斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 現在の教員にも免許更新制?

<<   作成日時 : 2005/11/18 22:41   >>

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 教員免許の更新制で、現在教員になっているものにも更新制を適用すべきだという意見が根強いようです。中教審でも現実問題として難しいという声が多いようですが、まだまだ曲折がありそうですね。ということで、今回取り上げるニュースはこれです。
教員免許更新制 現職に「検討必要」
 「文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の部会は16日、今後の教員養成や免許制度に関する中間報告をまとめた。 教員免許更新制を現職教員に適用するかどうかについて、「さらに検討が必要」と含みを持たせた点が特徴で、大学の教職課程に新たな必修科目「教職実践演習」(仮称)を設けることも盛り込んだ。部会は中間報告への国民の意見を募り、年明けにも答申をまとめる方針。(読売新聞11月17日)

 年末年始に印刷工場が休みになるため、出版業界ではもう「年末進行」という作業日程繰上げの地獄のシーズンに突入しています。そんなとでちょっと忙しく更新できませんでした。さて、教員免許の更新制では、制度の法制化以前に教員免許を取得している人間には、更新制は適用しないということでまとまりかけていました。ところが、現職の教員などにも適用すべきだという声が一部で根強くあり、既に教員免許を持っている人間を対象にするかしないかで、中教審の教員養成部会はまとまらずに中間報告では結論が先送りになったというのがこのニュースです。

もし、現在教員免許を持っている人間も更新制の対象となれば、現職の教員だけでなく、教員免許を持っているすべての人間が免許の更新をしなければならないことになります。

 中教審の教員養成部会でも、既に免許を持っている人間は更新制の対象としないという方向で議論されてまきしたが、中間報告をまとめるときになって、現職教員を対象にしないということは「国民の理解を得られない」として現在教員免許を持っている人間も更新制の対象にすべきだという委員が巻き返しを図っているようです。

 この背景には、当然、教員免許更新制で問題教員や不適格教員を排除すべきだという教員不信があります。

 法律には「罪刑法定主義」という原則があり、罰則がある法律の効力は法制定以前にさかのぼることはできないことになっています。同様に、何らかの不利益が生まれることになる法律は、なるべく法律施行以前にまでさかのぼって適用しないことが通例です。この原則から言えば、教員免許の更新制は法律施行後に教員免許を取得した人間が対象となり、現在既に教員免許を持っている人間に適用されるべきではありません。

法理論的な問題点があるほか、現実的に難しい面が多いからです。問題点としては次のようなことが挙げられます。
@更新のために年間20〜30時間の講習を受けることになっているが、膨大なペーパーティーチャーに講習を受けさせることは難しい。

A仮に実施したとしても例えば海外在住者などに更新制の周知をどう図るのか。また、だれがどこで講習会を実施するのか。(現職教員は教委がやることになりますが、ペーパーティーチャーの場合は大学しかないでしょう。しかも母校となるでしょうが、大学が過去数10年にわたる教職課程履修者を把握しているかどうか疑問です)

B社会人は年間20〜30時間の講習を受けるのは事実上困難。実質的に大量の免許失効者が生まれ、社会問題になりかねない。

Cこれからの高齢化社会では企業を退職後に非常勤講師など教育関係の職に就く人間が増えることが予想されるほか、規制緩和で社会人の教員登用を進めているのに、社会人の教員免許を失効されるようなことは社会の流れに反する。

 一部には現職の教員のみを対象にして、へーパーティーチャーは対象外にすればよいという意見もあるようですが、これはもう「問題教員対策」であり、免許制度としての更新制の話ではありません。

 実際、ある中教審委員はこう述べています。
「問題教員対策には既に他の職種への配転制度がある。更新制は免許制度の問題であり、教員免許を持っている人間を現職教員とペーパーティーチャーとに分けて考えることはできないのではないか」

 どうやら、中間報告での方針見送りは、現職教員への適用を迫る一部の委員の顔を立てるためで、現在教員免許を持っている者は更新制の対象にしないというのが最終的な結論になると思われます。とはいえ、勘違いしている人が世の中にはおおいからなぁ、、、、ペーパーティーチャーの不必要な免許を失効させることで、より免許に対する社会的信頼が高まるという声もあるし。


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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
お疲れ様です。年末進行でご迷惑をおかけしています。
僕も更新しなければならないのかな…(^^;) クビにされたときの切り札なのに〜。
ところで教えて頂きたいんですが、この「作業部会」とはどういう機関なんでしょうか? それと、「素案がまとまった」というニュースもありますが、まだ公表されていないんでしょうか?

基本的なことですいませんが教えてもらえたら嬉しいです。
go
2005/11/18 22:57
年末進行ごくろうさまです。お互いに泣けますね。
ところで、「作業部会」とは教員養成部会の教員免許制度ワーキンググループのことでしょうか。中教審総会−初中教育分科会−教員養成部会−免許制度ワーキンググループという構成になります。
今回のニュースは教員養成部会の中間報告がまとまったということでしょう。いずれ文科省のパブリックコメント募集のページに載ると思います。
ところで、ペーパー教員の場合は、失効しても講習を受ければすぐ免許が復活するはずですから大丈夫ですよ。年間30時間の講習を受けるだけです、、、はは。
ちなみに、私は免許は持っていません。
カラ
2005/11/18 23:29
コメントとトラックバックありがとうございます。
 教員免許の更新制については下調べなどをして新たにエントリーを立てたいと考えています。この問題に関しては、現実的に無理が多いのに、そこにはほとんど言及しないまま報道などがされている。それによって、問題教師が排除できるようになるかもしれないといった期待感だけが高まっていく。それが後に失望に変わった時にどうなるのだろうかと思います。
kaikai
2005/11/18 23:57
kaikaiさん、コメントありがとうございます。中教審の資料を読むと、更新制による講習は時代の変化に合わせた知識のリニューアルだとされ、問題教員排除の視点はありませんね。更新制の発端が前文相の思いつきで、そのままマスコミが受けを狙ってミスリードを続けているとしか思えません。
カラ
2005/11/19 00:25
 確かに中教審の資料では問題教師排除の視点はありません。しかし、それを建前と考え、本音は問題教師の排除が目的だと受け止められている部分があると考えています。現職教員を含めないことへの批判の背景の一つに、本音の部分に対する期待感があるからだと私は考えています。
kaikai
2005/11/19 00:39
免許更新制がそんなに問題だとは思えないんですけど。車の免許更新程度にすればだれでも行けるでしょうし(毎年する必要もないような気がしますし)。一度取ってしまえば何をしても大丈夫、というのはよくないと思います。
あと、それとは別に、問題教師については厳しく対処すべきかと。
ゆう
2005/11/19 01:47
こんにちは、ドッチビーという競技教えていただきありがとうございます。最近忙しく自分の更新で手一杯でなかなかブログ散歩が出来ませんでした。現場では免許の更新の話は出ませんね〜。ただ、問題教師は本当に各校1人くらいずつ?いると思います。いろいろな意味の方で。その前の記事で評価についてありましたね。私は以前子供たちや保護者に年度末に通信簿をつけていただいておりました。いろいろ書いていただけるんですが、ほとんどがお礼状みたいになってしまったので、最近は、やらなくなってしまいました。学校から情報を発信する量は学校によって異なるでしょうね。私のいるところは学校選択制度を導入しているところなので、宣伝をしっかりしないと生徒数が減ってしまうので大変なのです。でも、そうでないところ、また、小規模でそれどころではないところなどは、情報を発信しろと言われても大変でしょう。どちらにしても、とてもよいブログだと思います。私は違う切り口で学校現場を表現してまいりますがカラさんも頑張ってください。応援してください。
天下無敵の問題教師
2005/11/19 08:49
最後の分章に訂正があります。応援してください、ではなく「応援しています。」の間違いです。ごめんなさい。
天下無敵の問題教師
2005/11/19 08:51
ここで述べるのもどうかと考えたのですが、
>更新制による講習は時代の変化に合わせた知識のリニューアル
であれば、そういった研修が成立していない(とみているのだろう)方の問題で、免許の更新の必要不必要の議論ではないような気がします。(ここの文の尻をとりあげてすいません)
>一度取ってしまえば何をしても大丈夫
なんて現職教師は基本的にありえません。
車の運転並といわれて更新が必要なのはペーパーティーチャーの方で、現職に必要なのは適切な研修・研究の適切な機会・時間などの保障でしょう。
初任者研修から5、6年次までの研修漬け方針や10年次研修の精神的、肉体的負担などを、いかに軽減してやるかの方がよほど実際的だと思います。
私は、やはり中教審などのメンバーの恣意性を疑いたいし、マスコミの一方的主張な部分を不満に思います。
「免許の更新?ハァ?中教審も目まぐるしく変わる社会事情に合わせて、月更新の免許制にしたら?」ってカンジです。
yo
2005/11/21 02:16
ゆうさん、yoさん、コメントありがとうございます。疑問はもっともだと思います。ほとんど現職教員には意味がありません。
結論を言えば、文科省は巧妙に論点をすり替えを行い、問題教員対策以上に難しい大学の教職課程への監督強化とへパーパー教員の削減をしようとしているのだと思います。これについては新しいエントリーを書きました。
カラ
2005/11/21 03:33
天下無敵の問題教員さん、コメントありがとうございます。ドッチビーはなかなか面白いらしいですよ。
カラ
2005/11/21 03:34

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