安倍教育改革の着地点

 締め切り間際で忙しいのにブログを書いている。こういうのを心理学的には逃避行動というのでしょう。ところで、相次ぐいじめ自殺、泥沼化しつつある高校の履修不足・必修逃れで、教育委員会の改革が課題になってきました。なんだか、安倍首相の教育改革の着地点の一つが見えてきたような気がします。それは、市町村教委の強化と、国による市町村教委と小・中学校の直接監督ではないでしょうか。


○小泉内閣では、教育委員会は廃止対象だった。
 規制緩和と地方分権を掲げた小泉内閣では、知事や市町村長から独立した行政委員会である教育委員会制度は、規制緩和の一環として廃止対象に上っていました。

 規制改革・民会開放推進会議は、教育委員会の設置義務を廃止して、教育委員会を置くかどうかは地方自治体の判断に委ねるよう求めています。

 これに対して、文部科学省は教育行政の中立性を保つために、首長部局から独立している教育委員会は必要だと主張して、教委設置義務の廃止に反対してきました。


○教委に対する流れが変わった安倍内閣。
 規制緩和の方針の基に、安倍内閣でも教委廃止論が継続するのかと思っていました。しかし、いじめ自殺事件、高校の履修不足・必修逃れの騒動で、学校の実態を把握していなかった教委の責任が問われたばかりか、その在り方も問題になりした。

 しかし、不思議なことに、議論は教委廃止ではなく、下の記事が指摘するように教委の監督権や監督能力の強化という方向に進んでいます。安倍内閣では、教委廃止論はなくなってといってよいでしょう。

 ◎教委の「なれ合い」、「教育長ほとんどが教員OB」(朝日新聞)

 ここでは、実質名誉職化している教育委員の任命の在り方の見直しなどによる教委の監督機能の強化が示唆されています。


○狙いは、義務教育からの都道府県の排除と国の直接監督か。
 高校の履修漏れ問題で、都道府県教委は責任追及を受け、守勢に回っています。

 ここで、注目されるのが安倍首相の教育改革のブレーンの一人であると言われる下村博文官房副長官の次のような発言です。
 ◎下村副長官、「義務教育で都道府県教委の関与は不要」
 ◎小中教員の採用「市町村教委に」--下村官房副長官

 このブログでも以前指摘しましたが、市町村教委は実質的に都道府県教委の「支配化」にあります。何か特別なことをやるにも都道府県に意向をうかがわないとできません。市町村独自に少人数学級をやろうとすると、市町村間の格差を招くという理由で都道府県が潰すという例は、過去には珍しくありませんでした。

 一方、文科省は規制緩和と地方分権の時代の義務教育のあり方として、国による全国学力テストと学校評価により義務教育の質」を国が保証する代わりに、市町村の裁量を大幅に拡大するという方向を模索しています。

 このため、義務教育の公立小・中学校教員の人事権を都道府県から市町村に下ろそうとしていますが、都道府県は猛烈に反対しています。

 で、、、、、いじめ自殺と高校の履修漏れという二つの事件から、教委の監督権の強化、教育委員会自体の構成の見直しなどが出てきたわけですが、従来どおり市町村教委を都道府県が監督する構造は、ある意味「教員出身者など関係者同士のもたれあい」となり、教育委員会は変わらないという論理が説得力を持ってくる。

 最終的には、市町村教委の権限を大幅に拡大した上で、全国学力テストと学校評価によって国が直接市町村教委や小・中学校を監督するシステムをつくる。そして、義務教育から都道府県教委の権限を排除していく、、、、、、これが、安倍首相、少なくとも下村官房副長官の構想する教育改革の着地点の一つではないでしょうか。


○蛇足
 現在のように都道府県が金や人を握り、市町村を支配下に置くというやり方がよいとは私は思っていません。では、国が都道府県教委を飛び越えて、市町村教委や小・中学校に介入できるシステムがよいかというと、、、これもなんだか懸念がある。結局、初中教育の教育行政の責任は、最終的にどこが負うのかという問題なんでしょうが。

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