斎藤剛史の教育ニュース観察日記

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zoom RSS 総合的学習の抜本的見直し?

<<   作成日時 : 2006/09/04 00:16   >>

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 今回は、総合的な学習の時間について。ところで、少し前に週2回はこのブログを更新すると宣言したのに、週1回がやっとというていたらく。なんとか週2回は最低でも更新することを目指しますので、ご愛顧のほどを。

 ということで、朝日新聞の記事です。
◎総合的学習、根本的見直し 次期指導要綱(朝日新聞9月3日付)
 「ゆとり教育」の柱になっている「総合的な学習の時間」のあり方について、文部科学省は次期学習指導要領で、抜本的に見直す方針を固めた。一部の学校で教科の補習や行事の準備に使われるなど、いまのままでは学校間の取り組みに差がありすぎるため、学習によって身につけるべき力を定め、評価をより明確にすることを検討している。教科学習に近づくことで、導入当初の「一律的な評価はしない」という目的から転換する可能性もある。


 さて、これを読んでどんな感想をもたれますか。「ゆとり教育」の象徴とも言える総合学習は、学力低下批判当時に大変非難され、一部で強く廃止が求められた、、、だから、とうとう文部科学省も総合学習の廃止・縮小に乗り出すのか、という印象を受けますか。

 あるいは、子どもの主体性を尊重する総合学習という理念が、学力低下をはじめとする批判に負けて、その趣旨が捻じ曲げられようとしている、、、、、とも読まれる方もいるでしょう。

 要は総合学習に対する読者の思い入れの違いで、いかようにも読める記事なのです。



 では、総合学習は、次期学習指導要領でどうなりそうなのでしょうか。

◎総合学習はなくならない。
 中央教育審議会教育課程部会が今年2月に、次期学習指導要領改訂に向けた方向を示した審議経過報告では、「総合的な学習の時間の必要性や重要性については、共通理解が得られている」と結論付けています。
 そして具体的に次のように述べています。
○ 各学校における実態に差があるとの状況を改善するためには、子どもに身に付けさせたい具体的な力を明らかにするため、各学校における実践を踏まえつつ、総合的な学習の時間のねらいの明確化や学習活動等の示し方について検討する必要がある。
○ 国際理解、情報、環境、福祉・健康など特定の領域の教育について、関連する教科の内容との関係を整理する必要がある。
○ 子どもの個性を伸ばし、主体性や自立性を高め、目標に挑戦する力を育てていく上で重要な役割を果たすものである。特に、学習面では、課題探究型の学習と結び付くことで、学習意欲の向上にも資するものと考えられる。その一方、特別活動との関係を整理することが必要がある。

 簡単に言えば、総合学習の趣旨は正しいが、各学校では必ずしも成果が上がっていない面があるので、もっと教育目標などを明確化して、教科学習との関連性を強める必要がある。学校行事などを総合学習に安易に入れるようなことはやめさせようということです。

 次期学習指導要領のキーワードとして文科省は、『言葉と体験』を掲げており、課題解決能力、課題発見能力などを重視しています。要するに総合学習は質的充実を求められこそすれ、なくなることはないということです。

 暇なときに中教審審議経過報告を拾い読みしてもらえればわかりますが、文科省の姿勢は

次期学習指導要領は、現行学習指導要領の発展であり、「生きる力」の育成のさらなる強化である

ということになるでしょう。



◎では、総合学習はどう変わるのか。
 中教審中間報告にもあるように、すべて学校にまかせてかえって混乱したという認識から、次期学習指導要領にも、ある程度の具体的な教育目標が例示されることになるのは確実です。それは同時に評価の厳正化でもあります。ただ、教科のような点数評価が導入される可能性はほとんどないでしょう。

 実は現行学習指導要領では、総合学習は点数評価はせず記述式の評価をすることになっているため、実際の学校現場では総合学習の評価にまで力が入れられておらず、ほとんど無視されていることも少なくないのです。これが、総合学習はやりっぱなしで、どれだけ成果が上がっているのかわからなという疑問にも結び付いています。

 ただ、学力向上の声を受けて、主要教科の一部は授業時間数を増加させることになるでしょうから、総合学習の授業時間数は現行よりも減少することは間違いないでしょう。



 朝日新聞の記事は、中教審審議経過報告の内容以上のもにがほとんどありません。記事の中のどの部分が「抜本的見直し」なのか、、、、、私にはわかりませんでした。

 そもそも記事は、総合学習の評価方法の見直しとして、

『文科省によると、総合的学習の見直しでは、「他者や社会とのかかわりに関すること」など、身につけるべき力を文科省がいくつか例示する。それに基づいて、各学校が具体的な「力」を定め、子どもらにその力がついたかを「評価」することを考えている』

と述べていますが、これは次期学習指導要領で総合学習の教育目標を「例示」するということを説明しているにすぎません。この記事のニュースと呼べる部分はここだけです。

 各学校が具体的に子どもが身につけるべき「力」を定め、それがどの程度身についたかを評価する、、、、、、はて、現在、学校で行われている総合学習の評価とどう違うのでしょうか。


 この記事は、総合学習の評価などは子どものプリントに4、5行の文章を書くだけですませている一部の学校に対して「抜本的見直し」がくるぞと警告したものなのでしょうか。そうだとすれば、それはそれで気が利いています。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
参考になり、有難うございました。
今日
2006/09/07 15:27
体育などもそうですが、子どもに学力がついたのかどうかの説明責任を問われているようにも思えます。

個人的にやめてほしいと思うのは、少なくなるとはいえ、時数の強制枠の温存です。
現行では3年から6年まで一律105時間設定ですが、学年が低ければ低いほど、その内容のレベルが低くなったり、評価のし辛くなったりするのを感じます。
6年間のトータルで時数のベースを用意して、あとは余剰時数とのからみなどで学校裁量にしてもらえるといいなと思います。
総合は内容の枠から迫っても、児童の実態や地域の実態など様々な要因で設計の困難を抱えやすいと思います。
異動の早さ多さも実践の定着にはむかないくらいだとも思います。

聞いてももらえないことを書いてしまったけれど、そんなことを考えるのです。この記事。
yo
2006/09/17 07:37

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