斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 民間委託される全国学力テスト

<<   作成日時 : 2006/06/02 02:42   >>

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今回は、文部科学省が予定している全国学力テストのお話。といっても、実際の中身はいろいろな人がコメントしているし、大上段に振りかぶるのも私の役目ではないので、テーマは「風が吹けば桶屋が儲かる」です。

まず、全国学力テストの「風が吹けば、、、」は、最初に下のリンクを見てください。

◎「全国的な学力調査を実施するための委託事業」の公募について
◎全国的な学力調査の平成19年度調査予定日について

 以前にも書いたことがありますが、全国学力テストを従来の教育課程実施状況調査のような抽出テストではなく、全国すべての対象学年児童・生徒に実施するものですが、これはものすごく大変なことです。大学入試でも試験後には出題と解答がすぐにネットに出回る現在の情報化社会で、全国学力テストの公平性を保つには全国一斉に実施しなければなりません。

 問題用紙の回収、採点、集計、分析、、、、規模だけを見れば、大学入試センター試験よりも大きなものです。では、これを誰がやるのか。

 ●全国学力テストは民間委託で実施される
 文科省がやる全国学力テストだから当然、文科省や国立教育政策研究所(通称・国研)が都道府県教委や学校を使ってやるのだと考えている方は多いと思いますが、文科省や国研にそんな物量を扱う力はじつはありません。大学入試センターも自分の仕事で手一杯です。

 で、、、、民間委託となるわけですね。そうです、全国学力テストは問題の作成などは文科省や国研がやるのてすが、問題用紙の印刷を除くすべての実務作業は民間業者がやることになるのです。

 ●限られる委託先候補
 全国すべての国公立学校で同一試験日実施の学力テストの採点(これが一番の問題ですね)、集計、分析までやれるノウハウと設備を持つ民間業者とはどんなところがある得るのでしょうか。

 考えるまでもなく、大規模な全国模試を実施している受験産業しかあり得ません。

 事情筋に言わせると、最近は福祉関係にも進出し、一大情報企業にもなっている通信添削が前身だった会社、さらにやはり情報産業化を進め、大学などのコンサルにまで手を広げている大手予備校などが、委託先として有力視されているという話です。また、最近、テストの採点と集計を一元管理するシステムを導入した全国的な学習塾チェーンも委託に名乗りを上げる予定だとうわさされています。

 ●情報管理に不安はないのか
 民間委託料とどのくらいでしょうか。今年度の試行テストの予算が約30億円ですから、おそらく数十億円または百億円以上のお金が、文科省から民間の受験産業に毎年流れることになるのです。そして、このお金はもともとは税金です。

 しかし、規制緩和、民間開放の時代ですから、全国学力テストの実施が民間業者へ委託されるのも時代の流れとしてはいたし方のないところでしょう。それに、委託料と言っても役所は安いですから、引き受ける民間企業にしてみれば、もうけよりもそれに伴う有形無形のメリットを期待しているのは間違いありません。

 ですが、全国学力テストの対象となる来年度の人数は、任意参加の私立小・中学校を除いても、国公立合計で小学校6年生は117万人、中学校3年生は112万人に上ります。これだけの学力試験のデータが一つの受験産業に集まるわけです。

 もちろん文科省は、委託にあたっては学力試験の採点データの厳重な管理、ほかの用途への利用禁止を条件とするはずですが、情報漏洩が社会問題になっている昨今、果たして問題は起きないのでしょうか。

 さらに、全国の小学6年生、中学校3年生のほとんどのテストデータが、実質的な受験産業に集まるということは、社会にとって大変なリスクではないでしょうか。

 
 ●しらぬまに進んでいる学力テストの民間委託
 ところで、都道府県や区市町村では独自の学力テストを実施しているところが増えていますが、その多くが既に民間事業者に委託されているのをご存知でしょうか。じつは国の前に地方自治体レベルで、教育行政と受験産業や情報産業とのつながりが既にできているのです。

 うわさによると、ある自治体では委託先の業者にシステムミスがあったため、平均点の発表だけで、実際には学力テストの集計データが半年以上たったても各学校に届かないということがあったという話があるようです。まあ、あくまでうわさですが。

 ●そして受験産業だけが得をしたということにならないように
 ここで少し固いお話。文科省は規制緩和、地方分権時代の義務教育の在り方として、地方自治体や学校に大幅に権限を移譲(学習指導要領のミニマムスタンダードの明確化など)するかわりに、教育の質を国として保証するシステムとして学校評価と全国学力テストの2つを導入することにしています。

 つまり、全国的な子供の学力動向を把握するならば、従来通りの抽出調査で問題はないのですが、無理を押し通して全国一斉テストにした背景には、国としての教育の質の保証という役割が全国学力テストにあるからです。

 しかし、その結果、学校や子供は競争で疲弊し、受験産業ばかりがもうかつたということには絶対にならないようにしてもらいたいものです。繰り返しますが、その経費は国民の税金なのですから。

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