全国学力テストの予備調査
今年4月から小学校6年生、中学校3年生を対象にした全国学力テストが文部科学省によって実施されます。これに対する社会の反応を見ると、過去の学テ騒動が全く嘘のようです。社会では学力テストの実施を肯定的に受け止める声が多いようですね。
全国学力テストへの批判、あるいは賛成意見は多く出されています。しかし、全国学力テストがどのようなものなのか、その具体的な中身については触れたものが少ないです。そんな中で注目されるのが、朝日新聞の教育面の記事です。
○全国学力調査、復活前に実施の予備調査 記述式指導、戸惑う教師(朝日新聞1月14日)
「今年4月、全国学力調査が約40年ぶりに復活する。文部科学省は、先駆けて実施した予備調査の問題の一部を昨年末に公表した。最大の特徴は、問題文を読み取って自ら文章にまとめ、記述式で答える問いが含まれていたことだ。現場の教師に戸惑いが広がる一方、研究者らは評価する」
内容は、文科省が全国学力テストの試行のために昨年12月に実施した予備調査の試験問題の分析です。記事によると、算数・数学でも記述式の問題が多く、これに対して学校現場の教員の間で、従来の指導では対応できないという戸惑いが広がっているという趣旨です。
予備調査の問題例は、文科省のサイトにも出てますので、関心のある方は見てください。
私は専門家ではないので、この問題例を見ても「思考力を問うものが多いな」という程度しか分かりません。その意味で、問題例を分析してその狙い、学校現場の反応などを取材した朝日の教育面の記事は、大変参考になりました。
○やはり文科省の狙いは「生きる力」路線の継続のようだ。
朝日の記事にも指摘されていますが、専門家の分析などを見ると、文科省が全国学力テストで測ろうとしているのは、社会一般にイメージされている「学力」ではなく、現行学習指導要領が掲げている「生きる力」としての学力のようです。
この予備調査で問題作成のモデルとなったのは、記事も指摘しているように経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA)であることは確実です。一昨年の暮れにPISA2003の結果が公表され、文科省が公式に日本の子どもの学力低下を認めたことがニュースになった、と言えば思い出す方もいると思います。
しかし、専門家の間では周知の事実なのですが、PISAというのは単なる習得型学力の調査ではないのです。実は、習得した知識・技術を実生活でどう役立てるかというところに力点がおかれており、これを「PISA型学力」と呼ぶ専門家もいます。
早い話が、現行学習指導要領の「生きる力」の理念とほぼ同じなのです。
このことからも文科省が「ゆとり教育」から「学力向上」に転換したというのは、やや単純な見方ではないかと思います。
全国学力テストについては、賛否両方がいろいろな意見を述べていますが、理論の空中戦になりがちなテーマを、実際の問題例を取り上げて内容を分析するという方法で取り上げた朝日の記事は、マスコミの姿勢として評価できます。
○教育雑誌関係は、これから特集が組まれる。
で、教育雑誌の方はどうなっているのかというと、たぶん来月発売の3月号以降で予備調査の内容が特集されるのではないでしょうか。
業界裏話になりますが、教育雑誌も全国学力テストの特集をしたがっているところが多かったのです。しかし、肝心の文科省の担当者たちが昨年12月の予備調査が終わるまでは原稿が書けないと断っていたので、企画が進められなかったという事情がありました。
予備調査も終わり、年末年始にかけて文科省関係者による原稿執筆も進んだでしょうから、3月号ごろにはそれが載るのではないかと思われます。
○やっとサイドバーのリンクの貼り方を覚えました(汗。当ブログにリンクを貼っていただいている方はアドレスをお知らせください。こちらも表示させいていただきます。
全国学力テストへの批判、あるいは賛成意見は多く出されています。しかし、全国学力テストがどのようなものなのか、その具体的な中身については触れたものが少ないです。そんな中で注目されるのが、朝日新聞の教育面の記事です。
○全国学力調査、復活前に実施の予備調査 記述式指導、戸惑う教師(朝日新聞1月14日)
「今年4月、全国学力調査が約40年ぶりに復活する。文部科学省は、先駆けて実施した予備調査の問題の一部を昨年末に公表した。最大の特徴は、問題文を読み取って自ら文章にまとめ、記述式で答える問いが含まれていたことだ。現場の教師に戸惑いが広がる一方、研究者らは評価する」
内容は、文科省が全国学力テストの試行のために昨年12月に実施した予備調査の試験問題の分析です。記事によると、算数・数学でも記述式の問題が多く、これに対して学校現場の教員の間で、従来の指導では対応できないという戸惑いが広がっているという趣旨です。
予備調査の問題例は、文科省のサイトにも出てますので、関心のある方は見てください。
私は専門家ではないので、この問題例を見ても「思考力を問うものが多いな」という程度しか分かりません。その意味で、問題例を分析してその狙い、学校現場の反応などを取材した朝日の教育面の記事は、大変参考になりました。
○やはり文科省の狙いは「生きる力」路線の継続のようだ。
朝日の記事にも指摘されていますが、専門家の分析などを見ると、文科省が全国学力テストで測ろうとしているのは、社会一般にイメージされている「学力」ではなく、現行学習指導要領が掲げている「生きる力」としての学力のようです。
この予備調査で問題作成のモデルとなったのは、記事も指摘しているように経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA)であることは確実です。一昨年の暮れにPISA2003の結果が公表され、文科省が公式に日本の子どもの学力低下を認めたことがニュースになった、と言えば思い出す方もいると思います。
しかし、専門家の間では周知の事実なのですが、PISAというのは単なる習得型学力の調査ではないのです。実は、習得した知識・技術を実生活でどう役立てるかというところに力点がおかれており、これを「PISA型学力」と呼ぶ専門家もいます。
早い話が、現行学習指導要領の「生きる力」の理念とほぼ同じなのです。
このことからも文科省が「ゆとり教育」から「学力向上」に転換したというのは、やや単純な見方ではないかと思います。
全国学力テストについては、賛否両方がいろいろな意見を述べていますが、理論の空中戦になりがちなテーマを、実際の問題例を取り上げて内容を分析するという方法で取り上げた朝日の記事は、マスコミの姿勢として評価できます。
○教育雑誌関係は、これから特集が組まれる。
で、教育雑誌の方はどうなっているのかというと、たぶん来月発売の3月号以降で予備調査の内容が特集されるのではないでしょうか。
業界裏話になりますが、教育雑誌も全国学力テストの特集をしたがっているところが多かったのです。しかし、肝心の文科省の担当者たちが昨年12月の予備調査が終わるまでは原稿が書けないと断っていたので、企画が進められなかったという事情がありました。
予備調査も終わり、年末年始にかけて文科省関係者による原稿執筆も進んだでしょうから、3月号ごろにはそれが載るのではないかと思われます。
○やっとサイドバーのリンクの貼り方を覚えました(汗。当ブログにリンクを貼っていただいている方はアドレスをお知らせください。こちらも表示させいていただきます。
この記事へのコメント
http://penguin-mo.mo-blog.jp/penpen/
です。
予備調査の問題については,中学数学教師からみた意見を以前にブログに書かせていただきました。
朝日の記事を読むと学校関係者は戸惑い,研究者には好評という感じのようですが,私自身はちょっと今回の予備調査問題には失望しました。もっと考えを聞いたりする問題が出ると思っていましたので。
相互リンクをしていただけるようでしたら,ぜひお願いいたします。
http://blog.livedoor.jp/yamaessay/
やまさん、コメントありがとうございます。こちらからもリンクを表示しました。