日々雑感・安倍教育改革は成功する

 ただいま年末進行という出版界恒例の行事の中で、忙殺されています。教育基本法、教員給与の見直し、学校評価など書きたいことはあるのですが、時間がとれません。で、今回も雑談です。テーマは、安倍首相による教育改革は成功する、、、、です。

 教育再生会議については以前、その発足時に教員免許の更新制や教員給与の見直し、学校の第三者評価など、検討課題はすべて文部科学省が進めている既定路線ばかりだと指摘し、教育再生会議の存在を来年の地方統一選、参院選挙に向けた安倍首相のパフォーマンスだと述べました。

 でも、私は徐々に認識を変えつつつあります。

 安倍政権は、日本の教育を大きく変えるかもしれない。安倍首相の教育改革は成功するかもしれないと。

 成功というのは、誰にとっての成功なのかという問題がありますが。


○安倍首相の教育改革は、これまでの政権とは全く異質なものだ。
 中曽根首相の臨時教育審議会、森首相の教育改革国民会議、そして文科省の中央教育審議会と、さまざな教育改革が提言され、実行されてきました。その結果、日本の教育はよくなったか、、、、評価はさまざまでしょう。

 でも、これらの教育改革を取材したきた者として言えるのは、今回の安倍首相の教育改革は、これまでのものとは全く違うという感覚を覚えます。きっちりと論理的、データ的に説明するのは難しいのですが、その違いは、、、、

 安倍首相の教育改革は、現在の学校教育への不信感と教員に対する悪意で成り立っている、、、、、ということです。

 これまでの政権の教育改革も、いわゆる日教組との対立・批判ではなかったかといわれると、その通りです。しかし、安倍政権の教育改革は、そんなレベルではない。

 まるで、現在の学校教育のすべて、教員のすべてを信じておらず、嫌悪しているような感じがあります。

 たとえば、教員免許の更新制について、中教審と文科省は「問題教員の排除」という制度設計はしませんでした。第三者評価による学校評価導入も、基本的には評価とは評価対象をサポートし、向上させるためのものという姿勢をぎりぎりのところで維持しています。

 ところが、同じ課題を取り上げる安倍内閣は、教員免許更新制は問題教員排除のため、第三者評価による学校評価は駄目な学校を潰すためという立場を取っています。

 私は、学校と教員に対するこんな悪意に満ちた教育改革をかつて見たことがありません。


○だからこそ、安倍内閣の教育改革は社会の支持を受けるかもしれない。
 なぜ、安倍内閣の教育改革がこんな悪意に満ちたものなのか、その理由は私には分からない。しかし、だからこそこれまでの教育改革とは全く違い、社会の絶大な支持を得るかもしれない。

 高校の必修逃れ・履修漏れ騒動、いじめ自殺の続発に対する社会の学校・教員批判を見るまでもなく、今の社会は「悪意」に対して貪欲です。安全に振りかざせる「悪意」を求めているともいえます。

 問題教員を排除すめための教員免許の更新制、駄目な学校を潰すための学校監視、能力もないくせに高給取りで終身雇用の教員を叩く給与制度の見直し、、、、、、おそらくみんな支持されるでしょう。


○そして、安倍首相の教育改革は成功する。
 繰り返しになりますが、安倍首相の教育改革は、教育のことを全く考えていないことに大きな特徴があり、だからこそそれは具体化されやすいのです。

 教育制度、学校教育の実態について何ら関知せず、学校と教員に対する悪意と不信感だけで改革を推し進めようとする、、、、、だからこそその改革は成功するのです。誰にとっての成功かという問題は別にして。

 安倍首相がやろうとしている改革は、実は教育改革ではない。学校と教員に対する悪意と不信感を利用して、もっと大きなことをやろうとしているのではないか、、、、そんな妄想を抱いているこのごろです。 

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この記事へのコメント

教育の崩壊
2006年11月30日 23:07
規制緩和から国家管理へと、180度、方向転換すると思います。教育基本法の改正の次は、憲法改正だとはよくいわれますが、その中身は、
市場原理主義から、統制経済ではないでしょうか。
市場原理主義という無秩序がいいか。統制経済という独裁がいいか。
無秩序か独裁か、この二つしか選択肢がないという思想空間に追い込まれてしまったところに日本の病理があると思います。
カラ
2006年12月01日 00:22
いつもコメントいただきありがとうございます。行き着くところは改憲なのでしょうね。

ただ、規制緩和から統制へという流れは、少し違うと私は思っています。米国のネオコン層など新保守主義の人々を見ると、規制緩和による市場主義と保守的な愛国心は、必ずしも二律背反していません。
その意味で、安倍首相が掲げる「美しい国」が新保守主義とは別ものなのかどうかは、まだ検討する時間が必要だと思います。
sono
2006年12月01日 00:35
おっしゃるとおり今までの教育改革とは違いますね。前の教育改革もねらっていた所は同じだったのかもしれませんが今回ほど教職員組合を意識したものはないと思います。
 ただ、そうならこんなに回りくどくやらないでずばっとやってほしいものです。その点中川さんの意見の方が気持ちいいな。
 今回の改革で本当にやらなくてはいけないのは意識のパラダイムシフトです。今まで良いとされてきたことを検証することだと思います。
「お客様は神様です。学校はサービス業だから児童生徒はお客様お客様が満足するサービスをするように。とか」
「男らしさ、女らしさをいうのはおかしい。ジェンダーフリー。そんなことを言うからマタニティーブルーのお母さんが増えるんだ。現在法的にも子育てはお母さんがしている。だけど、家でも学校でも勉強が中心で家事を殆どやらない。でも、子育てはお母さんがやる。でも、やっていないのでできない耐えられないと言って、自分がおかしくなるか。子供を虐待するか。捨てるか。そうして子供は問題を起こすか親を殺す。」

などなどいっぱいあります。自主性、コミュニケーション、お友達、個性、・・・・
yo
2006年12月01日 00:37
今、29日付けの教育再生会議有識者一同発行の「いじめ問題への緊急提言」を違和感をもって読んでしました。

カラさんさすが、「悪意」とは言い得て妙です。
が、今のところ、私は今までの教育改革に対して否定的なチャンネルの人間なせいか、安倍首相のやろうとしていることも単なる何かの段階であるようにしか感じません。
自民党というのは何かのメタ意識をもっているかのような総合体のような気がしています。
いったい何を考えているのか・・・。

先の文書ですが、「美しい国」の名の下に、その「悪意」がにじんで見えます。
また、同会議の30日の公言から合わせて所感を言いますが(http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20061201k0000m010111000c.html)、いったい「不適格教員をどのように国が認定し、排除するか?」といった問題などは、どのような形で拡大している声なのかが気になります。
私は、教育の問題のみならず、民意の所在のうつろさが気になります。
七星 来人
2006年12月01日 21:08
私と同じように安部さんのことを考えている人がいることを嬉しく思います。何かから目をそらせるためのエスケープゴートとして教育を選んだように思っています。
それは、公立の教育予算を減らし、人件費を削り、愚民化政策(その方が大衆を操作しやすい)を進めるためではないかと思っています。
日本を安値でアメリカに売り飛ばした小泉さんも恐ろしい人でしたが、安部さんはそれ以上に恐ろしい人だとおもいます。
日本を一部の人のものにしてしまおうと思っているようですから。
Rudo
2006年12月01日 21:39
何代か前の首相から続くシステム改変の一部だと思いますよ。
自衛隊の緊急時の収容とか住基ネットとか。
気が付いた時には昔(何時でしょう?)に逆戻りしてるでしょう。
最近は「政治家に批判的なテレビ局のインタビューには答えない」と一種の言論封殺も有りますしね。
日本は何処に向かうのでしょう?
ken
2006年12月02日 14:55
 安倍総理、というよりも、その後ろにいるブレーン(下○?)が、教員や学校に対する悪意を持っているんじゃないですか?塾経営時代に何かあったのか・・・。
悪意の政治利用という手法
2007年04月01日 13:04
安倍政権の教育改革は仰るとおり、人々の悪意をより高揚させる形で
成就に向かってゆく可能性は高いように思われます。

人々の悪意を利用する政治手法、それは学校や職場でのいじめのスパイラルにも用いられますが(ちょっと前なら学生運動の内ゲバもそうだたのかも)
そこに巻き込まれた人々は
一時的にカタルシス的な快感を得ることがあっても
最終的な「幸せ」の実感を得ることはなく
一旦一つの標的を攻撃し尽くせば
別の標的に悪意を向け、時にこれまで「仲間」であった者同士への戦いという
不毛な行動へ人を走らせるものだと思います。

個人的に、安倍首相の「教育改革」は
防衛庁の省昇格や、閣僚の慰安婦発言などとセットになった
子供のための教育(情緒的な安定、知識の吸収、社会的コミュニケーションの向上、子供各人のパフォーマンス開発など)ではなく
「対外的に畏怖される国家作り」のための「人材養成」を目的にしているように思われてなりません。
それだけに、悪意を利用し、教育環境を変え
そこからどこに向かうのか、この点に大きな危惧を持ちながら
政権と社会の動向を見ている日々です。

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