況になっている高校については、授業時間数の増加などは全く議論されていません。ようするに各高校で勝手にやれということです。これはこれで高校としては当然かと思います。しかし、そのような考えた方を小・中学校にまで導入する必要があるのか、、、、、、私は疑問を感じます。
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学習指導要領の改訂はいつか

2007/08/26 20:26
 忙しいです。フリーターのような暮らしをしていたフリーライターには、地獄のような日々です。ということで、今回は簡単にすませます。この前も原稿も書かずにブログ更新しているのを見つかって編集者に怒られてしまいました。

 で、次の学習指導要領の改訂はいつか、、、、、という話題です。

 ○「言語力」全教科で育成…中教審方針(読売新聞8月17日)

○全教科を通じ「言語力」育成 文科省の有識者会議(朝日新聞8月17日)

日刊紙でも学習指導要領の改訂に関する記事が少しずつ出ているようですね。

 この二つの記事のテーマとなっている「言語力」には、いろいろ賛否があるようです。ただ、簡単に言えば、これは経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)がメーンにしている「読解力」のことだと言ってよいでしょう。

 資料やテキストから課題を見つけ、それを解決し、他人の伝える能力のこと。「読解力」と日本語訳されてきましたが、そうすると従来の「国語」の読解のように受け取られるという懸念が関係者の間では出されていました。

 「読解力」というと国語のみになってしまうので、あえて「言語力」というなじみのない表現にしたというところが真相ではないでしょうか。

 話が脱線しました。で、学習指導要領の改訂はいつか。


 ずばり来年2月です。


 今年度中に学習指導要領を改訂することは、政府の「骨太の方針2007」に示されているので決定事項です。

 リンクがないので紹介できませんが、日本教育新聞の8月20日付の中に、日本新聞社主催のセミナーで中央教育審議会の有力委員の一人である梶田叡一・兵庫教育大学長が講演した内容が載っています。

 それによると、

 学習指導要領改訂に向けた中教審の中間報告が10月

 中教審の答申が来年1月

 新学習指導要領の告示が来年2月ごろ

 というのが、目下のスケジュールだそうです。

 内容については、昨年の中教審教育課程部会の中間報告などとあまり変わりはないようです。教育再生会議で出した道徳の教科化なんてのも、結局中身は従来にない新しい枠組みの教科なんて呼び方をしていても、実質現行どおりなんですから。

 ただ、梶田氏の発言の中で気になるのは、高校の総合的な学習の時間を必修から外すべきだという意見が中教審内部にあるようです。これは大変気になるところです。

 では、学習指導要領の告示が来年2、3月ごろとして、実施はいつになるのか。

 最短スケジュールだと、告示後一年間で教科書編集、次の1年で教科書検定、そして次の年で教科書採択となるので、

 小学校の新学習指導要領が2011年度

 中学校の新学習指導要領実施が次の2012年度

 そして、高校が2013年度から学年進行で実施

 ということなるでしょうか。まあ、あくまで最短でです。

 もちろん、例えば学校運営上の土曜日の扱いなど教科書に関係しない部分は、移行措置としてその前に実施されることになるでしょう。

 
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ゆとり教育と学力

2007/04/15 00:09
 さあ、一部の人たちにはまた困った結果が出ましたね。高校の学力テストの結果です。正確には、学力テストではなく「教育課程実施状況調査」といい、学習指導要領改訂の資料とするため数年おきに抽出調査で実施されます。


◎高3学力テスト、「ゆとり世代」で結果改善 文科省(朝日新聞04月13日)
◎高3学力低下歯止め、ゆとり世代初の全国テスト(読売新聞)
◎ゆとり教育:学力は「改善の方向」 文科省調査(毎日新聞)

資料はこちら。
◎ 平成17年度高等学校教育課程実施状況調査結果の概要
 各紙とも、すなおに学力が上がったとは認めていません。文科省も同様ですね。記述式の成績が悪いとか、理科や数学が悪いとか。しかし、全体的に見れば学力は向上していることは事実です。

 ○学力低下を指摘されたのは実は前学習指導要領の子どもだった。

 「ゆとり教育」が批判され、そによって学力が低下しているという問題は、現行学習指導要領が始まるときに世の中を席巻しました。いわゆる、学力低下批判です。文科省は当初、それを認めませんでしたが、経済協力開発機構による学習到達度調査(PISA2003)と国際教育到達度学会の理科・数学教育動向調査(TIMSS2003)の結果が2004年末に相次いで発表され、国際順位が低下したことが明らかになり、文科省は初めて学力低下を認めました。以来、学力低下は既成事実となり、学力向上路線へと変わっていくわけです。

 しかし、ここに一つの落とし穴があります。それは、PISAもTIMSSもテストの対象学年となったのは前回の学習指導要領で学んでいた子どもたちだったということです。

 つまり、学校週五日制や総合学習の導入で批判された現行学習指導要領の子どもたちの実力はこの時点では全くわかっていなかったのです。


○現行学習指導要領の小・中学生も学力は向上している。
 今回、高校生についての結果ですが、小・中学生はどうなのでしょう。実は、2005年4月に発表された2003年度小・中学校教育課程実施状況調査の結果によると、やはり学力は向上していることが分かっているのです。

 しかし、当時は既に学力低下批判が社会的に定着しており、文科省も表面的には学力向上に舵を切っていたところなので、マスコミは学力向上よりも記述式問題に成績が悪い、数学の力が落ちている、学力低下を受けて学校現場が学力向上に励んだ成果だ、などと報道しました。つまり、今回と同じです。


 ○「ゆとり教育」とは何かを精査する必要がある。
 結論を言えば、学力が低下していたのは前回までの学習指導要領で学んだ子どもたちで、現行学習指導要領の子どもたちはそれに比べると学力が上がっているということです。

 もちろん、前回学習指導要領の子どもたちの学力が低かったので、それに比べて上がっているからといって、学力が向上していることにはならない。「ゆとり教育」以前と比べれば、学力低下は依然して深刻だという見方はもちろんできます。

 しかし、完全学校週5日制、総合的な学習の時間の導入など、「ゆとり教育」の頂点といわれる現行学習指導要領が、それまでの「ゆとり教育」の学習指導要領よりも成績が上がっているというのは、「ゆとり教育」イコール「学力低下」という図式に当てはまりません。

 昔、ゆとり教育のスポークスマンといわれた文科省の寺脇研氏(現・京都造形大学教授)が学力低下を批判されたときに、単に授業時間数を減らしたそれまでの学習指導要領と、「生きる力」の育成を目指した現行学習指導要領は、同じ「ゆとり教育」ではないと発言したことがあります。当時は、失笑を買った発言ですが、ここにくると寺脇氏の発言はあながち間違っていなかったような気がします。

 「ゆとり教育」ということで、「ゆとりと充実」以来の学習指導要領は同じく批判されていますが、もっと丁寧にそれぞれの学習指導要領の成果を見直す必要があるのではないでしょうか。


 ○もっとも文科省は現行路線を見直すつもりはない。
 で、ここまで言ってきて結論をひっくり返すようで恐縮ですが、既に文科省は現行学習指導要領の「生きる力」の育成という理念を継続することを決めており、それを修正するつもりはないようです。

 そもそも、現在国会で審議されている学校教育法改正案の中にある義務教育の目標の条文には「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」とわざわざ入れてあります。

 この条文と現行学習指導要領の理念の間に、どれほどの違いがあるか説明できる人はいるでしょうか。私はできません。もっとも、この条文と同じ内容は教育再生会議の第一次報告にも入っています。文科省にすれば、教育再生会議の報告を具体化しただということでしょう。再生会議は、「ゆとり教育の見直し」を打ち出しながら、実際には「ゆとり教育」を進める内容を報告に盛り込んでいたのですね。

 というわけで、学力低下批判を受けて基礎・基本的な知識・技能の定着に力を入れるようになったものの、基本的には「生きる力」路線を文科省は捨てるつもりはないのです。

 2003年度小・中学校教育課程実施状況調査、そして今回の高校の調査でも文科省は、学力低下がないことを強調していませんし、現行学習指導要領は正しかったと勝ち誇ってもいません。それは、既に「生きる力」路線を継続することを決めているので、あえて学力問題で波風を立てたくないというのが文科省の本音ではないでしょうか。

 
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道徳は教科化か新教科か

2007/04/11 23:09
 教育再生会議の第一分科会の動向で、道徳教育の改革があります。以前のエントリーでは少し触れましたが、第一分科会の資料が公開されたので見てみると、どうやら単なる保守的な道徳教育の充実ではないような気がします。


○マスコミ報道には偏見があったのではないか。
◎道徳、「教科」に格上げ案 教育再生会議分科会が提言へ(朝日新聞03月30日)
◎道徳教科化、「評価」は反対意見大勢 教育再生会議(朝日新聞04月09日)

 上の記事からは、明らかに従来の保守的立場の一部から出されていた道徳教育の充実、その一つとしての道徳の教科化というニュアンスが伝わってきます。

 しかし、引っかかったのは、道徳の教科化について質問を受けた伊吹文科相が、
「報道各社は、言葉を選んできちんと報道してもらいたいと思いますが、教育再生会議は『徳育』と言っているのではないですか。道徳とは言ってないと思います」(閣議後大臣会見
と答えたことです。
 確かに新聞報道でも「徳育(仮称)」という教科名はありますが、いずれも「道徳の教科格上げ」というニュアンスの中での情報でした。


○教科格上げと新教科はニュアンスが異なるのではないか
 で、サイトにアップされた教育再生会議の第一分科会の資料を見ると、次のようなものがあります。
 ◎たたき台(新教科「徳育」の設置)
 ◎学力と徳育関連資料

 この資料は、白石主査と小野副主査の共同提出となっていますが、虚心坦懐にこれを見ると、ここから読み取れるのは既存の道徳の教科格上げではなく、従来の道徳とは全く異なる新しい教科をつくろうということです。おそらく事務局もこれにかんでいるだろうと私は思います。

 実際に、議事概要を見ると、道徳の教科化で一致したと伝えられる会合の中身は、生きる力を身につけるためのスキルを学ぶ新教科を創設したらどうかという議論でした。

 「徳育」という科目名よりも「生き方科」という名称の方がふさわしいという発言もあります。議論の中でも言及されていますが、おそらく、白石主査と小野副主査の念頭には東京都杉並区立和田中学校の「よのなか科」があるのは、ほぼ間違いないだろうと思いました。

 ただ、ほかの委員の発言を見ると、道徳の教科化と提案された新教科の関係が全く理解できていない人、ともかく道徳を増やせと言うだけの人などがいて、議論があまり噛み合っていない印象を受けます。ここだけの話、教育再生会議の議事録は読んでいて、笑いどころ満載です。こんな訳の分かっていない人々が、噛み合わない議論をしていれば、マスコミに審議公開などできるわけがないというのはうなづけるところです。

 話を元に戻すと、一部主要委員は、道徳の教科格上げという形をとって、全く別の「生きる力」のための新教科を構想しているのではないか、というのが私の見方です。


 ○結局は、次の次の学習指導要領の話。
 だとすれば、現実問題としてどうなるか。教育再生会議が「徳育」や「生き方科」などの新教科創設を提案したとしても、その具体化を検討するのは中央教育審議会であり、議論はおそらく1年や2年はかかるでしょう。全くの新教科ですからね。

 となれば、今年度末ごろに予定されている次期学習指導要領の改訂などに間に合うはずもない。ということは、次の次の学習指導要領改訂の課題となるわけです。

 それにしても、道徳の教科化という保守的な人々にアピールするような新教科「徳育」という名称の裏で、実際のところは「生きる力」をより強化するような新教科「生き方科」を構想している一部委員(あるいは事務局も含む)がいるというところに、私としては非常に興味を感じました。世の中、表と裏があり、なかなか一筋縄ではいきませんね。
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道徳の教科化報道の狙いは

2007/04/03 14:15
 ごぶさたしました。年度末で仕事がかなりハードでした。その間に世の中はいろいろと動いているようです。教科書検定というメジャーな話はほかに任せるとして、ちょっと遅れましたが道徳教育の話を。


◎統一地方選前のアドバールーンではないか?
 ○道徳、「教科」に格上げ案 教育再生会議分科会が提言へ2007年03月30日
 ○道徳の教科化、文科相が慎重姿勢示す2007年03月30日

 教育再生会議の分科会が道徳を教科にすることで一致したというニュースは、各紙で大きく取り上げられました。安倍政権の性格を踏まえれば、やはりと思う人は多い。まあ、賛否は分かれるところですが。

 しかし、伊吹文科相も言っているように、ことはそう簡単ではありません。そもそも「道徳」なるものが、教科として成り立つのかといえば非常に疑問が多いのは教育関係者でなくても分かることです。

 私は、道徳の教科化は難しいことを承知の上でぶち上げたハッタリだと思います。統一地方選も間近ですからね。

 統一地方選前に道徳教育の充実ということで、一番インパクトがある教科化をぶちあげる。

 次に、参院選に向けた5月の教育再生会議第二次報告では、道徳教育の充実をメーンにして、その具体的方法として教科化を「今後の検討課題」として挙げておく。しかし、マスコミは教科化に再び飛び付くので、参院選向けのアピールには十分なる、、、という筋書きです。

 その根拠は、
 ○この件の記者会見をしたのが元文科事務次官の小野氏であること。山谷えり子じゃあるまいし、いくら何でもこの人が道徳の教科化が無理であることを知らないはずがない。それにこの人は、マスコミを利用して身内に揺さぶりをかけるということを時々やる人です。

 ○5月の第二次報告で、道徳を教科にすると明記すはれば、文科省が今年度中に予定してる学習指導要領の改訂は、確実に1年遅れます。いや、中教審での審議がもめることも考慮すると、2年は遅れるかもしれない。
 それでなくても、教育再生会議ができたために大幅に遅れている学習指導要領の改訂をこれ以上遅らすことはいくらなんでも限界でしょう。つまり、教育再生会議の第二次報告では学習指導要領の改訂作業を大幅に見直すことになるような問題は、出てこないというこです。


 ◎ただし、道徳教育の充実は確実に迫られる。
 教科化は別にしても、道徳教育の充実は確実に第二次報告に盛り込まれるでしょう。しかしこの程度は、文科省はとうに織り込み済みのはずです。

 「心のノート」の利用率のアップ、道徳の年間計画の策定と授業時間数の確実な確保などを小・中学校は迫られ、たぶんそのチェックもされることになりますね。

 最大の焦点となるのは高校です。現在、高校には道徳の時間がありません。これを何とかしたい。おそらく、道徳の教科化をぶち上げた本当の狙い、問題の本丸は高校への道徳教育の導入ではないでしょうか。


 既に茨城県では、高校で学校設定教科・科目(学校独自の教科・科目として設けられる時間)や総合的な学習の時間などを使って、道徳を実施することを必修化しています。東京都も同様に「奉仕」の必修化でボランティア体験などを導入しています。これと同様のことが全国の高校で行われることになると思われます。

 問題はその具体化のための方法ですが、学習指導要領に書き込むとやはり面倒ですし、改訂作業が遅れます。また、国が一律に基準を決めるのは何かと問題が起こる可能性が高い。となると、具体的な中身は都道府県教委や各高校に任せる(当然、文科省は参考となるガイドラインをつくる)として、学校教育法施行規則あたりの改正でしょうか。

 この手の問題は、これまでなら学校現場で[実態に応じて」いかよにうも対応できたのでしょうが、いかせん昨年末の「未履修問題」で高校現場は首根っこを押さえられてますから「形だけやっていることにする」のは難しい。

 こう考えると、昨年末の「未履修問題」は、本当にタイミングがよかったというか悪かったというか。

 道徳の教科化の報道は、反対陣営が騒げば安倍政権の姿勢を鮮明にできる、騒ぎが少なければ高校を含めて道徳教育の充実を学校現場に着実におろすこととができる。考えてみれば、なかなかの高等戦術なのかもしれません。



 それにしても、マスコミの報道は小さかったですが、大事なニュースがあります。
 ○教員給与の優遇「維持を」 中教審が答申
○教育関連2法案を閣議決定 今国会で3法の成立目指す

 教員給与の見直しをしていた中教審でいよいよ答申が出た。おおよその中身は分かりますが、やはり答申内容をきちんと読まないとなんても言えない。

 同様に、教育改革3法案が閣議決定され国会に提出されましたが、この中でも学校教育法改正案と地教行法改正案には、見た目では分からない「隠し球」が入っている可能性が高いです。

 でも、いずれもまだサイトにアップされていないのです。この2・3日、このせいでイライラしどおしです。


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続・学習指導要領の改訂時期と内容

2007/03/18 03:34
 今回は学習指導要領の改訂について。


○小・中学校の新学習指導要領告示は来年度末ごろか

◎学習指導要領改訂「再生会議にとらわれず」 中教審部会(朝日新聞年03月16日)

 ちょっと前のエントリーで、学習指導要領の告示は今年の秋から年末くらいと予想を述べましたが、上の記事によると中教審では「夏ごろに中間まとめをし、年内の答申を目指す」とされています。

 前回の学習指導要領告示の例でいうと当時の教育課程審議会答申から学習指導要領の告示まで約5カ月ほどかかっています。朝日新聞の記事が正しいとすると、答申が秋から年末とすると学習指導要領の改訂時期は来年3月から5月ということになります。

 今回の学習指導要領は、中教審答申から前回ほど時間がかからないと予想されます。また、春以降にずれこむと教科書作成の関係で新学習指導要領の実施が1年遅れることにもなりかねません。しかし、既に学習指導要領の改訂は、文科省の当初の予定よりも遅れているため、これ以上遅らせることはできないと思います。

 となると、学習指導要領の告示は小・中学校が来年度末もしくは来年4月ごろ。半年ほど遅れて高校の学習指導要領の告示というのが常識的な線でしょう。

 そして、教科書作成、検定、採択という流れを経て、新学習指導要領の実施は、早くて小学校が2011年度、中学校が2012年度、続いて高校が学年進行で2013年度でしょう。




○一律の授業時間数増加は実は困難

◎春・夏休み短縮土曜に補習 ゆとり教育見直し(読売新聞3月15日)
◎教育再生会議:小中の1日7コマ授業など検討(毎日新聞3月15日)

 最初の朝日新聞の記事と合わせて、読売と毎日の教育再生会議の記事を読むとなかなか面白いです。というのは、結局のところ授業時間数の増加といいながら、中教審も教育再生会議もどうやって全体の授業時間数を増やすのか、実はまったく打つ手がないというのが本音であろうことがうかがえるのです。

 つまり、一律に学習指導要領の授業時間数を増やすことができないのです。

 なぜかというと、学校五日制のためです。現行でも小学校低学年あたりを除けば小・中・高校ともに年間授業時間数はほぼ限界に達しています。これが例えば国語、算数・数学、英語のみを増やすというのならば、ほかの教科の授業時間数を減らせば可能ですが、とても一律に年間授業時間数全体を増やすなど、実はもうできないのです。

 だから、中教審は授業時間数1割増などという教育再生会議の提言をそのまま飲むことはできないし、教育再生会議も一律に授業時間数を増やす方法を提言することはできないというのが実情でしょう。



○結局、授業時間数の増加は学校現場任せに?

 では、どうするのか。読売と毎日の記事によると、平日7時間授業、土曜日補習、夏休みなど長期休業期間の短縮などの例を挙げています。しかし、既に述べたようにこれらを一律に適用するのは困難です。となれば、学習指導要領が示す授業時間数は最低限のものであるとした上で、これにどういう方法で何時間上乗せするかは地方自治体や学校現場の裁量に任せるということになるのではないでしょうか。

 日本教育新聞3月12日付けのインタビュー記事でも教育再生会議の分科会長の一人が、どういう方法で授業時間数を増やすかは学校現場が判断すればよいと述べています。

 実はこのような考え方は、中教審の教育課程部会が昨年2月にだした審議経過報告の中で、既に示唆されています。こういう内容です。
○  また、授業時数の在り方については、その量的な側面だけでなく、各学校における教育活動の創意工夫により、効果的な学習指導ができるよう、その弾力的な運用等についても検討する必要がある。
○  現在、各学校では、例えば、朝の10分間などを活用して、学習習慣の確立といった観点から、読書活動、音読、計算のドリル学習などが行われている。こうした標準授業時数の枠を超えた学習活動について、国の基準上の取扱いについて検討する必要があるとの意見が示されている。
○  現在は標準として定められている授業時数の扱い、学年ごと教科ごとに示されている授業時数の示し方について、柔軟化することも検討する必要がある。


 結局のところ、学校五日制を廃止しない限り、授業以外の活動の一部を授業時間数に含めるよう読み替えていくしか方法がなく、それは地方自治体や学校現場の裁量に任すしかないということなのですね。

 しかし、教育内容は学力向上路線からいっても増えることは間違いない。

 つまり、最低基準である学習指導要領の教育内容を教えるために必要な時間数が、従来の枠に収まらない場合、学校は学習指導要領の内容をこなすためだけでも今以上の授業時間数を確保する工夫を迫られる可能性があります。そして、それがうまくいっているかどうかを全国学力テストによって、国が判定するということになるのでしょう。

 教育関係者以外には少し分かりづらい説明でしょうか。

 簡単に言えば、新学習指導要領では小・中学校でも市町村、各学校ごとに年間授業時間数が異なるということです。

 これを学力格差の拡大ととるか、学校や地方自治体の裁量の拡大ととるかは、また見方が分かれるところですが。


まとめれば、

 ○乱暴な言い方をすると、新学習指導要領はその内容を教えるのに、各学校が授業時間数を増やす工夫を任される。だから、学校ごとに年間授業時間数が異なってくる。

 ○最低基準である学習指導要領の内容をきちんと教えたかどうかは、全国学力テストで国が評価する。

 ○地域や子供の実情に応じて授業時間数をさらに増やさせる学校は、学習指導要領以上の内容を教えることができる一方、最低限しかできない学校も出てくる。
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学習指導要領の改訂時期

2007/03/08 01:30
 なんか面倒なことばかりで忙しいです。というわけで、今回は簡単に。

 文科省はいろいろなシンポジウムや研究協議会の類を開きます。私のようなものが取材に行くときに、一番注意するのが研究協議会などの内容よりも冒頭にある文科省の幹部や担当者の挨拶や行政説明です。

 しかし、これがなかなか分かりづらい。というより、官僚は決定事項以外は断定した説明はしませんので、現在課題になっている問題の対応方針などは、それこそ「におわす」というような感じで話すのですね。その言葉の裏を読み、行間を読む、、、、これにはある程度の経験が必要です。

 と、偉そうなことを言っておいて、全く私が取材したものではない話。時事通信の「内外教育」3月6日付の文科省主催の「総合的な学習の時間の研究協議会」によると、文科省の教育課程の担当者が講演で次のように話したそうです。

 「6月以降、可及的速やかに学習指導要領の改訂が行われるように中教審にお願いすることになる」

 昨年末の教育基本法改正を受けて、学習指導要領の根拠法となる学校教育法改正案が今国会に提出されることになります。6月というのは、学校教育法改正案が国会で成立する時期の見通しということでしょう。

 つまり、5月に予定されている教育再生会議の第二次報告、学校教育法改正案の成立を受けて、学習指導要領の改訂(つまり告示)に着手するということです。

 常識的には中教審初等中等教育分科会または教育課程部会の報告、中教審答申を経て、学習指導要領の告示となるはずです。

 そう考えると、新学習指導要領の告示は、小・中学校が今年秋から年末にかけて、高校はそれよりも遅れるというところでしょうか。


 となると、新学習指導要領での教科書編集、検定、採択に最低でも3年間が必要となるので、新学習指導要領実施は早くて小学校が2011年度、中学校が2012年度、続いて高校が学年進行で2013年度からとなる計算です。

 本当ならば、教科書編集に2年間ほしいところですが、文科省はおそらくそこまで待たないでしょう。教科書会社の尻をたたいて1年間でつくらせるのではないかと。
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全国学力テストの予備調査

2007/01/15 03:08
 今年4月から小学校6年生、中学校3年生を対象にした全国学力テストが文部科学省によって実施されます。これに対する社会の反応を見ると、過去の学テ騒動が全く嘘のようです。社会では学力テストの実施を肯定的に受け止める声が多いようですね。

 全国学力テストへの批判、あるいは賛成意見は多く出されています。しかし、全国学力テストがどのようなものなのか、その具体的な中身については触れたものが少ないです。そんな中で注目されるのが、朝日新聞の教育面の記事です。

○全国学力調査、復活前に実施の予備調査 記述式指導、戸惑う教師(朝日新聞1月14日)
「今年4月、全国学力調査が約40年ぶりに復活する。文部科学省は、先駆けて実施した予備調査の問題の一部を昨年末に公表した。最大の特徴は、問題文を読み取って自ら文章にまとめ、記述式で答える問いが含まれていたことだ。現場の教師に戸惑いが広がる一方、研究者らは評価する」


 内容は、文科省が全国学力テストの試行のために昨年12月に実施した予備調査の試験問題の分析です。記事によると、算数・数学でも記述式の問題が多く、これに対して学校現場の教員の間で、従来の指導では対応できないという戸惑いが広がっているという趣旨です。

 予備調査の問題例は、文科省のサイトにも出てますので、関心のある方は見てください。

 私は専門家ではないので、この問題例を見ても「思考力を問うものが多いな」という程度しか分かりません。その意味で、問題例を分析してその狙い、学校現場の反応などを取材した朝日の教育面の記事は、大変参考になりました。


○やはり文科省の狙いは「生きる力」路線の継続のようだ。
 朝日の記事にも指摘されていますが、専門家の分析などを見ると、文科省が全国学力テストで測ろうとしているのは、社会一般にイメージされている「学力」ではなく、現行学習指導要領が掲げている「生きる力」としての学力のようです。

 この予備調査で問題作成のモデルとなったのは、記事も指摘しているように経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA)であることは確実です。一昨年の暮れにPISA2003の結果が公表され、文科省が公式に日本の子どもの学力低下を認めたことがニュースになった、と言えば思い出す方もいると思います。

 しかし、専門家の間では周知の事実なのですが、PISAというのは単なる習得型学力の調査ではないのです。実は、習得した知識・技術を実生活でどう役立てるかというところに力点がおかれており、これを「PISA型学力」と呼ぶ専門家もいます。

 早い話が、現行学習指導要領の「生きる力」の理念とほぼ同じなのです。

 このことからも文科省が「ゆとり教育」から「学力向上」に転換したというのは、やや単純な見方ではないかと思います。

 全国学力テストについては、賛否両方がいろいろな意見を述べていますが、理論の空中戦になりがちなテーマを、実際の問題例を取り上げて内容を分析するという方法で取り上げた朝日の記事は、マスコミの姿勢として評価できます。


○教育雑誌関係は、これから特集が組まれる。
 で、教育雑誌の方はどうなっているのかというと、たぶん来月発売の3月号以降で予備調査の内容が特集されるのではないでしょうか。

 業界裏話になりますが、教育雑誌も全国学力テストの特集をしたがっているところが多かったのです。しかし、肝心の文科省の担当者たちが昨年12月の予備調査が終わるまでは原稿が書けないと断っていたので、企画が進められなかったという事情がありました。

 予備調査も終わり、年末年始にかけて文科省関係者による原稿執筆も進んだでしょうから、3月号ごろにはそれが載るのではないかと思われます。




○やっとサイドバーのリンクの貼り方を覚えました(汗。当ブログにリンクを貼っていただいている方はアドレスをお知らせください。こちらも表示させいていただきます。
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 本当にびっくりしました。いや、東京地裁の君が代・日の丸をめぐる判決のことです。まさか原告側が勝った上に違憲判決まで出るなんて、全く想像もしなかった。これは都教委だけでなく原告側弁護団もそう思っているのではないでしょうか。さらに、今日の朝刊には、指導力不足教員の認定状況がありました。どちらも微妙な問題です。 ...続きを見る

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 今回は、総合的な学習の時間について。ところで、少し前に週2回はこのブログを更新すると宣言したのに、週1回がやっとというていたらく。なんとか週2回は最低でも更新することを目指しますので、ご愛顧のほどを。 ...続きを見る

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 今回はニュースのネタではないのですが、学習指導要領の改訂作業が大幅に遅れるのではないかという観測が流れているというお話です。  学習指導要領は、学校教育にとって最も大きな話題の一つなので、まだ推測の域を出ませんが、書いておいてもよいと思います。 ...続きを見る

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