非正規雇用の温床は実は教育界ではないか

再開宣言後もまたまた放置。ゆるよるとやっていくつもりなので、あまり期待しないでお付き合いください。

で、今回のニュースは教育をめぐる重要なニュース、、、、などに背を向けて、これです。

小学校非常勤講師万引き  中区のコンビニ「生活費苦しく」  容疑で逮捕(広島)
 コンビニエンスストアでたばこを万引きしたとして、広島中央署は16日、広島市南区翠、同市立小非常勤講師片山貴文容疑者(26)を窃盗容疑で現行犯逮捕した。片山容疑者は「給料が減り、生活費が苦しくなった」などと容疑を認めている。
 同署の発表によると、片山容疑者は16日午後6時30分頃、中区国泰寺町のコンビニで、店頭に並んでいたたばこ1箱(300円)を盗んだ疑い。同店から出た片山容疑者を、男性店長(24)が追いかけ、通行人の男性(28)が加勢して捕まえた。
 市教委によると、片山容疑者は昨年5月に臨時教諭として採用され、市立本川小で勤務。今年4月からは五日市観音西小と五月が丘小で非常勤講師として週10時限を教えていた。同様のケースの場合、臨時教諭の月給(初任給約20万円)と比べ半減するという。
 市教委の濱本康男教育長は「善悪の判断を教える教師として許されず、誠に遺憾」とコメントした。
(2009年6月18日 読売新聞)


 
 別に容疑者を弁護するつもりも同情するつもりもありません。犯罪は犯罪です。

 しかし、学校関係者も含めて、非常勤講師の収入はいくらか考えたことがある方は、どれほどいるでしょうか。非常勤講師は時間給です。教材研究にどれほど時間を使おうと、実際に教えた授業時間数分しか収入にはなりません。授業以外で子供たちと接しても仕事とはみなされません。

 さらに、都道府県によって扱いは異なるのですが、雇用保険や健康保険といった社会保障などの面でも非常に不安定で不利な状況におかれています。

 そして、最大の問題は、

 現在の公教育が時間給の非常勤講師を抜きにして成り立たないことです。


 かつて非常勤講師は、ほとんどが高校で採用されていました。しかし、国の行財政改革の一環として義務教育の教員定数にも非常勤講師を充てることができるようになり、小・中学校の非常勤講師が急増しました。つまり、正規教員を雇うことにしか使えなかった国の負担金で、非常勤講師を雇うことができるようになったのです。これを業界用語で「定数内非常勤」と言います。

 本来は、弾力的な教員人事を行うための規制緩和でしたが、都道府県の財政難からどんどん正規教員が非常勤講師に置き換わる傾向が出てきました。

 そして、気がつけば、非常勤講師なしでは公立小・中学校が成り立たないという状況になっているのです。

 現在、100年に1度といわれる不況な中で、非正規雇用者の増加とその環境の劣悪さが大きな社会問題となっています。製造業の現場での「派遣切り」「雇い止め」のほか、正社員に比べてはるかに劣る待遇などが社会的批判を浴びているのですが、、、、

 冷静に振り返ってみると、教育界こそ実は「非正規雇用者」を劣悪な環境のまま、使い捨てにしているのではないでしょうか。この問題については非常勤講師や臨時採用教員などのごく少数のグループから昔から問題にしていますが、一般社会ではあまり知られていません。

 なぜ、これまで大きな問題にならなかったのかというと、非常勤講師のほとんどが「教員志望者」か「退職教員」だからです。とくに、前者は世間並みの給与水準を得られなくても、将来の正規採用への望みがあるため、多少の不満があっても我慢してしまい、待遇の改善を訴えることがありません。しかし、正規採用されればよいですが、結局、正規採用への道が開かれないまま教壇を去っていく非常勤講師も少なくないのです。

 人件費く雇用調整もできるという財政的理由、さらには「徒弟制度」的な意味合いで、非常勤講師の活用を肯定する向きも教育界にはあります。しかし、これだけ非正規雇用の増加の弊害、その就労環境の劣悪さが社会問題となりつつある時に、教育界が非常勤講師への依存体質を強めたまま、待遇改善を放置しておいてよいのでしょうか。私は非常に疑問を感じます。

 また、保護者や社会一般の立場からすれば、非常勤講師の増加は教育の質の低下にもつながりかねない問題です。

 社会格差の増大、非正規雇用の増加は、子供と保護者の家庭不安という形で学校現場が大きな影を落としていますが、それと同時に教育界自体が、そのような体質を持っているということを教育関係者は自覚すべきだと私は思います。

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