対教師暴力は何件増えたのか
今日は上の息子の運動会の予定でしたが、台風接近による雨で中止。明日から本格的に台風がくるようで、果たしてどうなるか。カレンダーや他校を含めた行事予定表を見ながら、頭を抱えている先生方の顔が目に浮かびます。本当に行事シーズンの雨続きは困りものです。そして、困りものといえば、問題行動ですね。
○小学生の校内暴力、最悪の1890件…対教師32%増
全国の公立小学校で児童が昨年度に起こした校内暴力は1890件に上り、1997年度の調査開始以来、過去最悪となったことが22日、文部科学省のまとめで分かった。中でも教師への暴力が3割以上増えており、件数が減少に転じた中学校、高校とは対照的な結果となった。(読売新聞9月23日)
問題行動、特に校内暴力、対教師暴力の増加が近年問題になっています。特に中学校ですね。ところが、今回は小学校の校内暴力増加を各紙とも大きく取り上げました。これはニュースバリューとして当然のことです。でも、私、素直にうなずけないのです。記事にもあるように、公立小学校は2万校以上です。校内暴力のあった小学校数を書いてある記事がみつかりませんでしたが、前回の調査では1600件、620校でした。つまり前回調査でみると、全国の公立小学校の「2・7%」で校内暴力があったことになります。事件は特定の学校に集中する傾向があるので、この発生率は1980件になった今回もあまり高くならないと思います。
そして、小学校の対教師暴力ですが、前回調査では前年度比39・0%増の253件でした。増加率だけみれば、前回調査の時のほうが深刻です。しかも、32%も増えたとマスコミはいいますが、全国的に見れば、83件増えているだけなのです。公立小学校2万校以上の中で、83件も対教師暴力が増えた、、、とても深刻な事態だ、それともちょっと厳格に報告数をカウントした学校が何十校かあった。どう解釈するかは、じつは微妙なところです。これは統計のマジック、そして報道する側のその時々の都合です。例えば、今回の調査は、史上初めて高校生の登校拒否生徒数を調査しました。じつはこの方が大きなニュースだと私自身は思っています。でも、統計物では高校や大学のニュースよりも小学校のニュースの方が読者が多いんです。
さらに、数字だけでは分からないのが、対教師暴力などの実態です。記事をみると、「教員のむなぐらをつかんだ」「突然、教員の足をけった」などの例示がありますが、その実態はわかりません。児童に足をけられたり、背中をなぐられたりしたという経験は、多かれ少なかれ教員ならあるのではとも言えるし、わざわざ報告件数にカウントしたのだからよほど深刻な事態だったのだろうとも言えます。要するに、報告する学校の姿勢しだいで数字は変わるのです。
しかし、問題行動調査のような経年的な統計にはやはり意味があります。高校や中学校の校内暴力が減少傾向にある中で、小学校が増えているということは懸念すべき傾向です。この原因は何でしょうか。いろいろな要因が絡まっていることは確かで、家庭の教育力の低下、ゲームのやりすぎなどによるコミュニケーションの低下や脳の発達傷害、指導力不足教員の増加、あるいはこれまでなら校内事案として外部に出されなかったケースを厳格に報告件数に載せるように教育委員会が指導するようになったなど。
ここで、私が指摘しておきたいことは、軽度発達障害児(学習障害、注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群など)の子供の存在です。文科省の報告書では、児童の6%が軽度発達障害を持っているといわれていますが、実際にはこの2倍から3倍というのが精神科などの見方です。軽度発達障害が近年になって急増しているとは思えませんが、家庭の教育力の低下、学校の指導環境の変化などでこの子こどもたちが「キレる」ような環境が多くなったのではないかとも思えます。
そして、2つ目は小学校教員の高齢化も関係しているのではないでしょうか。文科省の2004年度教員統計調査によると、小学校教員の平均年齢は「44・1歳」で過去最高になっています。学級崩壊を起こす教員は、比較的にベテラン教員に多いとも言われていますが、軽度発達障害の存在に対する認識が進む一方で、その指導方法はなかなか確立していません。理屈の通用しない小学生を相手に体力的衰えを感じながら、意識があまりにもかけ離れている子供たちを抱え、従来の指導方法が通用しなくなりつつあることに困惑している小学校教員は少なくないのではないでしょうか。もちろん、私はベテラン教員が悪いなどと言うつもりはありません。ただ、軽度発達障害児や不安を抱えているかもしれないベテラン教員に対するケアはもっとなされるべきだと思います。
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○小学生の校内暴力、最悪の1890件…対教師32%増
全国の公立小学校で児童が昨年度に起こした校内暴力は1890件に上り、1997年度の調査開始以来、過去最悪となったことが22日、文部科学省のまとめで分かった。中でも教師への暴力が3割以上増えており、件数が減少に転じた中学校、高校とは対照的な結果となった。(読売新聞9月23日)
問題行動、特に校内暴力、対教師暴力の増加が近年問題になっています。特に中学校ですね。ところが、今回は小学校の校内暴力増加を各紙とも大きく取り上げました。これはニュースバリューとして当然のことです。でも、私、素直にうなずけないのです。記事にもあるように、公立小学校は2万校以上です。校内暴力のあった小学校数を書いてある記事がみつかりませんでしたが、前回の調査では1600件、620校でした。つまり前回調査でみると、全国の公立小学校の「2・7%」で校内暴力があったことになります。事件は特定の学校に集中する傾向があるので、この発生率は1980件になった今回もあまり高くならないと思います。
そして、小学校の対教師暴力ですが、前回調査では前年度比39・0%増の253件でした。増加率だけみれば、前回調査の時のほうが深刻です。しかも、32%も増えたとマスコミはいいますが、全国的に見れば、83件増えているだけなのです。公立小学校2万校以上の中で、83件も対教師暴力が増えた、、、とても深刻な事態だ、それともちょっと厳格に報告数をカウントした学校が何十校かあった。どう解釈するかは、じつは微妙なところです。これは統計のマジック、そして報道する側のその時々の都合です。例えば、今回の調査は、史上初めて高校生の登校拒否生徒数を調査しました。じつはこの方が大きなニュースだと私自身は思っています。でも、統計物では高校や大学のニュースよりも小学校のニュースの方が読者が多いんです。
さらに、数字だけでは分からないのが、対教師暴力などの実態です。記事をみると、「教員のむなぐらをつかんだ」「突然、教員の足をけった」などの例示がありますが、その実態はわかりません。児童に足をけられたり、背中をなぐられたりしたという経験は、多かれ少なかれ教員ならあるのではとも言えるし、わざわざ報告件数にカウントしたのだからよほど深刻な事態だったのだろうとも言えます。要するに、報告する学校の姿勢しだいで数字は変わるのです。
しかし、問題行動調査のような経年的な統計にはやはり意味があります。高校や中学校の校内暴力が減少傾向にある中で、小学校が増えているということは懸念すべき傾向です。この原因は何でしょうか。いろいろな要因が絡まっていることは確かで、家庭の教育力の低下、ゲームのやりすぎなどによるコミュニケーションの低下や脳の発達傷害、指導力不足教員の増加、あるいはこれまでなら校内事案として外部に出されなかったケースを厳格に報告件数に載せるように教育委員会が指導するようになったなど。
ここで、私が指摘しておきたいことは、軽度発達障害児(学習障害、注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群など)の子供の存在です。文科省の報告書では、児童の6%が軽度発達障害を持っているといわれていますが、実際にはこの2倍から3倍というのが精神科などの見方です。軽度発達障害が近年になって急増しているとは思えませんが、家庭の教育力の低下、学校の指導環境の変化などでこの子こどもたちが「キレる」ような環境が多くなったのではないかとも思えます。
そして、2つ目は小学校教員の高齢化も関係しているのではないでしょうか。文科省の2004年度教員統計調査によると、小学校教員の平均年齢は「44・1歳」で過去最高になっています。学級崩壊を起こす教員は、比較的にベテラン教員に多いとも言われていますが、軽度発達障害の存在に対する認識が進む一方で、その指導方法はなかなか確立していません。理屈の通用しない小学生を相手に体力的衰えを感じながら、意識があまりにもかけ離れている子供たちを抱え、従来の指導方法が通用しなくなりつつあることに困惑している小学校教員は少なくないのではないでしょうか。もちろん、私はベテラン教員が悪いなどと言うつもりはありません。ただ、軽度発達障害児や不安を抱えているかもしれないベテラン教員に対するケアはもっとなされるべきだと思います。
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この記事へのコメント
僕も全く同意見です。
ちなみに今回の報告があった学校数は665校だとどこかの新聞にでていました。カラさんの仰るとおり、特定の学校に集中している数字なのですよね。
そうですか、665校。ということは小学校の校内暴力発生率は、全国で2・9%ということですね。対前年比0・2ポイント増。
やはり、今回はマスコミのミスリードだと思います。
このニュースは保護者にとってはとても衝撃的でした。マスコミのミスリードかもしれませんが、これを機会に校内の暴力について真剣な場がもたれるといいと思います。
後ほどTBもさせていただきます。