斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 骨太の方針2006と教員問題

<<   作成日時 : 2006/07/12 03:16   >>

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 さて、政府の骨太の方針2006がサイトで見られるようになったので、教育、特に教員の問題についてどう書いてあるのかみました。

 最初に断っておきますが、こういう読み方は正しくありません。骨太の方針のように政策全般にかかわる基本方針は、あくまで全体の構造を読み取るべきであり、各論で判断するべきではない。すべての各論に賛成を得られる全体方針など実際にはあり得ないからです。

 ですが、そういうことは偉い人に任せるとして、ここでは教育に限ってみていくことにします。


 まず、「生産性向上型の5つの制度インフラ」の整備の一つとして、「人財立国」の実現 のために

 ・ 学習指導要領改訂、全国的な学力調査、習熟度別・少人数指導、能力・実績に見
合った教員の処遇等により教育の質の向上を図り、2010 年までに国際学力調査に
おける世界トップレベルを目指す。


 とあります。まあ、政府としては当たり前。注目すべきは、「能力・実績に見合った教員の処遇改善」が、教育の質の向上(この文脈でみると学力向上ですね)のためのものと位置付けられていることです。

 教員給与の業績主義導入については、教育界ではいろいろな意見があります。反対の意見の方が多いのではないかと思いますが、一般社会では「既存の教員組織の解体」「物言わぬ教員づくり」といったものではなく、明らかに教員の業績評価導入で教育がよくなると思っているということです。教育関係者と一般社会のこの意識の違いは、今後の教員給与改革をめぐって大きな問題となると思います。


 では具体的に教育はどうなるか。これは同方針の「別紙」の部分にあります。

○ 文教予算については、子どもの数の減少及び教員の給与構造改革を反映しつつ、以下の削減方策を実施することにより、これまで以上の削減努力を行う。
○ これにより、今後5年間、人件費を除く国(一般会計)の予算について、名目値で対前年度比+0.1%(年率)以下に抑制することを基本とするが、今後、賃金・物価の上昇等によりこうした歳出抑制ペースをそのまま適用することが困難な場合が生じた場合には、経済成長との関係を勘案したこれまでの実質的な歳出削減のペースを維持するなかで、必要な配慮を行うこととする。
@ 義務教育費国庫負担金について以下の見直しを行う。
ア)教職員の定数については、子どもの数に応じた削減を行うこととし、具体的には、今後5年間で1万人程度の純減を確保する。
イ)地方公務員の給与構造改革や地方における民間給与水準への準拠を徹底させる。
ウ)人材確保法に基づく優遇措置を縮減するとともに、メリハリを付けた教員給与体系を検討する。その結果を退職手当等にも反映させる。



 つまりは、こうなるのですね。
●今後5年間は、国の文教予算はほとんど増額されることはない。
 このご時勢ですからね。ある意味当然、、、、としておきましょう。


今後5年間で公立小・中学校教員は、1万人削減される。
 ともかく1万人削減という数値目標が示されたことは、大変なことです。ただ、1万人という削減数がどれだけの影響を持つのかというのはよく考えなければなりません。


●教職員定数は子供の減少に応じて削減される。つまり、35人学級などの教職員配置改善計画はもう策定されることはない。
 文部科学省は、これまで子供の減少により本来削減されるべき教員定数を利用して、40人学級や少人数指導を実現してきました。社会の一部には、子供が減ったのだから教員が減るのは当然という考え方がありますが、教員の全体数を維持することで実質的な教育条件の改善が行われてきたのです。

 子供の減少分の教員定数を純減させろということですから、教職員定数改善計画はもう策定されないということです。

 既に義務教育費国庫負担制度の改正で、学級編成は都道府県の裁量となっています。今後、35人学級などの少人数指導は、国ではなく地方自治体の責任となります。ですから、国としての教員定数改善計画はもういらないということでしょうか。


●公立学校教員は民間の給与水準準拠の徹底により、給与削減が行われる。
●人材確保法に基づく優遇措置を縮減する、、、ということは、人材確保法自体は廃止されないという含みがある。

 一応、骨太の方針を見る限り、人材確保法の早急な廃止は免れたとみられます。


●メリハリをつけた給与体系とは、教職調整の一律4%を廃止して、業績主義導入により教職調整額を一人一人異なるものとする。当然、教員の人事考課が行われる。
●主幹、総括など現在都道府県が独自に設けている準管理職ポスト教員が、国の制度として正式に導入されることになる。

 メリハリのついて給与というと、一律4%の教職調整を一人一人の業績に応じて配分することしかありえないでしょう。

 また、給与のメリハリをつけるには給与表を細かく分けるこもと不可欠です。実質的に校長、教頭、教諭の三種類しかない現行制度をさらに細かく分け、準管理職ポストの教員を制度化するのは、100%確実です。


●教員の退職金、年金は確実に削減される。
 一律4%の教職調整がなくなり、一人一人の配分がことなれば退職金への反映も異なるのは当然。ですが、一般公務員と比べると上乗せ分である教職調整を退職金の算定基礎が外すという選択もあり得ると思います。そして、当然これらは退職後の年金にも跳ね返ってくるわけです。



 文科省は現在、教員給与見直しのデータをとるために全国的な教員勤務実態調査を今月から始めています。

 また、近く中央教育審議会の中に教員給与見直しのためのワーキンググループが設置される予定です。

 2006年度中に教員給与見直しの検討をして、2007年度で制度改正、2008年度から実施というのが文科省のスケジュールです。


●教員給与見直しは、ある意味で最大の教育改革である。
 教育基本法を見直しても、学習指導要領を改訂しても、ある意味で学校現場はあまり変わらないでしょう。これまで文科省が進めてきた教育改革は、制度と学校現場の実態のずれを大きくただけという観もありました。

 しかし、教員給与の見直しは、教員の実際の勤務の仕方や組織の在り方を大きく変えるものです。仕事とは、生活の糧を得るという目的が大半を占めているものです。その糧の部分がかわれば、教員のあり方も大きく変わってくるでしょう。

 それが、規制改革論者や社会の教員批判の言うように、よい方向に進むのか、それとも全く別の方向に進んでしまうのか。

 ある意味で、教員給与の見直しは、これでの教育改革とは比べ物になりないほどの影響を学校教育に与えることだけは間違いないと思います。

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