斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 新学習指導要領はこうなる

<<   作成日時 : 2006/03/06 16:39   >>

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だんだん暖かくなってきました。春眠なんとか。先日、文科省主催のシンポジウムでいびきをかきながら居眠りしてしまい、たいそうなひんしゅくをかってしまいました。教育雑誌の編集者も多数いたのにこの失敗、、、、、ライター生命の危機を感じている今日です。

今回は中教審審議経過報告を基に、新学習指導要領の予想を一つ。ただし、はずれても責任は持てません(汗。

◎新学習指導要領の告示はいつか。
●「早ければ2006年度中、2007年度にずれこむ場合もある」というのが、文科省担当者のコメントです。おそらく来年3月から12月の間でしょう。高校はさらに半年程度遅れるかもしれません。

◎新学習指導要領の実施はいつか。
●教科書作成・検定のスケジュール次第ですが、たぶん小学校が2010年度、中学校が2011年度に全面実施、高校は2012年度から学年進行で実施という可能性が高いです。

◎新学習指導要領の最大の特徴は。
●文科省は学力低下論争の際に、学習指導要領がミニマムスタンダード(最低基準)であることを明確化しました。今度の学習指導要領は、戦後の一時期を除けば、初めてミニマムスタンダードであることを明確化した構造で学習指導要領が示されることになります。これ以上は教えてはならないという、いわゆる『歯止め規定』がなくなり、それに関連して教科書も大きく変わることになると思います。
 新学習指導要領の教科書は、各社が発展的内容や補充的内容を独自に競うことになり、熾烈な採択争いが展開されることは確実だと思います。
 また、審議経過報告は学習指導要領の説明で図表を使うことも提言しています。学習指導要領もビジュアル化というところでしょうか。

◎小学校の英語教育はどうなるのか。
●導入されることは確実ですが、どういう形になるかは今月末に予定されている中教審外国語教育専門部会の報告書で決定することになっています。考え方としては、コミュニケーションスキルとしての英語を教えるのか、国際理解教育の一環として英語を教えるのか、という二つに分かれています。専門部会の報告書は、たぶんこの折衷になるかと。

●では、教科になるの総合的学習でやるのか。中教審審議経過報告は、小学校に英語を導入するに当たり、学習指導要領で最低限の指導基準を示すことを打ち出しています。ということは、総合的な学習の時間では難しいでしょう。

●一方、教科にすると、教科書をどうするのかという問題が出てきます。文科省は、新学習指導要領の実施を急いでいるようですが、これからまったく全く新しい小学校英語の教科書を作成するとなると、そう簡単ではないでしょう。とすれば、考えられるのは次の二つだと思います。

●一つは、教科として英語を導入する場合、小学校の英語は1年生から導入する可能性は低いと思うので、例えば3年生から導入と仮定すると、英語だけは全学年一斉の全面実施から除外し、学年進行とすること。そうすれば、教科書作成までの時間が稼げます。この場合、3年生からの導入なら、実質的に2012年度の3年生から始まるわけです。
 もう一つの考え方は、道徳、特別活動と同様に、教科ではなく「領域」とするという考え方です。これならば、教科書の問題はクリアでき、副読本で対応できます。おそらく、文科省が副読本のガイドラインを作成するはずです。
 小学校の英語は、導入してもたぶん週1時間程度でしょう。それ以上は難しい。となると、私は「領域」としての設定が一番可能性が高いのではと予想します。さて、今月末の中教審専門部会の報告がどうなるか、、、、

◎授業時間数はどうなるかの。
●個人的には、これが新学習指導要領の最大の目玉というか、難関ではと思っています。中教審審議経過報告は、完全学校週5日制は堅持、総合的学習も存続。その一方で、国語、算数・数学、理科、英語の授業時間数増を実質的に提言しています。これで、どうやって授業時間数を割り振るのか。簡単に考えれば、総合を減らして、国語などに回すということでしょうが、なんかそんな単純ではなさそうです。

●というのも審議経過報告は、年間総授業時数というもっとも基本のところで、妙に歯切れが悪い。授業時間数の弾力化、教科ごとの時間数を明示しない意見もあると書かれています。じゃ、どうするのか。ポイントは「教育課程編成の現場主義」という審議経過報告の中の言葉だと思います。

●ずはり言うと、最低授業時数という考え方に近い標準授業時数だけを示し、それにどれだけ上乗せするかは、市町村教委や各学校に丸投げするということになる、、、と思います。
 というのも、審議報告は教育課程外の活動(朝の読書、計算ドリルなど)を授業時数にカウントするができるように弾力化するほか、PTA主催の土曜日補習や長期休業中のサマースクールなででの発展的学習、補充的学習を評価の対象に加えることを示唆しています。
 学習指導要領の内容がミニマムスタンダードであるとするならば、それに発展と教授内容、補充的内容を加えた授業時間数をどう設定するのかは、その捻出方法も併せて学校現場に任せる。これが「教育課程編成の現場主義」ではないでしょうか。
 悪く言えば、学習指導要領で足りないと思うならば、そう思った本人たちが自分たちの責任で勝手に授業時数を確保しろということですね。

●また、小学校低学年の授業時間数は確実に増加されると思います。審議経過報告は幼稚園と小学校の連携や関連付けを強調していますが、これは裏を返せば、既に幼稚園では「預かり保育」という形で午後まで指導しているのが一般的な状況を指していると思います。

◎指導方法はどう変わるのか。
●審議経過報告は、小学校高学年での教科担任制導入を打ち出しています。おそらく、これは決まりでしょう。この関係で、小学校と中学校間の教員人事異動が増加するのではないでしょうか。

◎中学校の選択教科はどうなる。
●おそらく、なくなるか大幅に削減されると思います。現実問題として、既に形がい化していますから、授業時間数確保という観点から見ても確実でしょう。

◎新学習指導要領になって、公立学校は変化するのか。
●大きく変化します。というよりも文科省は、これが狙いです。審議経過報告は、義務教育の質の確保は国の責任で行うと明言しています。この柱となるのが、中学校3年生と小学校6年年生で実施される全国学力テスト、それに学校評価です。

●文科省は現在、学校評価のガイドラインを作成していますが、おそらく新学習指導要領では学校評価の実施と公開が法律で義務付けられるでしょう。新学習指導要領では、各教科ごとの到達目標が示されることになっています。これは、審議経過報告によると、A4版1枚で自分の考え方を書けるなどという程度のものになりそうですが、ともかく学習指導要領で例示されることは確かです。
 一般的には、学力向上で発展的指導などに目が向きがちですが、学校評価とその公開、全国学力テストの実施(学校ごとの成績公開は避けられないでしょう)などを考えれば、子供全員に基礎・基本の定着させることが案外、学校現場の一番の課題になるのではないでしょうか。

◎学校現場で課題になることは。
●文科省は、新学習指導要領のキーワードとして「言葉」(数学的概念を含む)と「体験」を挙げています。教科などの知識・技能といった「習得型学習」の成果を、体験活動(実験、討論、校外活動)などを通して活用することで、自ら考える力を育成する「探究的的学習」に高めるということです。要するに「知識・技能」→「体験活動」→「生きる力」という流れです。
 ただでさえ授業時間数が窮屈な中で、体験的活動の充実が求められるわけで、この対応も学校現場の課題となるでしょう。

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内 容 ニックネーム/日時
愕然とする一方、そんなことは薄々分かっていたと捉えている変に冷静な自分が同居しています。
現場発信型のオルタナティブは望み薄ですが、適当にやっていくしかないのかなというのが今の私の構えになりつつあります。
まともに受け止めると、転職して逃げ出したくなります。

しかし、よくまとまった記事です。プロですねぇ。読みやすいです。こういったブログは頭が下がります。

小学校では、低中高と、それぞれの機能が違ってきそうですね。6・3制で考える必要もないのでしょうが・・・。
英語は、勝手な触感、つまりアホ話ですが、私の周囲ではコミュニケーションスキルの方向性が強いように感じています。教科で、3年生あたりから来るのでは?と思っているのですが・・・。やはり「領域」となると、総合との絡みになるような気がするのですが・・・。ダークホースは小中連携で、高学年のみから導入とか・・・。(それはないですか・・・ELTがいますものねぇ。)
アホ話が過ぎたようです。失礼しました。
yo
2006/03/09 00:59
 ごぶさたしてます。yoさんがブログ更新をやめたのを残念に思っています。という私もしばらく放置状態でしたが。

 昨年の衆院選挙以来、どうも世の中の変化についていけなくなり、無力感が募っていたのですが、義務教育費国庫負担の政治決着で、ブログを書くのが馬鹿らしくなりました。

 でも、たぶんまた何か書きたくなりますよ。私もそうでしたから。書きたければ書く、書きたくなければ書かない。ランキングなど気にしない。それでも長く誠実に発言していけば、読んでくれる人はいるはずです。

 で、小学校の英語、、、どうなるでしょうねぇ。「領域」と予想したのですが、また自信がぐらついてます。いずれにしても、これから大変ですね。私は小学校への英語教育導入反対派なのですが。
カラ
2006/03/09 01:38
実は、ミルクやりで起きてまして、眠すぎです。(^^;
即応と激励に感謝です。期待に応えたいです。
細かい見通しが単なる予想でしかないので、最後の一文にだけ反応したいです。
私も現状を見回す限り、英語教育導入は反対です。
政治決着でしかない英語教育に期待する人は、単なる盲信か、良心的な誤解だと思います。
小中の連携もなしに、系統性、継続性のある英語教育はできないですし、ましてや打ち合わせの時間と内容が確保されていないELTの導入などは、パソコンと同じ導入のされかただと感じています。
最近では、私は気の長い冗談につき合うのだ、他の時間と場で子ども達を育めればよしだ、と考えて、現実に目をふさぎがちでいます。(よくないけれど)
yo
2006/03/09 01:50

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