専門学校と大学は同格に

 今回は高等教育ネタです。あまり、皆さんの関心を呼びそうにもないですが、どうしても触れておきたい。ニュースには、必ず報道する側の価値観が入ってきます。ニュースを読むときには、そんな裏を押さえておかないと振り回されることになりす。でも、どんなに価値観が混入されていても報道されるだけましです。問題は、報道されなかったニュースです。

 ニュースとして流された記事をを探して、かろうじて一つ見つけたのですがリンクがありませんでした。
○大学院入学資格も付与
「文部科学省は9日、4年制専修学校卒業者に対する大学院入学資格を付与するよう学校教育法施行規則を一部改正し、施行した」(日本教育新聞9月19日)

 明らかなベタ記事です。書いた記者も載せたデスクも意味がわかっていないのでしょう。文科省は9日、学校教育法施行規則を改正し、4年制課程の専門学校卒業者に「高度専門士」という称号を与え、大学院入学資格を認める、この制度は即日実施すると官報に告示しました。これがどんなことを意味するのか分かりますか。これは大学と専門学校の違いは修業年限だけで、修業年限が同じなら同格だと宣言したのです。日本の高等教育の方針の大転換です。しかし、このニュースはほとんどどこにも取り上げられていない。

 まず、専修学校という言葉から理解しにくいですね。一般的には、修業年限2年以上の専修学校専門課程のことを「専門学校」と呼び、これは高等教育機関として位置付けられています。修業年限2年未満1年以上は専修学校一般課程といいますが高等教育機関には入りません。このほか、授業時間数など制限が非常に緩い各種学校がありますが、専修学校とは別のものです。予備校、自動車免許学校などは各種学校です。

 日本の高等教育機関は、大きく分けると大学、短大、専門学校の3つになります。このうち大学院入学資格があるのは、大学だけでした。もっとも大学院は従来から入学資格にはあまりうるさくないところで、研究成果や能力があれば個別審査によって大学卒業者以外の者の入学も認めてきました。しかし、卒業と大学院入学資格がセットになっているのは大学のみで、ほかの高等教育機関とはあきらかに別の存在でした。

 就業年限が大学と同じく4年制あれば、専門学校卒業者にも大学院入学資格を制度的に認めようという今回の措置は、従来の高等教育の枠組みを大きく変更するものです。個別審査で入学させるのとは訳が違います。逆に言えば、大学とは何なのかということが、改めて問われるということです。私は、専門学校に大学入学資格を与えることがけしからんと言っているのではありません。日本の高等教育の枠組みの変更、おそらく戦後最大の変更が、一般市民に知られることもなく、官報告示だけで行われたというところに問題があると思うのです。まあ、制度改正に当たっては、中央教育審議会が答申を出しましたが、これもほとんど報道されませんでした。

 現在、4年制専門学校の学生は約4万人で、理工系や情報系が大半です。この人たちに大学院入学資格を与えても、高騰教育の大勢に影響はほとんどないでしょう。ですが、今回の制度改正を受けて、専門学校の中には早くも4年制課程の開設、独自の大学院の設置に向け準備を始めたところが出てきました。会計や経営などもともと専門学校が強かった分野では、これから4年制課程の卒業者を自前の専門職大学院に入学させ、MBA資格を取ることができると宣伝する専門学校が出てくることは間違いないでしょう。(注・既にできています)。

 はっきり言って、専門学校の一部は、へたな大学よりもレベルが高く、財政力もあります。就職率も大学など目ではないというところも多いです。大学全入時代を迎え、全体の3割が定員割れで悩む大学は、大学と同格であると認められた4年制専門学校という新たな競争相手とも戦わなければいけなくなりました。まあ、サービスの受け手からみれば、それだけ選択肢が増えたということではありますが。高校関係者やこれから高等教育機関に進学する子どもを持つ保護者は、4年制専門学校は制度的には大学と同格だということを知っておいた方がよいでしょう。


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