斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 小学校英語のいいかげんさ

<<   作成日時 : 2006/04/09 22:26   >>

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新学期でいろいろと学校は忙しいことでしょう。今日は小学校の英語教育について。まあ、詳しい話はもう既にご存知でしょうから、ちょっとその周辺部分を取り上げます。

中教審外国語教育専門部会が小学校英語教育の必修化で報告
 正式の報告書がみつからなかったので、3月27日の外国語部会の資料にリンクしていますが、中身はたいして正式版と変わりません。いろいろと書いてありますが、気の短い人は21ページから読んでください。
 で、わかりますか。なんとも抽象的で歯切れの悪い審議会文書の典型ですが、これがマスコミの報道になると「小学校5年生から週1時間で英語必修」と翻訳されるわけです。

 というわけで今日の本論。

●小学校の英語は「領域」になる。
 小学校の英語教育は、外国語部会からその親部会である教育課程部会にいったん審議が映ります。その教育課程部会の31日の審議では、必修化された小学校英語をどのような位置付けてするかという問題で、国が最低基準を決める必要がある必修英語を総合的な学習の時間に実施すれば、総合学習の内容は各学校が独自に決めるという総合学習の大原則に反するという意見がいくつか出たようです。
 正論でしょうね。おそらく、この建前に反論できる人はいないでしょう。ということで、小学校高学年の必修英語は道徳や特別活動と同じく、教科書はないが教育内容は学習指導要領で決めるという「領域」となる、、、、というのが私の結論です。

●中学校以降の英語教育に対する影響への認識が甘すぎる。
 外国語部会の報告の中でも中学校以降の英語教育の在り方が指摘されていますが、どうも中教審委員は認識が甘すぎるように気がします。少なくとも、井戸端会議ではないので、もっと中学校と高校の学習指導要領や教科書、指導体制に対する影響と、とるべき対応をきちんと説明すべきでしょう。

 小学校の英語必修化は、小学校教員だけの問題ではありません。小学校で誰でも英語をやってきたという前提で、中学校と高校の英語教育を再編成しなければなりません。さらに、直接的に中学校の英語教育の大幅な見直しは避けられないでしょう。

 中教審と今年度中に学習指導要領見直しの答申を出す予定ですが、他の教科に比べて英語は小学校への導入の結論が出なかったため審議が遅れています。それをいまから小学校の英語必修化、さらに中学校と高校の英語教育の再編を議論するわけです。他の教科のスピードに追いつくのさえ大変なのに、それで中学校の英語教科書をつくらせるのですから、教科書会社もたまったものではないでしょう。

 小学校での英語教育の指導体制をどうつくるかは大事な話ですが、それが中学校になってどう発展していくのか。中学校の英語教育の見直し、さらに中学校英語教員への趣旨徹底をしないと、中学校現場では従来どおりの指導が行われる可能性がある、、、いや、実際にはその可能性の方が高いでしょう。

 そして、高校でも同じことになったら、、、、小学校の英語必修化って何の意味があったの、ということになりかねません。

●マスコミの論調をまず疑うこと。
 じつは、今日はこれが一番言いたかったことです。中教審外国語部会の報告書の報道自体は、考えていたよりも各紙ともあまり大きくなかったような気がします。そして、気になったのが、どうも扱い方が客観的かつ冷静すぎるということでした。

 案の定、その後に出た各新聞の社説を見ると、いずれも小学校英語の必修化に慎重論を唱えています。リンクが切れてしまっているので、見出しだけ紹介すると、朝日が「小学校英語 学校の判断に任せよ」、読売が「小学校英語 必修化して国語力は大丈夫か」、産経が「小学校の英語必修化 まず国語の基盤形成から」 、、、、、などです。いずれも小学校英語の必修化に慎重ないし反対論を唱えています。

 でも、ちょっと待ってほしい。構造改革特区で小学校英語の取り組みがあるたびに派手に宣伝してきたのはマスコミです。国際化に対応するために小さい頃から英語を教えるべきだと何かにつけて煽ってきたのもマスコミです。

 それが、いざやろうとなると一転して反対を唱える。これは、現在の小学校英語反対論者でもある藤原正彦氏の「国家の品格」などの本がベストセラーになっている社会状況と無縁ではないでしょう。大切なのは国語だ、、、、まではいいとして、それから伝統文化だ、武士道だとなると、私にはついていけませんが、マスコミは敏感にいまの社会状況の変化を嗅ぎ取っているようです。

 翻って考えると「生きる力」の現行学習指導要領が告示されたとき、マスコミはこぞって歓迎しました。それが、学力低下批判が始まると、まるで自分たちは授業時間数が減る現行学習指導要領に昔から反対であったような態度をとりました。さらに、、、、、学力低下批判が鎮静化し、格差社会や下流社会などが流行語になると、またそろ学力向上に慎重な姿勢を見せ始めています。

 マスコミの言うことを鵜呑みにしていると、必ずマスコミに裏切られることになります。マスコミはまず疑ってかかりましょう。そして、もちろん私の言うことも、、、。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
マスコミが世論をつくるのですが、これが、いい加減な事が多いですね。

それも、問題によってですね。
学力テストでは、割合、参考になっています。
今日
2006/04/10 04:14
以前、5年ほど高校の情報教育に携わったことがありますが、今回の英語必修化と似た現象が既に起きています。
高校サイドでも、単に「情報教育を必修化する」というだけで、中学校までの教育実践を想定した内容ではありません。どう見ても「再練習」の印象が強い。
しかも、推進役となる教員は他教科の現職教諭であり、システムエンジニア出身の私としては物足りなさ以上に、「自分たちの教えられる所だけでよい」「それ以上のものは生徒に必要ないだろう」という、現職の怠慢が目に付きました。

「生きる力」というのも抽象的で、いかようにも解釈できます。
少なくとも、「こんな勉強しなくても生きられるよ」と、学校教育に見切りをつけられてしまわないよう、教える側も日々勉強が必要ですね。
はたやん
2006/10/06 14:58

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